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  ☆3つの争点
〈安心できる暮らしの創造〉

《1》 社会保障

未来型社会保障改革へ、5つの方向転換!
 社民党から、未来型の社会保障政策を発信します。
戦後の何もなかった時代に始まり、高度経済成長の中で肥大化、硬直化、既得権益化した日本の社会保障制度は、バブル経済崩壊後10年以上を経て、現在日本が置かれているデフレ経済や少子化、高齢化といった経済社会情勢にまったくといっていいほど適応できず、小泉政権によって、その場しのぎの給付削減、保険料引き上げなどの国民負担増がいたずらに繰り返されています。
その結果、社会的な支援が必要な人ほど生活が困窮し、老後に不安を覚える中高年が激増し、ほとんどの若者が公的年金制度に不信を抱くようになりました。いまこそ、福祉切り捨ての小泉政治から、高福祉、適正負担を実現する社会民主主義の政治へと大きな方向転換すべき時です。社会保障の充実という社会民主主義の原点こそが、住民の将来不安を解消し、現下の経済情勢に対する最大の解決策となるのです。
未来型の社会保障制度の実現に向け、社民党は、次の5つの理念にしたがってって、現在の社会保障制度をリフォームします。

[1]与えられる福祉から、権利として選べる福祉へ
 福祉は憲法にも認められた私たち一人ひとりの権利です。行政から一方的に与えられる福祉をただ受け取るだけ、そんな制度を一つ一つ見直します。そして、レストランのたくさんあるメニューの中から、食べたい料理を選ぶように、一人ひとりの多様なニーズにあわせて、好きな福祉サービスを選べるような、そんなウキウキする福祉を目指ます。

[2]現金給付偏重から、サービス給付充実へ
 誰でも安心して暮らしていける、−保育園に行けて、教育を受けられて、医療を受けられて、介護を受けられて、住むところも確保できる。それが社民党の目指す福祉社会です。福祉サービス分野の充実は、単なる現金の受け渡しと違い、そこに新たな雇用が生まれ、人間関係が生まれ、地域社会が活性化します。少子化、高齢化が進めむ中で、持続可能な社会保障制度を構築するため、年金中心の社会保障から、医療や介護などのサービス充実の社会保障を目指します。

[3]子どもや子育て家庭への給付を拡大
 若い人に冷たい、これが日本の社会保障の現状です。約80兆円にのぼる社会保障給付費のうち、子どもやその家族に使われるのはわずか3兆円にも届きません。公的な支援が不足するほとんどの部分を私的に賄っているのです。現在、育っている子ども、育てている親にとっての福祉が向上しない限り、少子化に歯止めがかかるわけがありません。社民党は、子どもや子育て家庭など、若い人が福祉を実感できる社会を目指します。

[4]地域の実情にあわせた分権型の福祉へ
 求められる福祉は、地域によって千差万別です。高齢者が多いか−子どもが多いか、サラリーマンが多いか−自営業が多いか、持ち家が多いか−賃貸の集合住宅が多いか、それぞれの地域で暮らす住民が、自分たちで福祉をデザインしてこそ、きめ細かな、満足度の高い福祉が可能となります。
そして、政府などの公共部門が独占的な地位を占める福祉国家ではなく、地域住民などの「個人」や、協同労働組織や民間団体など「NPO・NGO」、そして「公共部門」を含む、さまざまな社会構成体がそれぞれに参加・参画し、役割を分担する分権型のネットワーク福祉を目指します。

[5]施設への隔離から、地域での共生へ
 身寄りのない子どもや動けなくなった高齢者から、精神障害者やハンセン病患者まで、特定の特徴をもつ人々を一箇所に集めて、社会から浮き立たせてしまうことが、日本の福祉の最も悪いところです。そこでは、個人の尊厳は尊重されません。日本に暮らす一人ひとりが、それぞれの生き方を尊重され、住み慣れた地域で暮らし続けるために、必要な援助を受けられる、そういう福祉を目指します。

