自由経済のオーストリア学派 vs 政府介入のケインズ主義 一本勝負

2012年05月01日

自由経済のオーストリア学派 vs 政府介入のケインズ主義 一本勝負

[投稿者:佐藤研一朗]

自由経済のオーストリア学派 vs 政府介入のケインズ主義(+連銀カネ刷れのマネタリスト(日本ではリフレと呼ばれる))

アメリカ、NY州のロチェスターの佐藤研一朗です。

今日、(自分の中では)歴史的な対談がありました。
共和党の大統領候補の一人ロン・ポールと、ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマンの一騎打ちです。
ロン・ポールは言わずと知れたアメリカを代表するリバータリアンです。自由経済の擁護者で、政府の支出と債務のの大幅な削減を訴えています。オーストリア学派と呼ばれる経済学を勉強していて、中央銀行が紙切れ紙幣を刷りまくり、バブルと不況の波を起こしていると批判しています。

対するのはクルーグマンで、政府介入のケインズ主義(+連銀カネ刷れのマネタリスト(日本ではリフレと呼ばれる))で、全く正反対の立場にたっています。不況に陥った時は、中央銀行はお金を沢山刷って、政府は借金を増やしてでも、積極的に経済に介入して、政府の支出を増やせと主張しています。

これが金融チャンネルのブルンバーグでこの対談が中継されました。これはすごい事で、だれがなんと言おうと、ロン・ポールが長年訴えてきた自由経済を擁護するオーストリア学派がついにアメリカで受け入れつつあるという事です。数時間かかりましたが、慌てて翻訳してみました。

感想は info@im-sendai.jp 又は https://twitter.com/#!/kenichirosato までおよせください。


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女子アナ
「これまで一度もこの二つの異なる経済学派(オーストリア学派 VS ケインズ主義)がライブの中継のテレビで議論を交わしたことはありませんでした。今日はポルーVSポールと題してお二方をお招きしています。

ロン・ポール議員は、財政の保守のパイオニアで、債務の削減を訴える、小さな政府を擁護者で、ティーパーティーのヒーロです。対するは、ポール・クルーグマン教授、介入的な政府(アクティブ・ガーバメント)スポークスマン、債務を重ねても政府の支出を増やすべきだと主張する経済的なリベラリズム(ケインジアン)の信奉者です。

ようこそいらっしゃいました。まずズバリと核心に二人の意見の不一致についてお伺いします。ポール議員、我々はクルーグマン教授の立ち位置をよく理解しています。(訳注:不況のときには政府は借金をしても支出を増やすべきという考え)。議員は、教授の考えている政府の役割のどの部分が意見がおかしいと思うのですか。もしくは反対しているのでしょうか。」

ロン・ポール「私が彼の著作を読んだり聞いたりしている所では、クルーグマン教授は、大きい政府を信じています。私は、とても小さな政府を信じています。私は個人の自由を重要視します。私は政府による管理経済が嫌いです。それが中央計画によるものでも、中央銀行の通貨政策によるものでもです。もちろん議員たちにようるものでも同じ事です。教授と私は完全に異なる哲学を持っているのです。

私は市場は自然な形で働くべきだと思っています。金利は市場によって自然に決まるべきです。私は政府や中央銀行が金利を決めて固定する事を望みません。金利の操作は価格統制なのですよ。政府による賃金や物の価格統制は有史以来一度もうまく働いた事はありません。金利はお金の価格なのです。だからお金の価格統制もうまく行くはずがありません。『一部の人間が適切なお金の総量や適切な金利の高さを知りうる事ができる』という考えは思い上がった考えです。いったいそのような知識をどこから知りうれたというのでしょうか。これをハイエクは『見せかけの知識』と呼びました。彼らは自分たちは分かっているふりをしていいますが、実際には何もわかっていないのです。我々が大統領や議員を選んで、経済をもっとまともに運営しようなど考えている事自体がおかしな話なのです。政府は経済を運営するべきではないのです。人々が経済を運営するべきなのです。」

