"I'm looking for red beans."

2004年10月04日

"I'm looking for red beans."

[投稿者:仙台インターネットマガジン編集部]

<この文章は私が中本誠司個人美術館のメーリングリスト向けに、連載してたものです。ニューヨークに行こうがなかなか進まないので、こちらを先回りして、掲載します。>

20030914 NY Art Report Part5 "I'm looking for red beans."

人間が生まれ育った環境を抜け出すのは難しいものだ。
とくに難しいのは、味覚や、骨身にしみついた習慣をかえることだ。これだけは譲れないという、習慣をだれもがもっているだろう。

普通、こちらにきて、一番恋しくなるのは、やはりごはんだろう。

NYにもう20年になるという日本人が言うには、「自分は、考え方とか、生活とかは、もうアメリカ人になってしまっている。でも、ときどき、無性に、どうしようもなく、日本食が食べたくなるんだ。」と。
それほど、味の記憶というものは、強いものだと言うことだろう。

だけど、それだけじゃなくて、NYにはあまりおいしいものはないというのが、ほんとうの理由ではないだろうか。
ここでおいしいものは、チャイニーズと、道端でうっているホットドックとベーグルだけである。
そんなことを、こちらに長い友だちにいったら、ほんとそうだよねー。と、賛成してもらえた。

さてさて話しを戻そう、こちらに来てもう1週間、私が、なにを一番いやだなーと思ったか、それは、まくらと布団である。

今の部屋についた日、部屋にはベットがあったけど、布団はなかった。枕とシーツは家のオーナーが用意してくれた。だからその夜は、まだ暖かったからいいけれど、服をいっぱい着て、シーツをかぶって寝た。
次の日はどうも、漫然とした疲れがぬけなかった。

こちらの枕は綿がいっぱい入った、ふかふかの枕である。私はこれが大の苦手で、頭がほかほか熱くなって、熟睡できない。これだけは、どうも、いやなのである。絶対に譲れないのである。
日本にいるときは、小豆のはいった枕を愛用している。これだとひんやりと冷たくて、気持ち良く眠りにつけるのである。

二日目の夜にほかほかと温かい枕で寝つけないので、よしこうなったら、明日、小豆の枕を作ってやろう。と、思い立った。
実は、この計画は、ひそかに日本にいるときから考えていて、小豆を入れる枕の生地だけはもってきていたのだ。

次の朝、さっそくこの計画を実行に移すことにした。
しかし、いったい、このNYのどこに、小豆が売っているのだろうか?

しばし、考える。
「!」
「こまったら、チャイナタウン。中国の人は、なんでも食べるっていうしな、きっと小豆もうっているはずだ。」
そんなことを勝手に想像して、学校がおわりすぐに、7トレインという、地下鉄に乗って、フラッシングにむっかう。この7トレインというのは、マンハッタンから、Queensの右上にあるフラッシングという、ところまでをつないでいる。学校からは30分である。

地下鉄と言っても、地下を走っているのは、マンハッタンだけのことで、それ以外のところは、全部道路の上に、おもちゃのジェットコースターなような、ちゃちな作りの高架の上を走っている。日本にあったら、大きな地震で一発で倒壊するだろう。

フラッシングという所は、チャイナタウンとコリアンタウンが合わさったような所で、非常に面白い。街を歩いているのも、だんぜんアジア人が多い。ここにくると、不思議に安心をしていまう。

しかし、小豆さがしの旅は簡単ではなかった。この街の端から端まで探し回った。しかし見つからない。中国人は小豆を食べないのだろうか?

最後の最後にたどり着いたのが、日本食品売り場だった。。。。
おお、小豆があるではないか。ちゃんと日本語のパッケージだ。
しかし、こちらで、売っている日本の食材は安くない。だいたい日本の1.5〜2倍はするのである。
これで、枕なんか作った日には100ドルはかかってしまう。

ダメだこりゃ。と、私はため息をつき、肩をおとして、7トレインに乗り込んだ。
途中で、7トレインからNトレインに乗り換え、夕日に染まるマンハッタンを眺めながら、家に向かう。
また、あのふかふかの枕で寝るかと思うと気が重い。

駅をでて、家まで5分だが、途中で夕飯の支度をしようと思い、スーパーに寄った。
私の家は、アストリアという所にあって、もともとギリシャ人が作った街のようだが、今はヒスパニックの人が沢山住んでいる。
街を歩いていても、英語を聞くより、スペイン語を聞くほうが多いんじゃないだろうか。
地域によって、全然違う人が住んでいる、これがNYである。

やはり、ヒスパニックの人が多いので、スーパーには、あまり見たことがないような、食材も沢山ある。
私が砂糖を探して、スーパーをうろうろとしいると、偶然、豆コーナーを見つけた。
ヒスパニックの人は、豆を随分たべるようで、沢山の種類の豆が置いてあった。

まさかなあ、小豆はないだろうなあ、なんて思いながら、よく見ていると、そこに小豆らしき豆があるではないですか。
おおこれだこれだ。これなんだ。袋を見ると、Red Beansと書いてある。
形は、日本の小豆よりも、平べったいが、大きさといい、色といい、これはまさしく小豆である。
値段も、1袋2ドル、安い!!!
私は、このRed Beansという豆を、10袋ほど買い占めて、小躍りをしながら、家に帰った。

家にもどり、台所で袋を開けると、まさしく小豆の匂いがするではないか。
やった。
俺はやったんだ。
今日からは、ひんやりとした小豆の枕で寝れるんだ!

そんなことを1人で、NYまできて、つぶやいる私はアホだろうか?

こうして、私の小豆探しの旅は終わった。

私は、NYで、小豆の枕を使っている、数すくない日本人だろう。


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投稿者 仙台インターネットマガジン編集部 : 2004年10月04日 01:37
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