1.年金安心支給宣言
 「もう、自分は将来、十分な年金がもらえないだろう」、そう考える人が、世代を問わず、増えています。以前から予測されていた少子高齢社会の到来にもかかわらず、これまで無責任に放置されてきた結果、いま、厚生労働省は、現役世代と将来世代への大幅な保険料の引き上げ、将来給付の引き下げを提示してきました。
これでは、公的年金制度に対する信頼が失われるのは当然です。中高年世代は老後に大きな不安を抱くようになり、若年世代は強い不信感と負担の大きさから、制度への加入すら拒否するようになりました。
そこで、社民党が提案する処方箋は「年金安心支給宣言」です。その中身は、[1]瀕死の現行制度に対して、抜本改革に耐えうるだけの基礎体力を回復するために講じる「応急処置」と、[2]公的年金制度を未来へつなぎ、将来にわたる安心を取り戻す一世一代の「大手術」、の二段構えです。
現在の公的年金制度は、国民年金の空洞化といった致命的な欠陥を抱えており、その場しのぎの対応ではなく、制度の枠組みを替える根本的な改革が必要です。
しかし、急激な改革というものはかならず失敗します。特に、年金受給者も含め、中高年にとって、公的年金は老後の暮らしの要です。一朝一夕に制度が変えられてしまっては、老後の不安が増すだけです。そもそも「年金改革の年」が来年に迫った現在でも、生活者レベルでの議論、特に大学生も含め、子どもたちとの対話がまったく不足しています。年金制度改革は、子どもたちやこれから生まれてくる世代の暮らしを大きく左右する問題です。彼らの声を最大限汲み取る努力をしなくては、とても未来へ責任ある改革はできないでしょう。国会議員も、現在の「有権者」の代表でしかないのです。十分に時間をかけて、子どもたちや在日外国人からも理解と納得をえていく必要があります。「インフォームド・コンセント」が不十分なうちは、大手術はしていけません。
しかし、一方で、公的年金制度を途絶えさせず、将来の世代へ恥ずかしくないかたちでバトンタッチするためには、早急に現行制度の範囲内でも可能な対策を講じることが不可欠です。
だからこそ、社民党は、二段構えでより現実的な「年金安心支給宣言」をします。2010年までは、年金積立金からの輸血と応急処置で、支給年齢の引き上げや、給付水準の切り下げ、保険料の引き上げを行いません。そして、その間に、社会民主主義政党としての選択肢を世に提示し、世論の合意形成を含め、抜本改革に向けた準備をしっかりと進めます。

