想像力を摩滅させるもの(2)半可な科学的知識 2003.11.X 初出
想像力を摩滅させるもの(2)半可な科学的知識 2003.11.X 初出
[投稿者:大場理史]
脳科学の分野では、人間、特に成人男性が
戦いや争いに勝つと、テストステロン、という
ホルモンが脳内に分泌されて
性欲が高まる、という事が明らかにされてきて
いるようです。
そういう話を聞くと、人間というのは
まったく困った造りをしているな、と
思ってしまいます。
テストステロン、に限って考えてみれば
成人男性は、繁殖のために
戦いや争いに勝つことを宿命づけられて
いるわけです。
まことに人間は困った造りをしているな、と
思わせられます。
成人男性とテストステロンの関係を簡単に言えば
落ち目の職場にいる旦那さんは
夜の性生活もご無沙汰になるし
仕事のできる旦那さんは、外に愛人を作って
中々家に帰ってこなくなる、という事になります。
確かにそういう傾向はあるような気がしますが
どうでしょう。
成人男性は、戦いや争いに勝つと
テストステロンが脳内に放出されて性欲が高まる。
女性は面白くないかもしれませんが
こと、テストステロン、だけに限って考えれば
英雄色を好む、という諺は、真実かもしれません。
成人男性の、男らしさ、は、テストステロン、から
きている。これに対して、成人女性の、女らしさ、は
エストロゲン、からきているとされているようです。
なんだかこうして書いてみると
実に味もそっけもない話ですが
以前にも書きましたが
科学は、物事の仕組み、を与えてくれても
その意味、は与えてくれません。
科学的に人間を見ていくと
どうしても、味もそっけもない話、になってしまうのです。
成人男性は脳内の、テストステロン、を高めるために
すぐに争いたがる。
なんでも、勝った、負けた、で判断してしまいがちなのは、やはり男性の側でしょう。
そして戦いや争いに勝ったり
景気がよくなったりすると、すぐに成人男性は
外に女を作り始めたりする。
テストステロンの仕業だ、と言われればそれまでなのでしょう。
逆に成人女性は、どんなに論理的に生きようとしても
エストロゲン、によって、どうしても、女、になって
しまう部分がある。
性同一障害のような方を除けば
確かにそういった傾向はあるような気がします。
科学がそういった、人間のどうしようもない造り、を
どんどん明らかにしてしまっているので
その仕組みを逆手にとった安易な作りの映画や
ゲームやTVCMが溢れていますが
そういった、品のない、情報が
人心の荒廃、に一役買っているのは
間違いないような気がします。
そう、品がない、のです。
僕は、人間のどうしようもない造り、に
対して訴えかける情報は、基本的に
品がない、と思ってしまいます。
本当は誰だって本音を言えば
もっと食いたいし
もっとやりたいし
もっと欲しい、はずなのです。
そういったメッセージに対して
人間はどうしても反応してしまう。
でもそれを肯定して全面に押し出す事は
品がない、事なのではないかと思うわけです。
成人男性は、戦いや争いに勝つことで
脳内から、テストステロン、が放出されて性欲が高まる。だから成人男性は、繁殖のために、戦いや争いに
勝ち続けるべきだ、というテーゼは
確かに一面の真理ではあるでしょう。
でもそういった成人男性の、科学的な真実の姿、を
肯定して生きるのは、品がない、のではないかと
思うわけです。
品がない。
つまり、洗練、されていないと思うのです。
♂♀生・性・聖、のエッセイにも書きましたが
人間の造り、なんていうのは
たぶん5000年の昔から
たいして変わりがないはずなのです。
それを、ソクラテスなりプラトンなり
孔子やイエスや仏陀といった
様々な聖人偉人が現れて
どうしようもない造り、を持った存在である
人間の生き方を、洗練、させてきたのだと思うのです。
争いや戦いに勝った成人男性が
脳内に、テストステロン、が大量に放出されて
次は女だ、となった時に
いやちょっと待てよ、イエスや仏陀は
確かこんな事を言っていたな、あんな事を
言っていたな、ソクラテスの一説に
こんなのがあったな、となるのが人間らしく
洗練された、品のある生き方、なのではないかと
思うのですが、どうなのでしょう。
そしてきっと、そういった時に働くのは
たぶん、想像力、なのではないかと思うわけです。
見事戦いや争いに勝利し
脳内に大量に放出された、テストステロン、によって
女、女、と、ギラついている獣のような自分の姿を
もしかして品のない行動なのではないだろうか、と
捉える感覚は、きっと、想像力、なのだと思うわけです。
知性、とも違うような気がします。
偏差値ではもちろんない。
たぶん、想像力、なのです。
人類は5000年の年月をかけて、想像力、を働かせ
獣の段階から生き方を、洗練、させてきたのに
近代の科学教は、その、洗練、を
どんどん剥ぎ取っていきます。
成人男性は、戦いや争いに勝つことで
脳内から、テストステロン、が放出されて性欲が高まる。
だから成人男性は、繁殖のために、戦いや争いに
勝ち続けるべきだ、というテーゼは
確かに一面の真理ではあります。
全くその通り。
落ち目の職場にいる旦那さんは
夜の性生活もご無沙汰になるし
仕事のできる旦那さんは
外に愛人を作って中々家に帰ってこなくなる。
確かにそういう傾向はあります。
テストステロン、の言うとおり。
全くその通りです。
でも、科学的にこうなんだよ、と言って開き直るのは
品がない、のではないかと僕は思うわけです。
最近うちの旦那がさあ、景気よすぎて
テストステロンの出がよくなったものだから
愛人のところに入り浸って帰ってこないのよ。
おお、ちょっとテストステロン出てきたから
女買ってくるわ。
そういう会話は、品がない、と思ってしまいますが
最近の世の中はそうなってきています。
人類は獣の段階に戻ってしまったのかな、とさえ
思えてきます。
たぶん人類の、想像力、が摩滅しているのでしょう。
おお、ちょっとテストステロン出てきたから
女買ってくるわ。
そういった会話からは、間違っても、ドラマ、は生まれません。
半可な科学的知識は、想像力、を摩滅させるような気がします。
-想像力を摩滅させるもの(3)へ続く-
http://www.im-sendai.jp/archives/2003/11/3200311_1.html
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