マリリン・マンソン VS ニーチェ 第二戦 2003.6.X 初出

2005年01月21日

マリリン・マンソン VS ニーチェ 第二戦 2003.6.X 初出

というわけで、マリリン・マンソンが
ニーチェを読んでいた事を僕は発見したのです。
ファンの中では常識かもしれませんが。

ニーチェの代表作、ツァラトゥストラはかく語りき、は
名著で、僕も読んだ事があります。

マリリン・マンソンと同じく
キリスト教世界にあって、神は死んだ、と叫んだニーチェ。

しかし、ニーチェの代表作、ツァラトゥストラはかく語りき、を
注意深く読んでいくと、ニーチェは
イエス・キリストその人を批判しているのではなく
イエス後の教会のあり方、社会のあり方
文明のあり方、を批判しているのだと分かります。

キリスト教文明というのは、近代科学や
クラシック音楽などを生み出して
世界に貢献してきましたが
隣人愛や天上の救いなどの概念が
どうしても偽善的な文化を形成してしまう
ようです。

好色、貪欲、金銭欲といった
人間の自然な欲求を否定し
天の国に至上の価値を置く。
その事自体は「♂♀ 生・性・聖」の
エッセイでも書きましたが
地上で傷ついた人々に安らぎを与える、という
宗教本来の形ですから仕方のない事です。
ですが、現在のアメリカ政府のように
他国でキリスト教的価値観から見て
非人道的な事が行われていたら
出かけていって開放、教化してあげなければ
ならない、という清教徒的というか
子供じみた正義感のある文化、文明を
築きがちです。
それで世界中が迷惑しているのにやめない。

そういったキリスト教文化が持つ偽善性を
鋭敏な感性を持つニーチェは感じ取り
ツァラトゥストラはかく語りき、の中で
天国を否定し、地上の快楽を肯定し
超人になれ、と叫んだように思います。

ニーチェ自身は最終的に、永劫回帰、という
あらゆる善悪も、時空も
キリスト教という宗教すらも超えた概念を提出し
発狂してしまい、十年以上ベットの上で
のた打ち回って死んでしまいました。
すさまじい。

私はダイナマイトである-。
とも、生前ニーチェは語っていて
同時代の人は理解できなかったようですが
確かにニーチェはダイナマイトで
盲目的なキリスト教の支配から脱した
ヨーロッパは、その後
急激な近代化を迎え、戦争の世紀に突入し
ナチスを生み出してしまいます。
ピカソの絵で有名なゲルニカという町で
人類史上初めて一般市民への無差別爆撃が
行われましたが、僕はそこにもニーチェの
影を感じます。
歴史に、たら、れば、はないとよく言われますが
ニーチェがいなければ広島、長崎に原爆が
落とされる事もなかったのかもしれません。

アメリカの学校で起こった殺人事件が
マリリン・マンソンのアルバムのせいにされた
というのも同じ構図のような気がします。
マリリン・マンソンも現代アメリカの
ダイナマイトなのでしょう。
自分達の持つ一番嫌な部分を見せられると
社会は非難します。
それは普段は蓋をしている自分の欲求でも
あるからです。

でもそれはニーチェと同様、吹き出すべくして
吹き出したその文明の持つ毒であって
マリリン・マンソン自体を非難しても
仕方がないような気がします。
ちょうどサカキバラ事件の後
日本中で少年犯罪が頻発したようにです。
誤解されると困りますが
それは、サカキバラ事件を起こした少年が悪くない、という
事ではありません。彼はその毒を芸術という形で
提出すべきだったのです。

閑話休題。
マリリン・マンソンにしてもニーチェにしても
共通するメッセージは
傷ついたからといって、天国での救いばかり
考えて祈ってばかりいるな!
現世でどんな貧乏くじを引いても
無理やり幸せになれ!
地上に生きろ!
地上の悦楽を肯定しろ!
超人になれ!
というもののように思います。
ですが、そういうメッセージが世界に溢れると
どうしても地上は争いの絶えない場所に
なってしまいます。
もしかしたらイエス・キリストは
人類の特質がそういうものだ、と知っていて
2000年以上も続く大嘘をかましたのかな、と
思うと、逆にイエス・キリストの
凄さもわかります。

マリリン・マンソンもニーチェも
ひどい育ちだったらしく
どうせ神なんかいねえんだろ? と
思う瞬間が何度もあったのだと思います。
でも不思議な事に両者とも
イエス・キリストその人は批判していません。
イエス以後の社会、教会、文明を批判しているのです。

感性の鋭いマリリン・マンソンの
ボーカル、ブライアン・ワーナー氏は
ニーチェ同様、ひどい育ちの中で
傷ついた人間は天国という概念にすがって
一生を終えるしかないのか?
TVではおかしな宗教家が出演し
ワイドショー的な人生相談を行って金を儲けて
いやがる!
ラジオから流れてくるロックミュージックも
売れ線バンドばかりだ!
ROCK IS DEAD !
GOD IS DEAD !
GOD IN THE TV ?
ハレルヤ・マザーファッカー !!!
と、怒りと破壊衝動を高めていったのだと思います。
そして日本の宮城県仙台市青葉区北山に住む
小説家の卵にまで衝撃を与え、エッセイを一本書かせて
しまう程の、マリリン・マンソンの音、を作った。

うーん、これは本物だぜ、と僕は思った。
ピュアで鋭敏な感性が社会の矛盾を暴き
それが表現として噴出してくる。
とても文学的な音だ。

マリリン・マンソンというバンドの持つ
破壊性というのは、実はとてもピュアな
初期衝動から出発していたのだ。

マリリン・マンソンもニーチェも
本物のクリスチャンだから
現在の社会、教会、文明が
許せない……。

というわけで
マリリン・マンソン VS ニーチェ は
引き分け。

ちなみに今日はマリリン・マンソンと
hideが友達だったというのも
なんとなく分かりました。
ZILCHのhideです。
今なら書いてもいいように思うのですが
hideはファンに内緒で
慈善団体に寄付していたらしい、との事です。
友達から聞いた話なので噂かもしれませんが
(間違ってたらゴメンナサイ)
でも格好悪いからファンに隠してた、と
いうところに、僕は精神のダンディズムを感じました。

どんなに破壊的な表現を行っていても
表現者の根底にあるのはいつも
とてもピュアで傷つきやすい感性の
ような気がします。

-マリリン・マンソン VS ニーチェ(完)-


ツァラトゥストラⅠ ニーチェ 中公クラシックス


ツァラトゥストラⅡ ニーチェ 中公クラシックス


マリリン・マンソンの言葉 チェック・ウェイナー著 村上ひさし訳






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投稿者 im-sendai : 2005年01月21日 22:52
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