公共事業について考える4 計画とマネージメントの大切さ

2005年07月23日

公共事業について考える4 計画とマネージメントの大切さ

[投稿者:佐藤研一朗]

計画とマネージメント

公共事業をするうえで、大切なことが二つある、一つは最初の計画、もう一つはその後どうやって施設を活用していくかというマネージメントだ。最初の計画というのが何よりも大事である。作る施設の需要、立地、魅力、特性、費用、経済効果、利便性をどれだけ考えられるかで、その施設の将来の7、8割がたは決まってしまう。自分もイベントをやっているからよくわかるが、何よりも仕込みが大切だ。ここを大きく間違ってしまうと、後でもう取り返しがつかない。

次に大切なのはマネージメントだ。これは後の2、3割くらいだろう。特に、文化施設や、スポーツ施設のような生活の質を向上させる施設は、このマネージメントの占める割合がおおきい。マネージメントというのは簡単に言えば、営業努力というやつだ。どうやってその施設を効率的に運営していくか、どうやって利用客をあつめるかということだ。たとえば、クラシックコンサートホールだったら、年に何回は世界的な演奏家を連れてきて、コンサートをする。ついでに公開レッスンもやってもらうとか、クリスマスには子供たちのために無料のコンサートをひらくとか。まあそういったことだ。でも、こういうマネージメントだって、本当は最初の計画にはいっているべきなのだ。問題は、作った後それをどう活用していくかが、ほとんどの施設で考えられていないということだ。

では身近な例をあげて考えてみる。一番いい例は、利府にある宮城スタジアムだろう。宮スタの利用者が激減しているという河北新報の記事を引用する。

<河北新報から引用開始>

宮スタ利用者6割減 「特効薬」なく苦しい運営

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 2002年にサッカーワールドカップ(W杯)の会場となった宮城スタジアム(宮城県利府町)の利用者が激減している。04年度の利用者は前年度の4割止まり。所管する宮城県教委や施設管理を委託されている同県スポーツ振興財団は、サッカー国際試合の誘致やスタジアムのPRに力を入れているが、“特効薬”は見つからず、苦しい運営が続いている。

 4万9000人収容の宮城スタジアムは2000年、県総合運動公園(グランディ21)の中核施設としてオープンした。競技者、大会関係者らと、観客(有料)を合わせた利用者数の推移はグラフの通り。サッカーW杯があった02年度をピークに減少している。04年度の利用者は、前年度比マイナス57.7%の11万5167人にまで落ち込んだ。

 県スポーツ振興財団は04年度の利用者減の原因を、「Jリーグのベガルタ仙台の試合と、コンサートイベントが減ったため」(総務部)と言う。ベガルタ仙台のホームゲームが前年度の3試合から1試合に減り、前年度まであった人気グループのコンサートも開かれなかった。

 基本使用料に加え、有料イベントの場合、入場料総額の5%が収入となるが、「大入り」の有料イベントの減少から、04年度の収入はわずか600万円。2億5000万円以上とされる年間維持管理費との差は開く一方だ。差額は県の補助金がつぎ込まれており、関係者は危機感を募らせている。

 利用者を増やそうと、04年度は、県教委がスタジアムのPRも兼ねて、全国から高校サッカー界の強豪チームが集う「宮城スタジアムカップ」を開催した。浅野史郎知事も今年2月に、日本サッカー協会の川淵三郎会長を訪ね、トップ交渉。サッカー日本代表の国際試合の宮城開催を要請し、今秋には1試合が開催される可能性が出てきているという。

 だが、利用者数の柱だったベガルタ仙台の試合は05年度は1試合もなくなる見通し。さらに大規模なコンサート予定も入っておらず、利用者数の底上げは難しいのが実態だ。


2005年05月27日金曜日
<河北新報から引用終了>

W杯のために、270億円をかけてつくった、この競技場はろくな交通機関もなく、そこまでいくのに一時間もかかるというしろものである。いくら立派な競技場をつくったところで、誰もつかってくれないのでは意味がない。一時間以上もかけて会場にいって、ひいきのチームが負け、帰り道に渋滞にでも巻き込まれた日には、「こんなところ、二度と来るか。」と、愚痴の一つも言いたくなるのが人間だろう。そういう気持ちに利用者をさせてしまう施設というのは、やはり欠陥商品だというしかない。こういった施設は財産と言うよりは、負債である。だれも使う人がいなければ、毎年、何億という維持費を税金からはらうわけだから。

そうなるとマネージメント、営業努力の出番だけれど、立地条件をかえることもできないし、ここまで最初の計画が悪いとマネージメントで、どうこうできるレベルをこえている。交通機関もまともになく、仙台駅から1時間もかかるようなこのスタジアムを、これから効率的に使って行くのは、天才的な経営者をやとうか、オリンピックのような大きなイベントがない限り、至難のわざだろう。将来かかるお金を考えたら、ダイナマイトを仕掛けて爆破解体した方が(別に爆破しなくてもいいけど)、よっぽど税金の節約になるだろうが、そんなこともできるわけがない。まったくやっかいなものをつくってくれたものである。

私たちはこれをどう納得するべきなんだろうか。W杯で、日本代表の最後の試合を宮城で見られたのだから、私たちはそれで満足するべきなのだろうか、こういう施設を作ってしまったのは、W杯、W杯と浮かれていた県民みんなの責任なんだろうか。だれかこの失敗に責任をとったのだろうか。当時、この施設を企画した人は首、だったり左遷になったのだろうか。どうして河北新報はそのことをつっこまないのだろうか?

この辺はもう一度あとでやるけど、担当者はいつも数年で変わるので、だれの責任が責任者かわからないとか、ふざけたことばかり言わないで、宮城県は最低、このスタジアム計画にかかわった責任者を首にするべきだ。誰かは責任をとらなくてはいけない。そして失敗を認め、その失敗から学ぶべきなのだ。それをしないから、いつも、いつも、同じ失敗をくりかえすのだ。無責任文化は打破されるべきだ。責任をとって腹をつめるという日本の伝統文化はどこにいってしまったのだろうか。

すこし話はずれたが、このように最初の計画が悪いと、後で取り返しがつかないし、だからこそ、本当に大切なのだ。


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投稿者 佐藤研一朗 : 2005年07月23日 09:45
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