(1)応急処置でできることから始めます
瀕死の制度を救うために、これまで約束しながら実施してこなかったことや、問題があると分かりながら、政府が見過ごしてきたことに早急に着手します。
[1]基礎年金の国庫負担率の2分の1への引き上げ
税方式への移行の前段階として、国庫負担の引き上げを行います。財源は、無駄な公共事業の見直し等で確保する他、不足する分については、年金積立金から借り入れ、2004年度から実施します。
[2]国民年金保険料の1万円への引き下げ
国庫負担割合が増えた分を、保険料にも反映させ、国民年金の保険料を1万3300円から1万円に引き下げます。
[3]年額60万円以下の低額年金受給者へのマイナス物価スライド凍結
物価が上がった場合にも、物価が下がった場合にも、物価スライドは原則行います。しかし、特に深刻な影響を受ける年額60万円以下の低年金者の場合、マイナススライドは凍結します。その財源には、積立金を使います。
[4]年金の返還制度を創設します
現行制度では、年金が不要の人でも必ず受け取らなければなりません。年金の一部または全額を自主的に返納できる制度を創設し、議員年金を含め、特に高額の年金受給者が低年金者や後代へ寄付ができるようにします。
[5]年金積立金運用の透明性・適正性の確保
年金積立金は、無責任な株式運用のために、この5年間で約6兆円もの損失を出しました。このお金があれば、基礎年金の国庫負担割合引き上げ分は2年分確保できましたし、年額150万円の年金を1年間で400万人に給付することもできました。したがって運用にあたっては透明性を確保するとともに運用の適正化を図ります。
[6]非正規労働者の年金権の拡大
「130万円の壁」を引き下げ、厚生年金の適用資格を拡大します。
[7]離婚時の年金分割
離婚した配偶者に対して、報酬比例部分の年金の2分の1を婚姻期間に応じて分割できるようにします。
[8]在職老齢年金制度の改正
年齢制限を撤廃し、70歳以上にも適用します。
[9]無年金者問題の解消
定住外国人を含めた無年金者、無年金障害者、第三号被保険者の届け出忘れへの救済策を講じます。
[10]「給付債務の責任分担を協議する会」の設置
現在の年金の給付設計は、保険料を引き上げることを前提に設定されており、過去の保険料納付期間に対応した給付については、給付に応じた負担が求められていません。そのための給付債務が、厚生年金だけでも約540兆円あり、保険料の引き上げだけで返済していくと、現役世代やこれから生まれてくる世代への負担がとても過重になってしまいます。
これを解消するために、支える側と支えられる側と国の三者で、負担を分担して、痛みを分かち合う必要があります。言い換えれば、両親、祖父母の代を支える現役世代の責任、現役世代や将来世代の負担を減らす高齢者の責任、そして、政府の失政の責任です。債務を返済するために、どこまで保険料を引き上げられるのか、既裁定年金も含めて、どこまで給付を引き下げられるのか、どこまで公費を投入できるのか、当事者同士の話し合いの中から合意点をみつけていかなければなりません。
そして、公平な議論をするために、メンバーは、年金受給者から学生まで含め各世代のバランスが等しくなるようにする他、正規・非正規労働者の割合などにも配慮し、無・低年金者や失業者など、特に社会的厚生の必要性が高い人を加えます。

(2)体調を整えたら、大手術!−抜本改革で新年金制度へスイッチ
抜本改革へ向け、社民党は、社会的公正を重視し、所得保障型から生活保障型の再分配を強化した個人単位で分かりやすい年金制度を提案します。公助・共助・自助の役割分担を明確にし、老後の暮らしをしっかりサポートする個人のライフスタイルに中立な年金制度を目指します。
[1]1階は全額税方式で公助の基礎的暮らし保障年金
【目的】
基礎的な生活を保障するための年金です。すべての人に生存権を保障することが公的な責任であることを明確にし、「公助」の仕組みとして全額税金を用います。シビル・ミニマムの年金制度とすることで、地域の医療や介護、住宅事情などを反映した適切な給付水準を達成できるようになります。税方式の導入により、現行制度の最大の欠陥である国民年金の空洞化を解消し、無・低年金者をなくします。非正規労働者や失業者など、経済的に不遇な環境にある人ほど、高い効用のある制度となり、現役時代の不平等を老後において是正する効果が期待できます。
【水準】
給付水準は、衣食を満たし、基礎的な暮らしが営める水準とし、当面は、実効ある額として生活保護の生活扶助額を採用します。支給額については、地域の物価水準の他、介護保険料や福祉給付、住宅事情や税制なども総合的に考慮し、市区町村ごとに定めます。あわせ、国は、生活保護制度について、2年を目途に、その水準や資産調査のあり方、強力な就労支援プログラムの導入などについて検討を行い、社会への弾力的な復帰支援制度となるような改革を行います。
【支給要件】
給付は、当面65歳から、居住期間のみを要件とし、誰にでも平等にあまねく行います。ただし、年齢を問わず、収入がある場合には支給額を減額あるいは停止する等、在職老齢年金制度もあわせ見直します。
【負担の方法】
負担については応能負担を原則としますが、2010年までは国民負担を求めません。

