お釈迦様の手のひらの上を駆け回っている孫悟空 其の二 コギトと六識 2003.7.X 初出

2005年01月27日

お釈迦様の手のひらの上を駆け回っている孫悟空 其の二 コギトと六識 2003.7.X 初出

人間が世界を認識する時、最も重要なものは
六識のうち、意識、である。
それを近代的な言い方で表現したのが
デカルトという哲学者の
我思う故に我あり(コギト・エルゴ・スム)なのでは
ないか、と最近僕は考えています。
デカルトというのは近代哲学の祖と呼ばれる人で
教科書などにもよく登場します。
我思う故に我あり。
なんだそんなの誰でも言えるじゃないか、何が
偉そうに近代哲学の祖だ、と思ってしまいますが
何が凄いのでしょう。

僕は哲学研究者ではないので
あまり詳しい事は分からないのですが
たぶん、我思う故に我あり、とする事で
個人の責任の主体を明確にしたところが
凄いのでは、と思ったりします。
我思う故に我あり、という個人の主体というものが
確かに存在するのだと仮定しなければ
近代社会は成立しません。
つまり私有財産制も選挙も
契約も成り立たない。
極端な例を出せば、裁判官が
凶悪犯罪者のあなたを死刑にします
と判決を言い渡そうとしても
その凶悪犯罪者の、あなた、が、我思う故に我あり、という主体を持っていなければ判決を言い渡せないという事。

容疑者が犯行時心神耗弱状態にあった可能性が
あるため刑を科すことができないかもしれません、と
いうニュースが流れて、なんたる事だ、そんなのありか、と思わされることがありますが
それは、あなたは重大な罪を犯したので死刑です、と
判決を言い渡したくても、わたしは誰、ここは何処、という問いすら成り立たない、〇△◇$☆……という心神耗弱状態の人には、私、とか、あなた、という
個人の主体も存在しないという事になるので、判決を言い渡したくても言い渡せない、ということなのだと思います。
個人の主体を持っていない人には犯行の責任も問えない。
つまり犯行時心神耗弱状態であったため云々という
報道の背後には、デカルトの、我思う故に我あり、という文脈が見え隠れします。
そう考えるとコギトを打ち立てたデカルトは凄いのかもしれません。
やはり近代の祖です。

凄い言葉だ。
我思う故に我あり(コギト・エルゴ・スム)

デカルトはあらゆる事象を疑っていって(方法的懐疑)
でも、そう考えたり疑ったりしている私がいる、と
いう事だけは間違いないな、という事で
我思う故に我あり(コギト・エルゴ・スム)を
打ち立てたのだそうです。

ちなみに僕は、デカルトのコギトは凄い言葉だぞ、と
言う方に会った事があります。
その方は元ヒッピーで、インドでLSDをキメながら
デカルトのコギトを思ったという異色の方です。

LSDという薬物をキメると、人間の五官の認識力が
狂ってしまうそうです。
具体的には目の前の食べ物が30メートルのオブジェに
見えたり、そこにはいないはずの動物の鳴き声が
聞こえてくるとの事。
それでその方はLSDでトリップして五官の認識力がグチャグチャになっている状態で、デカルトの、我思う故に我あり、を思ったそうなのです。
つまり五官の認識力が狂ってしまって世界は
わけが分からなくなっているけれども
その中で、私がものを思っているという事だけは確かだな、と。
我思う故に我あり、これだけは間違いない、と。

僕はその話を聞いたとき
LSDをキメている状態で哲学するなんて
ずいぶん凄い方だなあ、と感心してしまいました。
ある意味その方は近代哲学の祖デカルトと
同じくらい偉いかも、と。でもデカルトはLSDを
使ったわけがないので(LSDは1940年代に発見)
やはりデカルトの方が偉いのだな、とも。

でもでもやっぱりお釈迦様はもっと偉いのだな、と僕は思いました。
つまり近代よりずっと昔に人間の世界認識は
五官に、意、を加えて六識なのだ、としている。
意、というのはつまり、我思う故に我あり、という個人の主体の事だと思います。
それが重要なのだ、とデカルトよりずっと以前にお釈迦様は明らかにしている。

それに今気がついたのですが
意識する
認識する
という漢字の、識、という文字は
仏教の唯識論の、識、からきているのではないでしょうか。
たぶんそうだ。
きっとそうだ。
凄いぞ……お釈迦様。

僕達はあなたの手のひらの上で
駆け回っている孫悟空にすぎないのですか?


其の三 西洋近代思想と仏教唯識論へ続く
http://www.im-sendai.jp/archives/2005/01/20037_12.html




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投稿者 im-sendai : 2005年01月27日 03:09
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