公共事業について考える2 公共事業=インフラ整備
公共事業について考える2 公共事業=インフラ整備
[投稿者:佐藤研一朗]
公共事業は、インフラ整備と同意語と言っていいだろう。では、インフラというのはなにか。これは英語でinfrastructure、日本語では社会資本。百科事典によれば「社会基盤のことをいう。経済用語としては、経済発展の基盤となる港湾、水路、鉄道、道路、空港、通信施設などの交通、通信施設から、発電所などの動力、エネルギー施設、上下水道、灌漑、排水施設、生活関連の学校、病院、公園、公営住宅、社会福祉施設なども含める。」
つまり、人が生活してうえで必要なものや、企業が商売をしていくために必要な基盤整備のことだ。昔は、本当に生活に必要な、電気、水道、道路というものをさしていたのだろうけど、技術や、生活水準があがるにつれて、対象が広がっていく。
学校、公園、通信施設というものはなくても死なないけれど、いつしかインフラに含まれるようになっていたんだろう。こういう施設はなくても生きていけるが、生活の質を向上させるという意味で、必要なものとされている。
生活の質を向上させるといえば、美術館や、コンサートホールという文化施設だろう。こんなものは、なくても生活にはこまらない、もちろん生きていける。でもなければ、展覧会も音楽会も開けない。アートも音楽もない生活というのは、どれほど潤いがなく寂しい物だろうか。じゃあ、野球場とかサッカー場みたいなスポーツ施設はどうなるんだろうか。これだって、スポーツは青少年の健全な育成うんぬんや、地元のスポーツチームを応援して、みんなで盛り上がれたりして、生活の質を向上させているにちがいない。うちの地域は野球場がないから、甲子園の予選はやりませんとはいえないだろう。それにアートや、音楽、スポーツにしても、産業には違いないから、このような施設は経済発展の基盤となっているともいえるだろう。
こうして、社会が発展し、技術が進歩し、世の中が複雑になってくると、公共事業にたいする要求も、だんだん高度になって拡大してくる。昔は、とりあえず砂利道を、舗装しようという感じだったのが、いまでは渋滞緩和のために道路の幅を広げようとか、立体交差にしてみようとか、変化してくる。昔はチンチン電車ですんだのが、今は地下鉄、電車は遅いから新幹線、新幹線は遅いからリニア、電話線ではインターネットが遅いから、光ケーブルみたいに、際限なくすすんでいく。
たとえば、文化施設も一昔前は、ただの多目的用のコンサートホールだったが、今はたとえば伝統文化継承のために能楽堂をとか、演劇専用の施設をとか、要求が細かく高度になってくる。スポーツだったら、野球場だけじゃなくて、健全な老人の育成のためにゲートボール場(失礼)をつくってとか、サッカー専門のスタジアムを作ろうというようにである。
こうやって、あれもこれもと要求にどんどん応えているうちに、政府や、自治体の仕事は増え、図体はどんどん大きくなっていった。そしてこういった施設をローンを組んでつくっていったので、借金がどんどん増えていった。戦後の成長期はそれでよかったかもしれない。とりあえず、それが経済発展の役にたったからだ。戦後など焼け野原で、0からのスタートだから、そこに生活に必要なものたとえば道路、水道、ガス、電気といった物をつくれば、街や経済も必然的に発展する。
でも、そういった基本的な基盤整備が終わった後、経済も成長期を終え、成熟期や、衰退期に入ってくると、とたんにインフラ整備がむずかしくなってくる。もう生活に必要な基盤整理はおわっているので、生活の質を向上させる設備、施設に金を回すことになる。ここで難しいのは、人の価値観はそれぞれだから、なにをもって、生活の質が向上したというかなど、簡単には判断できないことだ。みんなの同意をとるのが難しい。そして、それは生活になくてはならないものではないから、必ずしも経済発展に寄与するとはかぎらない。0から80にするより、80から100にする方が、ずっと高度で複雑で難しいのだ。
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