[2]2階は負担と給付が明確な共助の社会保険年金へ
【目的】
1階部分が保障する基礎的な生活に加えて、多少の教養娯楽費、交際費、冠婚葬祭費等も含めた平均的な家計支出を賄えるようにするための年金です。1階部分とは完全に分離し、負担と給付が明確な公的な「共助」の仕組みである社会保険方式で行います。
【構成】
 厚生年金と各種共済組合。厚生年金と各種共済については、130万円枠  などを大幅に縮小し、最終的には雇用労働者の完全加入を目指します。併  せて、私的年金である国民年金基金の加入資格も拡大し、老後の暮らしに  備えたいすべての人に開かれた制度にします。
【水準】
厚生年金と共済組合のモデル水準は、単身高齢者の平均的な支出をカバーする程度までとし、具体的には、単身高齢者の平均的な支出(約16万円)から基礎年金(平均8万円)を控除した額(約8万円)程度とします。
【支給要件】
加入期間などは問わず、拠出に応じた完全なポータブル(持ち運び)年金とします。スウェーデン改革にならい、自分の拠出実績が確認できるポイント制などを取り入れ、受給開始も弾力的にできるようにします。
【負担の方法】
労使折半。使用者負担分については、雇用労働者への完全適用を円滑に行うため、「企業年金保険料」として、総賃金から一括で徴収する方法等についても検討します。ただし、保険料率については、現在の基礎年金相当分を控除し、モデル年金を世帯単位の23万円から個人単位の16万円に引き下げた分と、給付債務の返済のための現役世代の負担分をあわせた水準になります。

2.選べる介護の実現
介護保険制度は、高齢者の「自立支援」と「介護の社会化」を実現するうえで、非常に重要です。しかし、制度開始から4年目を迎え、住民も自治体や介護事業者も、多くの問題、悩みが明らかになってきました。行き過ぎた自治体間格差の解消、地方分権の確立、国の積極的支援、介護福祉施策の充実など、不安解消に向けた積極的な施策を推進し、2006年度の改正に向けた準備を進めます。
[1]介護基盤を早急に進めます
「緊急介護基盤整備特別措置法」を制定し、基盤整備の遅れ、地域間のバラツキを解消し、真に選べる介護を実現します。
[2]低所得者へ配慮します
保険料基準額の上限を全国一律に据え置き、保険料・利用料を減免するなど、低所得者への対策を徹底して行います。
[3]ホームヘルパー100万人の雇用機会と身分保障を確立します
福祉・保健分野の創業・開業を促進して、ホームヘルパー100万人(現在ホームヘルパーとして働く人の数はおよそ22万4000人。2010年までに60万人、2015年までに100万人とする。政府は、2010年までに56万人に達すると見込んでいるが、スウェーデンでは日本の人口に換算すると、すでに約100万人がヘルパーとして雇用されている)などの雇用機会を確保するとともに、同性介護を基本とするためにも、男性ヘルパーを大幅に増員します。
 あわせ、介護労働に関する最低基準(賃金や労働時間等)を設定し、抜き打ち監査を含め、配置基準の遵守を義務づけ、未達成の事務所には現有介護労働従事者に賃金の上積みを行う等、労働条件の向上や身分保障の確立を図ることを目指します。
[4]居宅介護事業者を充実・強化します
居宅介護事業者を充実・強化するため、国から一定の経営補助金を交付します。NPOなど地域で生まれた小規模の事業者に対して、金融機関からの融資ができるように、運営のための一部に補助をします。また、介護報酬単価を引き上げるとともに、身体介護と家事の介護に単価の格差を解消し、交通費や事務費は別途事務費として交付します。
[5]地域での高齢者福祉を充実させます
生活支援や配食サービス、移動サービスなど地域での支援は、高齢者の自立を助けるためには欠かせない施策として強力に推進します。一人暮らしの高齢者が増加する中で、地域での孤立化や精神的な不安を解消するため、少なくとも小学校単位に空き教室の活用も含め、高齢者向けのコミュニティセンターの設置を進め、地域の交流の場として積極的に参加を進めます。
[6]オンブスパーソン制度や情報公開制度を整備します
住民の立場に立った迅速な苦情解決体制(第三者機関によるオンブスパーソン制度)の整備、介護事業者などの情報公開やサービスの質の評価制度、自治体独自の総合的な介護・福祉条例を制定し、自治体の公的責任を明らかにしながら、住民参加と利用者保護の確立を目指します。
[7]バリアフリーの道路整備を促進
現在の道路では、車椅子で歩行することなどおよそ不可能であることから、歩道の整備を先行して実施するなど、バリアフリーの道を整備して、総合的な生活保障を整備します。
[8]2006年の改正は利用者本位で
介護認定をはじめ多くの問題を抱えている制度の見直しを絶えず進めるとともに、2006年の改正に向けて、若年障害者の問題や第2号被保険者の保険料負担・徴収問題(低所得者対策の徹底、個人単位化)などの課題についても、利用者本位で検討を進め、不安の解消を図ります。

