21世紀 大晦日 正義の味方誕生秘話 【転】

2003年07月10日

21世紀 大晦日 正義の味方誕生秘話 【転】

[投稿者:仙台インターネットマガジン編集部]

トイレに隠ったわたしは、ちっとも酔っぱらっていなかった。
ある種、まじめな話(例えば、政治、文学、戦争、ニュース)などするときは、
少しぐらい酔いを帯びているぐらいが、軽快な質ではあるが、その時は、緊張していた。

こんなのを武者震いというのかもしれない。
足がガクガク震えていて、立っているのも辛いくらいだった。
だから便器に腰掛けた。
ズボンを穿いたまま、便器に座るのはどうしてこんなに不快なのだろう?
と思った。
そのぐらいの現実感はあったのかもしれない。
足はまだ震えている。ガクガク。
両の掌で、膝をつかんだ、震えは手をも揺らした。
しょうがねえなと思った。

膝の上にアタッシュケースを置いた。ZERO・HALLIBURTONである。
ちなみに、ゼロ・ハリバートンといえば、
1938年にアメリカで生まれ、
NASAが大気圏突入時にも耐えられるようにとその特注品を発注し、
アポロ13が初の月面着陸を試みた時にも月の欠片などを
そのケースで持ち帰ったといわれている品物である。
わたしの数少ない自慢である。
そのケースにマントとマスクを忍ばせておいたのである。

カチッ。
あまりにもキザである。

便所の鏡の前に突っ立っている男は黒いマスクを被り、
黒いマントを装着していた。
どうみても、正義の味方には見えなかった。
むしろ、悪の化身であった。

足はまだ震えている。
意味もなく、鏡に向かって、舌を出してみる。
己の「老い」を認める。
垂れた前髪を意識しながら、中指と人差し指で、すくい上げる。

そうこうしているうちに、トイレの外では、カウントダウンが始まった。

20世紀末、わたしはマントとマスクを身につけ、生まれ故郷の小さな繁華街の某バーのトイレにいた。
自分にはふさわしい世紀越えの場所だと思った。
鏡を見ながら何故か、母を思った。

10・ 9・8・7・6・5・ フォウー
ごめん。 ガチャ。

2003/07/10


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投稿者 仙台インターネットマガジン編集部 : 2003年07月10日 03:09
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