フィラデルフィア美術館

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2004年10月04日

フィラデルフィア美術館

<この文章は私が中本誠司個人美術館のメーリングリスト向けに、連載してたものです。ニューヨークに行こうがなかなか進まないので、こちらを先回りして、掲載します。>

ニューヨーク アート レポート12


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 フィラデルフィア美術館
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フィラデルフィア美術館に行ってきた。なんの予備知識もなく訪れたのだが、
思い掛けなく、マルセル・デュシャンの作品をみることができ大満足だった。

前回は、どうも話しがアート以外に飛んでしまったので、今回はすこし反省し
て美術館のことをもっとかいていきたい。それでも、私のないアートの知識を
ひけらかしても、しょうがないので、情景や状況の説明に文面をさいてしまう
ことを、お許しいただきたい。

フィラデルフィアは、ニューヨークから車で2時間ほどいったところにある。
ペンシルベニアという州にあって、全米5位のビジネス街でもある。人口は1
50万人で、仙台よりももう少し大きいくらいだ。歴史に深く、落ち着いた街
並と、古い建物がめだつ。あのメイフラワー号が辿り着いたの土地である。

<写真1>
http://www.im-sendai.jp/ken/200407philadelphia/images/DSCF08211_JPG.jpg


今回、フィラデルフィアに行くことになったのは、ルームメートのクリスがフ
ィラデルフィアで行なわれるビールフィルティバルに一緒にいこうと誘うの
で、ビールに目のない私は、返事ひとつについていくことにしたからだ。さっ
そく話しは飛んでもうしわけないが、アメリカには地ビールが沢山ある。日本
のビールもおいしいのだが、種類の多さには負ける。小さな会社がいろいろあ
って、オリジナルなビールが沢山ある。中には22%という日本酒より強いビ
ールまである。

ちなみにニューヨークからは、バスで2時間、隣の隣の州であるが、そのわり
には遠くはない。今回はチャイナタウンバスをつかった。これはその名の通り
中国人が経営していて、チャイナタウンからでているバスだが、非常に安い。
フィラデルフィアまでたった10ドルだ。普通なら往復で40ドルだから、相当
格安である。このバスは、その他ボストンやワシントンにもでている。貧乏旅
にはぴったりである。アメリカに来た際は使ってみてはどうだろうか。

フィラデルフィアの場所
http://color.pepper.jp/philly/1/location.php


私は高校をでて2年間旅行をしていたので、旅が大好きだ。しらないまちに行
くと、何もかもが新鮮に感じて、楽しいものだ。このところ英語との格闘のた
めに、机に座って、辞書を読むという生活を続けていたので、久しぶりの小旅
行を心からたのしむことができた。

さて、話しをフィラデルフィア美術館にすすめよう。実はほとんどの読者の方
はこのフィラデルフィア美術館をみたことがあるはずだ。美術館の周りの風景
も頭に浮かべることもできるだろう。

なにを言ってんの?と思うかもしれませんが、
まず、この写真をみてください。

<写真2>
http://www.im-sendai.jp/ken/200407philadelphia/images/DSCF0752_JPG.jpg

これでぴんと来た人は、なかなかセンスがいい。


そう、この美術館、映画「ロッキー」の舞台として登場しているのです。思い
出してください。ロッキーがジョギングをしながら、上っていく階段を思い出
してください。そう、あのシーンこそ、フィラデルフィア美術館なのです。カ
メラがパーンして、遠くに見える街並がフィラデルフィアです。タラタ〜、タ
ラタ〜と、ロッキーのテーマソングが聞こえてきそうです。

<写真3> ロッキーの足型と、フィラデルフィアの街並
http://www.im-sendai.jp/ken/200407philadelphia/images/DSCF07531_JPG.jpg


フィラデルフィア美術館は、建物は大理石で出来ていて、歴史を感じさせる。
建物の装飾は派手で、カラフルだ。規模も大きく、ニューヨークにあるメトロ
ポリタン美術館ほどではないが、ゆっくりまわっていたら、一日は時間を潰す
ことが出来るだろう。今回はスケジュールの関係で、2時間しか滞在すること
ができなかった。でも、それでちょうどいいかもしれない。大きな美術館をは
しから、端までみようとすると、疲れるばかりで、何をみたかわすれてしまう
から。

コレクションはヨーロッパ美術、アジア美術、アメリカンアート、近代・現代
美術と、武器と甲冑までと幅広い。今回はアジア美術と近代・現代美術だけを
みてきた。

入場料は、寄付。毎週日曜日は、自分の好きな金額を払うだけで、入場でき
る。ニューヨークだと、金曜日の夜だけが一般的だが、フィラデルフィアは、
太っ腹だ。ちなみに私は、ちょっと心苦しいが、1ドルだけを寄付してきた。
宮城県美術館でもこのシステムを導入してほしい。これなら、美術に興味のな
いひとも、ちょっと行ってみようかなあと思うはずだ。学生が何万人も近くに
いるのだらか、もっと混んでいても良いはずである。