3.安心の医療を提供
[1]健康保険の医療負担2割へ引き戻し
野党でとりまとめた「健保法の改正案」を成立させ、サラリーマンの医療負担を3割から2割負担へ引き戻します。
[2]小児救急医療の充実を
全国で4分の1しか実施されていない緊急入院体制を早急に整備します。地域基幹病院の充実により、地域に二次医療の受け皿を配置します。
[1]出産育児一時金の拡充や国庫負担金の引き上げにより、出産費用を公的に保障します。(出産1子に対し、現行の医療保険による一時金30万円。プラス一般財源から
30万円)
[4]低所得者対策と高額医療費の償還払い制度の見直し
高齢者医療の自己負担限度額を見直し、特に低所得者がいつでも安心して医療が受けられるよう配慮します。また、患者が自分で領収書を保管し、申請しに行かなければならない償還払い制度は、非常に分かりにくく、高齢者にとっては大変に不便な制度であるため、早急に見直します。未申請のために、本来支払われるべき分で支払われていない分の治療費についても救済措置を講じます。
[5]「患者の権利基本法」を制定
患者本位の医療を確立するため、「患者の権利基本法」(仮称)を制定します。患者や家族が、[1]医療行為に関し医療従事者から十分な説明と報告を受ける権利であるインフォームド・コンセント、[2]カルテなど医療情報の閲覧や謄写請求、医療費明細書などの交付請求権、[3]医療行為について選択し、同意し、拒否することができる自己決定権、といった患者の権利を基本法に明記するとともに、患者の権利擁護について、国や自治体、医療機関や医療従事者の責務を明らかにします。
[6]医療事故の被害者救済制度と防止システムの緊急整備
被害の相談から、裁判によらない救済のシステムまで、総合的な医療事故の被害者救済制度を実現します。「医療基準監督局」(仮称)を設置し、医師の事故報告の義務化や安全指導を行います。また、カルテ開示の法制化を早急に進め、患者や家族の医療記録を知る権利を保障します。
[7]保険者機能を強化、苦情処理制度を整備。
 患者の諸権利を実現し擁護に資するため、保険者機能を抜本的に強化し、患者や被保険者代表を加え、広域的な再編と独立性確保で患者・被保険者の代理人機能を確立します。また、保健所や医療機関などに相談窓口を設置するとともに、都道府県単位にオンブスパーソンを配置するなど、医療機関に対する評価機能、調査権、勧告改善権などを付与した第三者機関としての苦情処理制度を整備します。
[8]医療機関の情報公開と評価システムを確立
患者が十分な情報に基づいて医療機関の選択ができるよう、医療機関における治療や成果についての情報公開や実績に応じた質の評価システムの確立を進めます。続発する医療ミスや事故を防止する安全対策やチェック体制を徹底するとともに、医療品被害を未然に防止するため、審査・承認制度の透明化や医薬分業の推進、情報提供システムの構築、コメディカル・スタッフの十分な配置と過密労働の解消などを進めます。また、患者と医療従事者双方の意識改革を進めるための権利教育を確立します。
[9]薬価基準制度と診療報酬制度の見直し
高齢化などに伴う医療費の当然増は不可避です。しかし、「薬漬け・検査漬け」や「乱診乱療」といったムダで危険な医療を是正し、医療の質を重視した効率化を進め、青天井といわれる医療費に徹底的にメスを入れます。
ムダな薬剤や高価な薬剤が使用されがちな現在の薬価基準制度を見直し、公設の医薬品市場で公開競争入札による価格形成システムを導入します。また、過剰な診療を招く誘因となっている出来高払い中心の診療報酬制度を見直し、慢性疾患などに対しても定額払いを導入して、不必要な入院期間の短縮や社会的入院を解消するとともに、「もの」より「技術」を重視します。
[10]高度先端医療の拡充で難病の治療法確立へ
高度先端医療を拡充し、ゲノム技術等を用いた画期的な治療技術や医薬品、医療機器の研究開発・普及への圧倒的に少ない予算を増額し、基盤を整備します。また、難病に苦しむ方々への対策を充実し、治療法の確立を図るため調査研究費を増やすとともに、療養環境を向上させ、特定患者の対象を拡大して患者の負担軽減を図ります。

