現代美術以外の表現形態における現代性

2004年12月02日

現代美術以外の表現形態における現代性

 EVAN PARKERがまた仙台にくる。誰が何といおうと、現代に残る数少ない前進し続けるJAZZプレイヤーだ。

 JAZZは死んだ!ということはよく言われることだ。事実、私も1969年のアルバート・アイラーの死をもってJAZZという表現ジャンルは、幕を閉じたと思っている。

 今でもビッグネームはいっぱい居るが、JAZZとしてのありようとは個人表現の深みを押し広げていくところに有ると思う。その意味では、コルトレーンや、アイラーが居なくなったJAZZ界では前進にブレーキがかかったようで停滞期に入ったように見える。そして停滞は死を意味するのだ。

 アメリカにおけるJAZZはこうして幕を閉じたように見えるが、実は北欧で脈々と前進を続けている人達が居る。あまりコマーシャルではないが、そして方向性は必ずしもJAZZの脈絡を踏襲したものではないかもしれないし、聞いていてちょいと触感が違う。しかししかしである。そこでJAZZの命は生き続けているのである。

 EVANは、その旗手的な存在である。その表現は、北欧のもう一人の旗頭であるペーター・ブロッツマンの豪快さに対し、極めて理知的な味わいがある。サックス一本(とりわけソプラノは凄い)から、つむぎだす音の多様さは、他のプレイヤーの追随を許さないものがある。そして、我々はなお前進を繰り返すリアルタイムの音楽表現に向かう事ができるのだ。

 さて今日の本題。その、EVAN PARKERの表現についてである。コルトレーンやアイラーの表現と比べると何かが物足りないのだ。まあ、極論すると、黒人以外の人種のプレイヤーで事足れりと思わされた人は私の場合、皆無である。精神性の深さかな?となんとなく思っていたが、チャーリー・パーカーが宗教的な発言をしていたかというと全然そんなことはないし、という事で最近なんとなくまとまりかけているのが、表現する音楽要素よりも、まさに出てくる音そのものの感触が、表現を支える上で重要な役割を担っているのではないかという考え方である。そして、その音から、表現の深さや精神性の高さを感じ取っているのではないかと思うようになってきた。

 リズム、メロディ、アンサンブルといった要素によって成り立っている音楽も突き詰めると、声や、音そのものの魅力が表現の魅力に直結しているのではないかということだ。

 フルトベングラーも、彼の特質が熱狂にあり彼のもとでベルリンフィルは荒れ狂ったような音色でそれに応える。その音そのものに我々はベートーべンや、ブラームスの精神性を投影させて聞いてしまっているのではないか。

 ビリー・リディの声しかり、美空ひばりの声しかり。そして、その音(声)を求めてトレーニングを積んでいくのではないのかと、そう思うようになってきた。

 パブロ・カザルスの宇宙的な広大さ巨大さを感じさせるのも、彼の演奏全体からではなく、彼のチェロと彼の奏法が調和し産み出される音そのものに、表現の本質が有るのではないだろうか。

 現代においては、演奏技術や理論が多様化し、かつ、評論家も批評のしやすさから、音楽の構成要素についての話ばかりで、表現の本質ということにはなかなか触れられることは大変に少なくなってきていると思う。また、表現者のほうも、技術や理論のほうが、目の前にぶら下がった目標を一つ一つクリアして行けば目に見えやすい進歩につながる事から、そういった方向ばかりを追い求める事になってしまっているような気がする。

 表現の本質は、やはり、自分の内に在るものであり、外界にむかって求めるものではないし、ましてや与えられるものでは全くないと考えている。自分の内に在るもの(表現)が何者なのか、またそれを探すための方法は誰も教えてはくれない。教えられるものではない。全ては自分で解決していかなければならない問題だ。

 実はこういった本質論はずっと変化する事のないものだと信じてきたのだが、現在の状況を見るにつけ、これからの若い作家達が作っている作品を見るにつけ、また、彼らの今後の展開を考えるにつけ、現在の状況に対し、若干不安を感じさせられていた。我々のような重厚長大を追い求める美術表現は、私の世代をもって、終焉を迎えるのかなと思っていたものだ。

 しかし、今は、奈々奇君という本質的な表現者が居る。彼の表現のどこがそんなに気に入っているのかなと考えていたが、やはり、音そのものの強さ美しさが、大きな魅力となっているのだと改めて感じた。

 かれは、パフォーマーであり、音楽家ではないかもしれないが、音楽の本質は音そのものにしかないと思う今日この頃です。




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投稿者 im-sendai : 2004年12月02日 11:53
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