女子アナ「クルーグマン教授、では政府を経済の方程式から外す事にどのような問題があるのですか?」

クルーグマン「いいですか、ある種の事では、、、通貨政策から政府を追い出す訳にはいかないのです。何もしないでほっておくことなど、、そんな事は起こりようがない。。政府はいつでも、中央銀行はいつでも通貨政策を管理しようとします。もしその事を避けようとするなら、貴方は100年前の世界に住んでいます。我々はお金が亡くなった大統領の顔が描かれたただの緑の紙切れ(ドル紙幣のこと)でない時代に暮らしています。お金というのは、金融システムの結果、様々な資産。。我々は何がお金であるのか、そうでないのかラインを引けるかよくわかっていません。明確な線引きはできません。歴史ははっきりと語っています。まったく管理されていない経済は非常に不安定な物です。急激な景気の降下の対象になりかねない。世界大恐慌が政府や連銀によって引き起こされたという語りぐさがありますが、ポール議員あなたが語っているのかもしれませんが、それは正しくありませんよ。実際には市場経済が荒れ狂って起きたのです。このような事は過去数世紀において何度も起きてきました。実は私は市場経済や、資本主義を信奉者です。私は自由市場が、自由な限り自由であるべきだと思いますが、それには限度があります。政府が経済に介入して経済を安定化させる必要があるのです。恐慌は資本主義にはよくありません。政府の役割として、それが起きないように、もしくは長期化しないように働くべきなのです。」

女子アナ「ポール議員。今日はここで我々はインフレについて沢山議論をしてきました。クルーグマン教授は、連銀が更に一歩まえに出るべきだという政策を主張しています。もう少し言いますと、この経済をなんとか回すためには、我々には少しインフレが必要なのだという主張です。この主張にどう異議を唱えますか。」

ロン・ポール「ハハ。インフレというのは泥棒の事ですよ。お金を貯めている人から、その価値を盗む事です。もし通貨から2%、10%と価値が失われたら、それは非常に重要な経済の役割を破壊します。それは貯蓄の事です。貯蓄は市場にメッセージを送ります。資本が十分にあるというメッセージです。資本が通貨量の増加からやってくると考えるのは全く筋が通りません。クルールグマン教授は、我々が100年前に戻りたいと考えていると批判しましたが、これは確かではありません。我々は当時よりももっとまともにしたいのです。しかし、教授の主張というのは1000年、2000年前に戻りたいという考えではありませんか? ローマやギリシャのような国が、自分たちの通貨を減価させたように。彼らはコンピューターを持っていませんでしたがね。連銀が経済を運営しなくては行けないという考え方は、これは非常に新しい。。」(アナウンサーに遮られる)

男アナ「1000年前に戻るというのは、どういう意味ですか、少し説明していもらえませんか?」

ロン・ポール「ローマ帝国は自分たちの通貨に何をしましたか? ビザンチン帝国は、金本位制を1000年間も続けました。彼らは戦争も闘わず、うまくやっていました。ですがローマ帝国は、最終的に自分たちの通貨を破壊してしまいました。ローマ帝国は、金貨や銀貨を他の金属で薄め増発したのです。その前には、物の価格統制や賃金統制をしていたのですよ。彼らは人々をだます事で、富が生まれると思っていたのですよ。今の時代に、10年後に子供を大学に入れるためにお金を貯めておこうと思ったら、1%から2%しかつかない国債を買いますかね? そんなもんじゃ、とてもじゃないが価格の上昇、もしくは通貨の減価についていけませんよ。それなら金(きん)を買った方がよぼどいい。」

クルーグマン「私は金の含有率を減らしたローマの皇帝の通貨政策の擁護者ではありませんよ。」

女子アナ「ハハハ」

ロン・ポール「いや、貴方は擁護者ですよ。まさに貴方が擁護している政策ですよ」

クルーグマン「私は第二次世界大戦後の経済政策の擁護者です。これがアメリカがそれまで経験すらした事がなかった、すばらしい経済発展を促しました。我々はマイルドなインフレの政策をとりました。効果的な金融機関への規制をかけました。この規制を撤廃した後、今回のような荒々しい事態がおきました。我々は財政政策が必要なときにはやりました。市場の理想を崇拝するのではなく中産階級を育てる政策をとってきました。市場は我々を今のような危機に追い込みました。私は私の両親が豊かになったようなアメリカに暮らしたいのです。沢山のことを復活できる思います。」


