アメリカ連邦政府の借金は5500兆円!

アメリカ連邦政府の借金は5500兆円!まったくもってショッキングな数字だが、米国会計検査院(GAO)院長ディビッド・M・ウォーカーによれば本当のことらしい。

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<佐藤研一朗のコメント>

お金を借りる方も、貸す方も、アメリカは強くて、御金持ちな国だという幻想に成り立っている。ロチェにくればわかるが、アメリカの絶頂期は60年代だったのであって、それ以降はどんどん貧乏になっていったのだ。それなのにアメリカ人全員がもっとリッチになろうとしたから、外からお金をかりてくるしかなかったのだ。
ロチェスター見たいな街は、失われた30年を経験している。アメリカが獰猛なのは、やけっぱちになっているから。借金でくびがまわらない。自分には借金を続ける物が、最終的にサラ金にや闇金に手を出して、自己破産していく過程にしか見えない。
そうやってつもりに積もったアメリカ連邦政府の借金が5500兆円=$55 trillion。アメリカの国債は安全だと、お金を貸しているほうはその総額に気がついているのだろうか。いやきっと知りもしないだろう。(そしてこの金額には州や地方政府の借金は入っていない。)
アメリカに心優しく、お金を貸してやってた、日本などのアジアの国々も迷惑をかけられるのは当然である。
借金で首が回らなくなっている人に共通するように、目先のことしか考えなくなる。ただアメリカというのは往生際がひじょうに悪いから、目の前のことを対処するために短期的に効果が出ることを、周りに迷惑をかけることも考えないで、全てやっていくだろう。
いま金融機関救済でおきているのは、民間の借金を、公的な借金にするということ。最後のバブルはこのアメリカ国債バブルである。しかし政府に金があるのならともかく、5500兆円の借金を抱えているアメリカ政府にこんなことをいつまでも続けられるはずがない。
考えられるシナリオは、1.インフレーション。2.他の通貨に対してドルが大幅に下がる、3.アメリカが国家破綻して、借金をデフォルトする。この三つだろう。
この1と2のシナリオでアメリカはこの危機を乗り越えようとするだろう。ただ、その先にあるものはアメリカの国家の信用の破綻。だから、そう簡単にアメリカはこの危機を乗り切ることが出来ないだろう。インフレがおき、ドルの切り下げが起こり、そして国家財政破綻に行き着くかもしれない。
借金の内訳
NPRのインタビューに答えたディビット・ウォーカー (元アメリカ会計検査院のトップ)によれば、
今年八月の時点で、借金の総額が$53trillion (今月の10月のインタビューでは$55trillionといっていたので、たったこの二ヶ月で200兆円も借金が増えたことになる。 )
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総計$53trillion
一般会計の赤字: $11trillion
ソーシャルセキュリティー:$7trillion
メディケア、メディケイド:$34trillion
その他$1trillion
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ソーシャルセキュリティー: これには年金、失業保険、生活保護、障害者保険が含まれている。
メディケア、メディケイド:メディケアは老人向けの医療保険、メディケイドは低所得者向けの医療保険、これで身寄りがないような老人が入っているナーシングホームと呼ばれる老人ホームの滞在費もここから出ているようだ。
ここで注目しなくてはいけないのは、ブッシュが戦争を起こして、無駄遣いをたくさんしたとか、今回の金融危機が起きなかったとしても、アメリカの国家財政はいづれ破綻する運命だったということだ。もちろん戦争や金融危機が破綻を後押しすることになるのだけれど、最大の問題はベビーブーマーの老後の世話なのだ。アメリカは国民健康保険がないくせに、低所得者向けと、老人には医療保険がある。これが数年前に拡充されて、処方薬にまで保険が利くようになり、これだけで800兆円もの財政ギャップがある。
今年、2008年1月からベビーブーマーが年金を受け取ることになった。あと三年でメディケア・老人向け医療保険の需給ができるようなる。今後20年間で7800万人が、年金とメディケアの厄介になるわけだ。しかし空約束だけがあり、$40trillonのお金が足りない。 とくにこの健康保険が悪い状態であるようだ。
人々はますますもって長生きをするようになっている。しかし健康だから長生きをするというわけではなくて、高度に発展した医療でもって長生きさせられているともいえるのだろう。しかしこれはほんとに高くつく。
しかもアメリカ人はこれだけ医療に高いお金を払っているくせに、ちっとも健康ではない。ジャンクなものばかり食べて、車ばかりに乗って、移動するので、でぶでぶに太っている人がたくさんいる。たしか、アメリカ人の60%は太りすぎであり、30%は肥満である。(肥満は病気と認定される。)
当たり前の話なのかもしれないが、国に不健康な人々や働かない人が増えればその国の国力は低下する。残念ながら、ベビーブーマーたちが、国に頼りながら退職後の生活を優雅に楽しんで暮らしていくということを、自然の摂理が許さなかったということになるようである。まさに、「働かざるもの食うべからず。」である。アメリカでは、この金融危機とあいまって、ソビエトが崩壊したときのように、年金者に年金が出なくなったり、病院にかかれなかったりするということがおきるだろう。
どうも、これらの一連の動きを見ていると、20世紀というケイジアン世紀の後始末というか、総清算に、われわれは直面しているように思える。ベビーブーマーというのは、第二次世界大戦という世界最大の公共投資を行った後に、生まれた人たちである。政府が経済に介入して、人工的に景気をよくした結果として、人口が爆発的に増えたのだから。しかし回りまわって、60年以上たって、人為的に経済に介入した罰として、多くの先進国がこのベビーブーマーの引退後の生活を面倒を見ることが出来なくなって、財政破綻の危機に陥ることだろう。
日本でも最近、年金や、年寄りは死ねという後期高齢者医療保険の問題が取り上げられている。これらは近々、一番の問題として扱われることになるだろう。副島氏の恐慌前夜で指摘されているように、年金が払われなくなるというようなことがおきるということだ。日本の年金の運用が多くが米ドルで運用されているからという意味だけでなくて、もともと、人為的に増やされたベビーブーマーの老後を養うだけのお金(富)は、この世には存在しなかったのだと、考えるべきである。もしくは、国家の積みあがった借金を量を考えれば、これらのお金はわれわれの生活水準を向上させるために、経済発展をするために、すでにほとんど使われてしまったのだと考えることも出来る。だからこれからインフレが起きて彼らには年金が支払われるが、実際の価値が半減するということは当然起きることだろう。
これらの問題を解決するためには、今政府がやっている、年寄りからより多くの金をとるような、年寄りは早く死ねというような医療制度ではなく、基本に戻って、お年寄りが元気で、楽しく、健康で、病院にかからなくてもいいようにすることと、自分の能力を生かして、死ぬまで現役で年金に頼らなくてもいいようなるように、政策を建てていくしかないのである。あとは家族と地域が支えていくしかないのだろう。
佐藤研一朗 拝
2008.10.25
参考文書・ビデオ等
ディビッド・ウォーカー関連
NPRによるインタビュー