今回一番、面白かったのは、近代・現代美術のコーナーにあったマルセル・デ
ュシャンの常設展だ。ピカソのあとに活躍して彼は、コンセプチャル・アート
(概念美術)の先駆けのようなひとだ。一番有名な彼の作品は、「泉」。買っ
てきた便器にサインをしただけの作品。この作品を80年前にみせられた観客は
どんな気分だっただろう。その他、有名な所をあげれば、モナリザにヒゲを書
き足した「L.H.O.O.Q」と言う作品。見る人をからかったような、考え尽くさ
れたユーモアの様な作品だ。

<写真4> 「 泉」
http://www.im-sendai.jp/ken/200407philadelphia/images/DSCF0775_JPG.jpg

いま、もし私がダビデ像にヒゲを書き加えた作品を発表しても、なにもインパ
クトはない。それはデュシャンがすでに古い絵に落書きをするという行為を作
品として発表しているからだ。、モナリザに落書きをした作品ではない。モナ
リザに落書きをした行為そのことが作品だ。 コンセプチャル・アート(概念美
術)というのは、きっとそういうことだろう。現代美術を難しくしたのは、彼
の仕業かもしれない。

そして、私がまんまとデュシャンにだまされたのは、彼の遺作だ。常設展の一
番奥には、暗い部屋がある。そこには大きな木の扉が意味あり気にある。その
扉に空いている穴から、観客が中をのぞき込んでいる。

<写真5>
http://www.im-sendai.jp/ken/200407philadelphia/images/DSCF07841_JPG.jpg

なかには、下半身をあらわにした倒れている女性の裸体がみえる。しかし顔は
みえない。どうも、倒れているのか、寝ているのか、それとも死体なのかは、
よくわからない。よく見ようとすると、裸体をじろじろとみることになり、変
な罪悪感を感じる。いやいや、デュシャンにやられた。と、あとから気がつい
た。何十年もたっているのに、いまだに人にリアクションを与えられるという
のは、スゴイと思う。

<写真6>
http://www.im-sendai.jp/ken/200407philadelphia/images/DSCF0785_JPG.jpg

もう一つ、びっくりしたのはアジア美術のコーナーであった。ここに日本の美
術品があるとい書いてあったので、浮世絵でも飾ってあるのかと思ったが、な
かにあったのは、茶室の建物であった。それと小さなお寺がそのまま美術館の
なかに再現してあるのだ。笹まで植えてあって、まるで野外にきたようだっ
た。これを日本からわざわざ解体して再現したのだから、相当お金がかかった
だろう。

<写真7>
http://www.im-sendai.jp/ken/200407philadelphia/images/DSCF0796_JPG.jpg

英語には美術館と博物館の違いはない。それもあってか、このような総合アー
ト美術館のようなところには、このような大掛かりの作品が展示してある。美
術館なら絵と彫刻しか飾っていない日本との違いである。これは背景が違うの
で、比較したところでしょうがない。

このような美術館のコレクションの背景には、人類学がある。人類学というの
はもともと、植民地をどのように、効率良く管理していくかと始まった学問
だ。ワシントンには、これでもかというほどの美術館、博物館あって、世界中
の美術品を展示している。それは世界の中心だからだ。彼らは世界をうまく管
理していくために、世界中を研究している。その過程でこれほどの美術館と博
物館ができたのだろう。

私たちは、それとは違う道でアートを考えていくべきだとおもう。


(了)   佐藤研一朗 2004.8.1


フィラデルフィア美術館公式ホームページ
http://www.philamuseum.org/


Making sense of Marcel Duchamp
マルセル・デュシャンの作品が見れる とても凝っていて素晴らしい。(英語)
http://www.understandingduchamp.com/

仙台インターネットマガジン 近江俊彦さんによるアート講義
マルセル・デュシャンの話しができます。
http://www.im-sendai.jp/rensai/2000/2000.8/oumi.html

マルセル・デュシャン年譜(日曜鋳物師のページから)
http://ha5.seikyou.ne.jp/home/seamew/profile/duchamp1.htm

河瀬昇さんによるArt Contemprary in Japan
現代美術家や現代アートの考察がいっぱい(トップページ)
http://www.linkclub.or.jp/~kawasenb/

マルセル・デュシャンについての解説,1,2,3
http://www.linkclub.or.jp/~kawasenb/02artist/dcn1_page/dcnn.html

http://www.linkclub.or.jp/~kawasenb/02artist/dcn2_page/dcnn2.html

http://www.linkclub.or.jp/~kawasenb/duchamp_dynamism.htm


マルセル・デュシャンについての ぼくだけの勝手な解釈(中江嘉男)
ちょっと、ほかのと違っていておもしろい。
http://www.nezumikun.com/chico/Duchamp.html




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投稿者 im-sendai : 2004年10月04日 02:02
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