情熱の薔薇(1) 2003.10.X 初出

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2003年10月01日

情熱の薔薇(1) 2003.10.X 初出

卵のなかみ、を書いてきて分かったのは
かつて、社会が敷いたレール、と呼ばれていたものの正体は、要するに、20世紀後半における、大量生産・大量消費型の経済世界にあって、日本が経済成長を果たすために必要とされた大量の画一的な労働力生産システムのことなのではなかったか、という事です。

そして2003年現在、国民が一丸となって戦った
20世紀後半の経済戦争において
日本は完全に負けてしまったので
今どっと経済的に不必要とされる
人口が増えてしまった。

いわゆる、ひきこもり、がクローズアップされるように
なった頃、彼らは間違った教育による犠牲者だ、と
評していた人達が多かったのも
このラインで考えるとよく分かります。

つまり日本政府が、20世紀後半の経済戦争を戦うにあったって敷いた生産ライン、いわゆる、社会が敷いたレール、に適合するために、画一的労働力生産システム(間違った教育)を受けて育ってきたのに、いざ社会に出てみたらその、社会が敷いたレール、がなくなっていた。
そして多くの、何をしたらいいか分からない
何がしたいか分からない、といった層を大量発生
させてしまった。
そして今元気なのは、社会の敷いたレール、に
乗っていなかった、かつては、変わり者、とか
変人、と呼ばれていたような人達ばかり、といった構図ができてしまった。
それがおそらく2003年現在の日本の状況でしょう。

僕はこれは何かに似ているな、と思ったのですが
たぶん、というよりも、多くの人が指摘するように
太平洋戦争の終戦時に似ているのです。

官民一体となって太平洋戦争へ向かっていたのが
日本の完敗が明らかになる事で終戦を迎えると同時に
社会の基本的な価値観が180度変わってしまい
戦前の教科書は、軍国主義を助長する、間違った教育、であるとして墨で真っ黒に塗りつぶされてしまった。

現在イラクで同じ事が行われているそうですが
このエッセイに度々登場するブルーハーツという
80年代に一世を風靡したバンクバンドは

先生、僕の教科書に、誰か墨をこぼしちゃった

と歌っていましたが、たぶんその事を指していたのでしょう。
やはりブルーハーツの詩には普遍性があるな、と
僕は感心してしまいます。
今、イラクで多くの子供達が

先生、僕の教科書に、誰か墨をこぼしちゃった

と、つぶやいているはずです。

で、そんな事が終戦後の日本社会にはあって
戦前に戦争に関わっていたとされる指導者や学校の先生
文学者、画家、などは、戦後ずっと沈黙を
強いられてしまったそうです。
イラクでフセインのバース党に関わっていた人達が
職にあぶれて困っている、というニュースを
見れば、太平洋戦争の終戦後、日本社会でいったい
何が起こったかは想像ができますね。

結局終戦後の日本社会では、太平洋戦争中にはおそらく
変人、扱いされていたであろう、進歩的文化人、と
呼ばれるような人ばかりが、元気、という状況に
なっていった。

似てます。
やっぱり現在の日本社会は、多くの人が指摘するように
第二の敗戦、にあるのだと思ってしまいます。

戦中派の人達は、社会の基本的な価値観が
180度変わってしまうという事の恐怖感を
身をもって知っている、と言われますが
現在、また同じ事が起きているわけです。

奇跡の戦後復興や、高度経済成長を
成し遂げた人達が、第二の敗戦、によって
ほとんど、戦犯、といっていいような扱いを
受けています。
族議員しかり、公団の総裁しかり
高級官僚しかり、受験教師しかり……。

昨日まで、善、とされていた事が
次の日には、悪、とされるという
恐ろしい感覚を、僕らの世代も知ってしまった
わけです。


-情熱の薔薇(2)へ続く-
http://www.im-sendai.jp/archives/2003/10/2200310_4.html




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投稿者 im-sendai : 2003年10月01日 00:00
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