ロン・ポール「それにはちゃんとした理由があります。バーナンキがフリードマンに謝った事を覚えていらっしゃいますか? バーナンキは連銀が大恐慌を長引かせた事を謝罪しました。我々は負債を清算しなくてはならないのです。第二次世界大戦の後には、多くの負債が清算されました。その他に我々は何をしたでしょうか。一千万の兵隊が戦場から戻ってきました。大きい政府の信奉者のリベラルは、雇用政策をやりたがっていました。しかしその時間もありませんでした。我々は政府の支出を60%もカットしたのです。そして税金を大幅に減税しました。そして、やっとそれで大恐慌が終わったのですよ。負債の清算が、我々をもう一度仕事に戻らせる事を可能にしたのですよ。」

クルーグマン「ミルトン・フリードマンについて語らせてください。彼が経済学者のために書いた論文を読むと、こういっています。連銀は大恐慌の原因である、なぜなら十分な仕事をしなかったらからだと。フリードマンの不満は連銀が十分にお金を印刷しなかったことです。」

ロン・ポール「そんな事は知っていますよ。」

クルーグマン「バーナンキの、ヘリコプターからお金をばらまけという比喩は、ミルトン・フリードマンきています。今のアメリカではフリードマンが通貨政策の一番左翼に位置しているのです。これはさすがにおかしいのではないでしょうか?」

ロン・ポール「しかし問題の核心は、連銀がお金を刷りすぎても、刷らなすぎても、同じだということです。連銀は経済をうまく操作する事ができないのです。連銀の成績はとても自慢できる物ではありません。連銀は1913年から今までにドルの価値の98%を減価させました。これは非常に不誠実なことです。これは人々からお金の価値をうばっていることです。どうして人々が貯金をしてたった1%の金利しかつかないのに、銀行はほとんどタダでお金を手に入れ、ぼろ儲けしています。どうして連銀は、(銀行のような)金持ちだけを救済するのですか? どうして住宅ローンで苦しんでいる人を救済しない? もし貴方が貧乏人を助けたいというなら、どうしてヘリコプターでお金をその人たちにばらまかないんだ? そっちの方がまだ公平だ。」

女子アナ「では処方箋は何ですか? 連銀は何をすべきでしょうか。連銀を持つべきではないんでしょうか? 連銀の役割は何ですか。フリードマンは連銀をコンピューターに置き換えた方がいいと言っていましたね。」

ロン・ポール「フリードマンに賛成ですね。我々が今できることを説明しましょう。私は『連銀廃止』(訳注:現在、私、佐藤研一朗が翻訳中です。というか翻訳を終え手直し中です。出版されるかどうかはまだわかりません。水面下での出版社との話はありますが、正式な話はまだありません。出したい出版社募集中です。ハイ)という本を書きましたけど、実際には明日にも連銀を廃止せよと言っているのではありません。それでは経済を混乱させるだけです。連銀のシステムに頼っている人が多すぎるのです。私がやりたい事は、連銀による通貨の独占を終わらせる事だけです。私は通貨の競争を合法化したいのです。通貨の競争は国際的に見れば普通にあります。ではどうして国内でも金本位制や銀本位制による競争ができないのですか? どうして連銀は競争をそんなに恐れるのですか? もし私が間違っていても、別に誰も損も何もしません。」

クルーグマン「いまいち意味がわからないのですが。」

ロン・ポール「私はただ、通貨の競争を合法化したいだけなのです。独占を廃止するのです。金や銀にかかっている税金を廃止するのです。金貨の売却のときにかかる消費税やキャピタルゲイン税をなくし、法定通貨法も廃止します。独占の陰に隠れて、人々にドルを強制するのを止めるのです。金貨や銀貨を今のアメリカで使おうとすると、牢屋にぶち込まれるのですよ。」