4.多様な家族の一人ひとりを応援
 今後、日本の社会保障制度の中でとりわけ重要になってくるのが家族政策(Family Policy)の分野です。西欧諸国では、伝統的に[1]育児休業制度、[2]保育サービス、[3]児童手当など、特に育児中の家族に対する施策を総じて家族政策と呼び、特に男女平等を重視するスウェーデンなどの北欧社民主義国では、男性も女性も働き続けながら育児ができるための育児休業制度や保育制度の充実が特徴です。
 日本では、社会保障全体に占める家族政策の分野が約3%と極端に低く、今後、これを10%程度まで引き上げることが大きな政策課題です。最近、「少子化対策」が叫ばれますが、男女平等の視点から、家族政策の分野を充実させていくことが、結局は出生率の向上にもつながります。

(1)家庭と仕事の両立を応援
[1]育児・介護休業法を発展させ、看護休暇制度などを加えた「家族的責任と仕事の両立を確保する法律」をつくります。
[2]育児・介護休業中の所得保障をさらに引き上げ、男女ともに育児・介護休業を取りやすくします。また、父親しか取得できない「パパ・クォータ(父親割り当て)」の創設で、男性の育児休業取得を進めます。
[3]「フルタイム・パートタイム労働の双方向での転換制度」を普及させ、育児期間や介護期間など、ライフステージやライフスタイルに応じて、働き方を選べるようにします。
[4]労働時間の短縮、時間外・休日労働、深夜業の規制に取り組みます。

(2)子どもの権利を追求し、保護者の多様なニーズに応える保育を実現
 子育て支援のニーズを考えるとき、親の希望やニーズが子どもの希望やニーズと合致しないこともあります。一人ひとりの子どもの権利を追求し、フルタイム労働、パートタイム労働、専業主婦など、親の多様なライフスタイルに応じたきめ細かな保育を実現します。
[1]チャイルドラインや子どもオンブズマンなどを整備し、子どもたちが24時間365日安心できる地域をつくります。また、地域の子育て経験者を活用し、子どもにとって、自分の親以外にも頼れる大人のいる地域社会をつくります。
[2]育児の不安に応える相談所を地域につくり、親・保護者と保健婦・医師・カウンセラーらが連携を取れるよう支援体制を整えます。
[3]待機児童問題を解消するため、保育所を増やすとともに保育所の設置基準の改善を図ります。またひとり親家庭の子どもについては、優先的に入所できるようにします。
[4]乳幼児保育や産休明け保育を充実させて、育児休暇とセットになった保育サービスを提供します。
[5]延長保育や夜間保育、休日保育を充実し、通勤時間や夜勤、休日出勤に対応できる保育サービスを提供します。
[6]子どもが病気でも働かないといけない場合にも安心できるように、病院・診療所とのネットワークを形成し、病児保育を充実させます。
[7]学童保育(放課後児童健全育成事業)を拡充し、指導員の身分保障・労働条件を確立して、福祉と教育の連携を強化します。

