911に見た夢 (Wさんへ)

2003年12月11日

911に見た夢 (Wさんへ)


その映像を見たときの感想を、当時私は某喫茶店に置かしてもらっている『ル京ノート』なるものに、こう記した。

私は「快」を感じた、と。

勿論、「その映像」とは、9月11日のテロの事である。

それを読んだ、Wさんという見知らぬ方が、
テロという事件を、テレビを通して観たル京が受け取った感情が「悲」ではなく「快」であったことに関して、「何故なのか?」という率直な「疑問」と「想い」をぶつけてくれました。

そして、私はその事をもう一度、よく考えてみることにしました。

まず、あの米国で、国際貿易センタービルに旅客機が、まるで映画のワンシーンの様に、「刺さった」のを観て、
私は非常に興奮したのを憶えています。
映画以外に実際にああいう風景を目撃した事が無かった私は、あの映像を「刺激」として受け止めてしまった。
実際私は本当に興奮しきっていて、次の日の仕事をズル休みしてまで、テレビに釘付けになっていました。
それから明け方近くになり、ようやく私はあなたが意見してくれたように、
「何故、俺はこの悲惨な事件を観て、これほどまでに『快』を感じてしまうのだろうか?」
という疑問を抱きました。パラドクスに陥りました。

あの瞬間にどれだけ多くの人間が壮絶な苦しみと共に、無念の死を、いや希望を、否応なく奪われたか、あのテレビを通して、私は見ることが出来なかったのかもしれません。
でも、あれは勿論、映画なんかでは決してありません。「娯楽」なんかじゃ、無いのです。

だから、僕は想像しました。あの映像には決して写されることの無かった、風景を。

人。叫び。汗。あれ。なんか様子、ヘン。機長室の方が変。イヤな汗。混乱。焦燥。怒り。涙。どこにもぶつけられない怒り。錯乱。悲しみ。合いたい。もう一度だけ合いたい。電話。かからない。声だけでも聞きたい。伝えきれなかった。後悔。謝りたかった。ありがとうと言いたかった。もう言えない。この子だけは。お母さん!祈り。奇跡来い!頼む。無念。涙。絶望。恐怖。爆発音。炎。スローな炎。炎が近づいてくる。熱い。血。なんか血臭い。助けて助けて助けて!血液の噴射。皮膚がとろけてく。熱いよ。痛い。痛てえっ!無くなる。自分が無くなる。消滅する。あああ!

僕は想像しました。僕の想像力で、出来る分だけ想像してみました。
もっともっと、本当はこの何億倍もの、いや無限の「悲」がそこには、あるはずです。でも、テレビには「それ」は映っていなかった。

そして、自分は「それ」を想像するまでに時間がかかった。
一番最初に感じたのは、なんか凄い出来事に出くわしているというライブ感、もしくはリアリティーに対する興奮。自分の経験上、それは大概、「俺は確かに此処に存在している」というアイデンティティーの問題に繋がっている。そのような種類の「快」だったと思う。自分がおかしい。変えなければならない。反省しなければならない。でも実際に「快」は、在った。自分の中に「快」は、在った。何が出来る?自分に何が出来る?今度こんな事が起きたときに自分は快を感じないように出来るのか?「感情」を進化できるのか?どうすれば感情を進化させることが出来るのさ?この罪を償えるのさ?

米国は、米国の正義として「暴力」を選んだ。彼らが出来る範囲で、「暴力」という方法を選択した。
まるで、ハムラビ法典。暴力には暴力を。死には死を。会えるものなら、大統領と会って話をしたい。
「僕は違う、と思うのです。」と伝えたい。
それに対して、ブッシュはこう言うかもしれない。

「ははは。では君、どうすればよいのだね?教えてよ。具体的に、綿密に、教えてよ。総ての人が犠牲を伴わないで、
共存できる方法を教えてよ。えっ!日本から来た君!」

そして私は何を言えるのか?

Wさん。僕はノートに書きました。
自分は「快」を感じてしまったのだという事を。僕と似たように感情を失いがちになっている人に宛てて。「助長」ではなく「ディスカッション」の為に。
そして、あなたは書いてくれた。夢で僕が大統領に言えなかった、「僕は違う、と思うのです。」という言葉を。あなたは僕に言ってくれた。
そして僕はあの事件について、より深く考えることが出来ました。いや、性懲りもなく、また自分の事についてだけ考えているのかもしれません。

でもきっといつか、あなたのような美しい人間になれることを望んでいます。


P・S あの一文に自分の猜疑心、軽薄、臆病さ、弱さを認めます。 

2003/12/11




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投稿者 im-sendai : 2003年12月11日 05:37
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