クルーグマン「ちょっと私の理解とは違いますね。人々は政府が他の決済手段を許さないから、ドルを使っているのですか?ちょっとおかしくないですか? 」

ロン・ポール「他を使えば、牢屋に入れられるのですよ。」

クルーグマン「それは私の聞いているのとは違います。物々交換もできるでしょう? 実際は我々は通貨の過当な競争があります。この危機は民間のお金の拡大によって起こされたのです。 例えばリポ(repo、買い戻し条件付き債券)のような。これは少しも規制されていませんでした。これが崩潰したときにとんでもない危機になりました。」

ロン・ポール「もし民間の企業が詐欺をしたら、牢屋に行くのですよ。でも連銀が詐欺を働いても、まったく罰せられません。まったくのやりたい放題です。もし民間のお金を発行する企業が詐欺を働いたら牢屋にいくのですよ。しかし政府が通貨を減価させて、多くの人に損害を与えても、ビジネスサイクル(バブルと不況の波)を起こし、インフレや失業率を上昇させても、罰せられません。」

クルーグマン「私はバーナンキには批判的ですが、詐欺という言葉は使いません」

ロン・ポール『ハハ、貴方は連銀にもっと沢山のお金を、素早く刷ってもらいたいのですよ。』

クルーグマン「もちろんです。」

ロン・ポール「そんな事を絶対にうまく行きません。我々は十分すぎるほどの証拠を持っています。」

男アナ「クルーグマン教授、アメリカの国債は、州と年金を加えると大体GDPと同じサイズですが、どれほど我々は借金を重ねる事ができるのでしょうか? ポール議員にも同じ質問をします。」

クルーグマン「これと言った具体的な数字はありません。もし借金を30%増加させて、この恐慌から抜け出せるなら、私はそれを容認します。リスクがないとは言いませんが、この恐慌を抜け出すためになにもしないのは危険です。私はアメリカを日本国債のレベル(GDPの二倍)までにはしたいとは思いません。まあそれでも、なんとか回せているように見えますが。ポイントは、我々はまだ崖っぷちにはたっていないということです。ただ、特定な数字をいうことはできませんが。ジョン・メイナード・ケインズが(雇用・利子および貨幣の一般理論)を書いているとき、イギリスの債務はGDPの150%を超えていましたが、ケインズは、財政政策の解決策を捨てませんでした。ポイントは、借金を返済するために今支出を減らし始めたら、債務の問題を更に悪化させるだけです。私はこれだけの水準の債務を望みませんが、債務が減らしたいばかりに経済を破壊するのは健康的な政策とは言えませんね。」

ロン・ポール「彼は一つ重要な事実を無視しています。我々は第二次世界大戦が終わった後、政府の債務と支出を大幅にカットしたことです。クルーグマン教授に同意する点があるとすれば、それは債務危機が起きるのが、110%になるか158%になるかは分からないことです。もしかすれば明日起きるかもしれないし、もっと先になるかもしれません。なぜなら、そこには主観的な要因があるからです。我々はまだドルの危機に直面していません、それは世界がまだドルを信用しているからです。しかしそれはドルやアメリカ国債のバブルを大きくするだけです。しかし、もし貴方が、アメリカの国債がGDPに対してどれだけ増えようと関係なく、世界の人々が我々のドルを受け取ってもらえると信じているなら、お金を刷り続ければもうアメリカ人は働く必要すらなくなります。この最悪の部分は、借金を更に容易にする事です。連銀は最後の貸し手なのです。これは銀行や金融機関だけではなくて、選挙に再選されるために、政府の支出を増やし借金を増やしまくっている政治家にとってもに、連銀は最後の貸し手なのです。連銀は常にそこにいます。彼らには連銀が必要なのです。連銀がいるから議員たちに全く財政感覚がなくなってしまうのです。もし貴方が大きい政府を信奉して、それがいつまでも維持できるを考えているなら、どうして貴方が連銀が好きなのかはよく理解できます。ただ、自由、市場、堅実なお金、戦争反対を信じる人々に取っては。。。(訳注:連銀は挑戦すべき相手です。とでも言うかな?)」<クルーグマン遮る>

クルーグマン「私だって自由や市場を信じていますよ。ただ通貨政策が恐慌を長引かせると信じていないんです。」

女子アナ「時間が来てしまいました。今日はここまでにしなくてはなりません。」


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投稿者 佐藤研一朗 : 2012年05月01日 17:49
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