彫刻センターSculpture Center

2004年10月04日

彫刻センターSculpture Center

[投稿者:仙台インターネットマガジン編集部]

<この文章は私が中本誠司個人美術館のメーリングリスト向けに、連載してたものです。ニューヨークに行こうがなかなか進まないので、こちらを先回りして、掲載します。>

ニューヨーク アート レポート11


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 彫刻センター Sculpture Center
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小さな美術館がおもしろい。つねづねそう思っているが、先日、彫刻センター(Sculpture Center)を訪れて、それをまた実感した。

モマクイーンズ(MoMAQueens)から歩いて、20分ほどの所に彫刻センターはある。この辺りクイーンズのロングアイランドシティーは寂れている。再開発の起爆剤として建てられたシティバンクの30階だての高層ビルがひとつぽつんと建っているだけで、あとは倉庫と車の修理工場があるだけである。このへんの地理に詳しくない人は、この倉庫街にうずもれた美術館を探しだすのに一苦労するだろう。道には小さな看板がたっているだけで、外観は完全に倉庫か工場である。それもそのはずこの美術館はもともとトロリーの修理工場だったそうだ。

<写真1>
http://www.im-sendai.jp/ken/200407sculpture/pages/DSCF0675_JPG.htm

この美術館も、先日紹介したアフリカンアートミュージアムと同じように、最近マンハッタンから移ってきたようだ。家賃が高すぎるからだ。有名な前知事のジュリアーニは、いまでも共和党の副大統領候補にしたらと声があがるくらい評判がいい政治家だ。業績はマンハッタンを徹底的に綺麗にして、安全にしたということだ。荒廃した風景は人をもっと荒廃させる。と言うスローガンのもと、割れている窓ガラスをもとにもどさせた。麻薬の売人を片っ端から捕まえて、アダルトショップを立ち退かせ、警官をそこら中に配置した。それはすごい手腕であったが、その副作用として、マンハッタンの家賃が高騰したのである。

それでお金のないひとはクイーンズやブルックリンなどに移らなくてはいけなくなったのだ。私が住んでいるクイーンズのアストリアも、5年、10年前までは、倉庫しかなかったと、以前レポートに書いた。このような街の移り変わりの激しさはニューヨークの文化をつくっているような気がする。

仙台でも、泉区の北の方にたまに出かけると、それまで山や田んぼだった所が新しい団地になっていたりして驚くことがある。しかしニューヨークの街の移り変わりは、古い町が、全く性格が違う新しい街に生まれ変わってしまうというもので、ちょっと意味合いが違う。

話しはもどる。
建物の中は、元修理工場と言うだけあって、大きなスペースにただ壁を取り付けただけだ。展示場は1階と、地下である。入場料は5ドル以上の寄付。

この美術館、彫刻センターというわりには、いわゆる「彫刻」という作品は一つもなかった。ほとんどの作品がインスタレーションといっていいと思う。今回のテーマの一つは音のアートといことで、美術館のあちらこちらから、いろいろな音が聞こえてくる。

今回は面白い作品が多くて、どれを紹介するか迷ってしまうが、とくに印象にのこっている作品を3つ紹介したい。一番最初に目に付いたのはビデオ作品。レストランの様子が何事もなく映されている。最初は何のことかわからなかったのだが、見ているうちに、だれ一人もおしゃべりをしていないことに気がついた。レストランの中では、数人がビラをくばっている。そのビラがテーブルにおいてある。シーっと人さし指を口に付けて、「静かに!」とジェスチャーをしている。このジェスチャーは万国共通なのかと、ちょっと驚いた。


<写真2>

Francis Alys & Rafael Ortega "One Minute of Silence"

http://www.im-sendai.jp/ken/200407sculpture/pages/DSCF0679_JPG.htm


つぎに面白いなあと思ったのは、天井からスピーカーの音がでる丸い部分だけがつるしてある作品だ。この丸い部分だけが、音もたてづにドクドクと動いている。なんだか、不思議で、ちょっと薄気味わるさを感じてしまう。


<ビデオ1>

Stephen Vitiello "Fear of High Places and Natural Things"

http://www.im-sendai.jp/ken/200407sculpture/pages/DSCF06991_JPG.htm


地下は少しかび臭く、迷路のような細い通路になっている。何となく不気味な雰囲気が漂っている。その入り口にこの作品が置いてある。古びた安っぽいレコードプレイヤーにヘッドホンがついていて、自分の好きなレコードが選んで聞けるようになっている。ただこのレコードはビニールでできている。本物のレコードから型をとったのだろう。音楽は聞こえるが、ビニールで出来ているだけあって、雑音が多すぎてよくわからない。古い音楽のようだ。遠い消えゆく記憶と言う感じである。もしくは30年前の新聞を読んでいるのと同じで、何を言っているかよくわからない。


<写真3,4> 

Terry Nauheim "Curiously Groovy"

http://www.im-sendai.jp/ken/200407sculpture/pages/DSCF0686_JPG.htm
http://www.im-sendai.jp/ken/200407sculpture/pages/DSCF06861_JPG.htm

帰り口にカウンターで受け付けをしていたスタッフの人と話し込んだ。話しによるとこの彫刻センターはNPO(Non Profit Organizationの略 - 非営利団体)で運営されていることだ。それもあってか、本当に気さくな人だった。自分が働いている中本誠司現代美術館もNPOなんですよと、話しがもりあがった。中本美術館のホームページをみせると面白いと喜んでくれた。しかしそろそろホームページの英語版を拡充しなければいけないなあ。


それにしても、今回のテーマに合わせて、本当にぴったりな作品ばかりがおおかった。どのように作品を集めているのだろうかと、疑問に思うほどである。あとでホームページを調べてわかったのだが、この美術館、イメージライブラリーというシステムをとっている。このシステムは、アーティストが自分の作品をこの美術館に登録しておいて、企画展がおこなわれるとき、このイメージライブラリーからテーマにあっている作品が選ぶ。現在は400名以上のアーティストが参加していて、毎回、企画展に展示される作品の3分の2はイメージライブラリーから作品だ。これは非常にイイシステムだとおもう。中本美術館も導入したほうがいいかもしれない。

このイメージライブラリーはどんなアーティストでも、要項を送れば、登録してくれるそうだ。日本から沢山応募して、From Japan なんていう企画展が開催されたら、面白いとおもうのだが。

募集要項はこちらから  (彫刻センターホームページ内)
http://sculpture-center.org/gi_artistsubm.html


佐藤研一朗 2004.7.22 
(了)

彫刻センター(Sculpture Center) 公式ホームページ
http://sculpture-center.org/

この展覧会の写真をもっとみたいひとは  (彫刻センターホームページ内)
http://sculpture-center.org/pe_treble_img1.html


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投稿者 仙台インターネットマガジン編集部 : 2004年10月04日 01:56
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