我が国とこの国(6) 霞ヶ関支配の終焉 2004.1.X 初出
我が国とこの国(6) 霞ヶ関支配の終焉 2004.1.X 初出
[投稿者:大場理史]
霞ヶ関の官庁は、皇居を取り囲む形で
配置されていると言われます。
もっと具体的に言えば
明治以来、長らくそれぞれの官庁への
予算配分権を握っていた
大蔵省、という名前は
日本書紀において、天皇陛下が
泰氏、という渡来人の集団に勅命を下されて
設置された皇室の金庫番に由来しているわけです。
何を言いたいのか、と言いますと
大蔵省、という名前は
日本書紀において天皇陛下の勅命で
設置された由緒ある組織に由来しているのだから
近代国家の一行政機関、であると同時に
宗教的権威、となってしまうわけです。
そうなると、大蔵省職員は偉い、となるわけです。
僕がこのエッセイの中で
もう官は偉くない、とか
霞ヶ関支配が終わる、とか
平気で書いているのは
大蔵省、が、財務省、に名前を変えたからです。
大蔵省、には、一行政機関であると同時に
宗教的権威、がありますが
財務省、には宗教的権威はありません。
財務省、などという言葉は
日本書紀には一度も登場しないからです。
財務省、は、近代国家における単なる一行政機関です。
だから財務省の職員は、偉くはない、のです。
ただの雇われ役人です。
大蔵省職員、は
日本書紀にまで連なる、宗教的権威、があるので
偉い、のですが
財務省職員、は、宗教的権威、がないので
ただの雇われ役人、です。
だから、偉くはない、わけです。
中央省庁の統廃合が行われていた際
その、ネーミング、をめぐって
高級官僚達の激しい抵抗があったようですが
それは、日本書紀、にまでつながる
宗教的権威、を否定され
単なる一行政機関の、雇われ役人、に
成り下がってしまうことへの
抵抗だったのでしょう。
財務省、なんて軽々しい名前は
日本書紀、にも、古事記、にも
一度も登場しません。
だから高級官僚はもう、偉く、はないわけです。
大蔵省、が、財務省、に名前を変えた時点で
高級官僚達の、宗教的権威、は剥奪され
タックスペイヤーである、市民、が
雇っている、ただの雇われ役人、になったわけです。
吉本隆明さん(吉本ばななさんのお父さん、知の巨人)は、
日本人が神社に初詣でに行ったり
夏祭りに参加しているうちは
日本に近代はこない、と発言されていたように
思いますが
僕は、大蔵省、が、財務省、に名前を変えたことで
近代国家への道が開かれたのではないか、と
考えるのです。
おお、僕も偉くなったものだ。
吉本隆明さんに反論してるぞ。
つまり、大蔵省、が、財務省、に
名前を変えた時点で
高級官僚達は、宗教的権威、を
なくしたのだから、主権は
タックスペイヤーである、市民、に
移ったのではないか、と思うのです。
大蔵省、に注文をつけることは
日本書紀にまで連なる
天皇陛下勅命の組織に、異議申し立て、を
行うような、畏れ多い行為、ですが
財務省、という宗教的権威を持たない
単なる一行政機関の、ただの雇われ役人、に
注文をつけるのは
タックスペイヤーである、市民、として
当然の権利ではないか、と思うのです。
だからこれからは
この国、と突き放して表現しても
自然に受け止められるように
なるのではないか、と思うのです。
この国、と表現した場合
それは、社会契約説、に基づく
司法・立法・行政、という
権力機構、の事を指すように
なるのではないか、と思うのです。
この国、と突き放して表現しても
別に、非国民、というわけではない、と
なるのではないか、と思うのであります。
ヨーロッパのように
我が国、と表現する人は
右翼、とか、超国家主義者、と
捉えられるようになっていくのかもしれません。
先日、小室直樹氏の、三島由紀夫が復活する(毎日ワンズ)という本を読んでいて
僕は、占領軍によって歪められてしまった
戦後天皇制にただ一人立ち向かい
最後は自衛隊の基地でアジ演説を行い
腹をかっさばいてみせた三島由紀夫という
作家の凄さを改めて認識しました。
僕は、大蔵省、に代表される霞ヶ関の高級官僚達が
清廉潔白で超優秀な人達で
運営される組織であるなら
天皇陛下勅命の、宗教的権威、があっても
構わないと思います。
ただ実際は、官官接待、天下り、業界との癒着
税金の無駄使い、裏金作り……と
宗教的権威、どころか、俗物の見本、のような
有様なので、高級官僚達の、宗教的権威、を
否定してしまいたくなるのです。
宗教的権威、というのは
例えば、文部省、が、教育の総本山である、という
迷信に代表されるお上意識です。
文部省推薦図書、とか、文部省推薦映画、というのが
昔はありました。
何年か前にも、文部省が不登校を認めた、というニュースが流れた事がありました。
でも、社会契約説、に基づく
近代国家、として見てみると
文部省が教育の総本山である、というのは
おかしいものです。
ただの雇われ役人、が、どうして
推薦図書、や、推薦映画、を指定するのでしょう。
庶民が無知な時代はそれでよかったのかも
しれませんが、現代の、市民、はそんなに
無知ではありません。
文部省、も、文部科学省、になってしまいました。
文部省、は、宗教的権威、がありそうですが
文部科学省、には、宗教的権威、がなさそうです。
日本書紀、には、間違っても
科学、という言葉は出てきません。
先日、政府が、首相の諮問機関である
第28次地方制度調査会、を設置し
都道府県をブロックごとの行政組織に
再編する、道州制、導入に向けた本格的な
議論に入る方針を固めた、というニュースが
ありました。
本当に、道州制、が導入される可能性が出てきた
わけです。
そして、霞ヶ関の高級官僚達に
もう、宗教的権威、はない。
となると、この国は、この州は、と突き放して
発言しても、非国民扱いはされない、という
状況になっていくかもしれません。
この国、や、この州、が指すものは
単に、ホップスの、社会契約説、に基づく
リバイアサン、というコンセンサスができて
いくのかもしれません。
もしかしたら、明治以来の画一的中央集権化が終わり
ミカド、という日本人のスピリチュアルな
精神的支柱と、幕府、という俗界の政治権力が
分かれていた、江戸スタイル、に戻っていくのかも
しれません。
分からない。分かりません。
でも確かな事は
・どんな社会も完全ではない
・どんな社会も真底から善くはないが
だからといって、どんな社会も絶対的に悪くはない
・あらゆる社会は、その成員に
ある種の利点を提供するが
一方、不正の澱はなくなるわけではない
という事です。
冒頭のレヴィ=ストロースの、悲しき熱帯、の中の
一文です。
やはり最後はブルーハーツになってしまうのですが
簡単に言うと
ここは天国じゃないんだ
かといって地獄でもない
いい奴ばかりじゃないけど
悪い奴ばかりでもない
という事です。
栄光に向かって走る
あの列車に乗って行こう。
謹んで新年のお喜びを申し上げます。
本年も、卵のなかみ、をよろしくお願い致します。
TRAIN TRAIN 走って行く
TRAIN TRAIN どこまでも
―我が国とこの国(完)-
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