(3)児童手当を拡充し、社民党「子ども手当」へ改変
子育て世帯の負担を軽減し、先進国に比べ、圧倒的に低い水準にある現行の児童手当制度を抜本的に見直します。
18歳未満の児童を対象にして支給額を倍増にした、全額国庫負担の「子ども手当」(仮称)を創設し、安心して子育て・子育ちができる社会をつくります。現行の個人所得課税における16歳未満の扶養控除を停止するなど、税収増分を財源に充当します。

5.障害を持っても共に暮らせる社会を
[1]選べる支援費制度へ
2003年度の春から、障害者の支援費制度が始まりましたが、ホームヘルプサービスの利用制限の問題や、制度の周知も徹底せず、当事者にとって「選べる」制度にはなっていません。グループホームの設置やガイドヘルプサービスなどを早急に整備し、障害者の地域での共生をサポートする支援費制度を目指します。
また、介護保険制度見直しにあたって、障害者福祉との統合が一本化も検討されていますが、その場合には、絶対に質と量の引き下げがあってはなりません。[1]必要なだけのサービス量を確保、[2]全国どこでも利用、[3]自分で介助者を選択、[4]全障害種別で利用、の4原則を基本に、介護保険を見直し、自立支援を進めます。
[2] 障害者差別禁止法の制定
障害を持つ人へのあらゆる差別を禁止する、実効的な「障害者差別禁止法」を制定します。
[3] 欠格条項の廃止
障害者の権利・行動を制限する欠格条項については、全面撤廃に向け取り組み、資格取得に必要な要件を希望者が満たしているか否かのみで判断します。また、資格試験において手話通訳や点字試験用紙を準備するなど、試験における障壁をなくします。
[4] 補助犬の育成支援と施設への同伴拒否の解消
補助犬(盲導犬、聴導犬および肢体障害者の生活介助をするよう訓練された介助犬)の育成については、具体的な育成目標と育成計画を策定し、障害者の自立を支えます。そして、先進国と同様に、公共の施設や機関だけでなく、民間施設も含めて、一般市民が利用できるあらゆる施設への補助犬の同伴が可能になるように、啓発・広報を推進します。
[5] 無年金や低年金を解消し、雇用環境を整備
定住外国人を含めた無年金障害者の救済策を早期に確立するとともに、障害基礎年金を抜本的に拡充して、「暮らせる」障害年金を確立します。また、精神障害者を含めた法定雇用率の設定と達成を促し、援助付き雇用など雇用環境を整備し、最低賃金制度の適用除外を撤廃します。
[6] 共に学ぶ教育と、共に暮らす街づくりを推進
世界の潮流であるインクルーシブ教育を実現し、障害を持つ子どもと、持たない子どもが共に学び育つ統合教育と統合保育に取り組みます。また、移動制約者のための交通条件をはじめ、縦割り行政の弊害を排したバリアフリーの街づくりに向けた法整備や自治体の取り組みを支援します。
[7] EYEマークなど情報保障を確立
視覚障害者などの読書権を保障するため、著作物の音訳を制限する著作権法を改正するとともに、著作権者があらかじめ著作権の開放を許可したことを明らかにする「EYEマーク」運動を進めます。障害者の情報・コミュニケーションを保障するため、手話通訳や点字保障を確立するとともに、障害者に使いやすい情報機器の開発や導入補助など、デジタルデバイド(情報格差)を解消してIT保障を進めます。

6.住居こそ福祉の基礎!
 これまで日本の住宅政策は、「公共事業」としての側面ばかりが強調され、福祉という視点での取り組みはほとんど行われてきませんでした。しかし、住居こそ福祉の基礎です。安心できる住居が確保できれば、お金がそれほどなくても何とか暮らしていけますし、多くの高齢者は寝たきりにならずに住んだはずです。施設で暮らす高齢者の多くも、家がバリアフリーだったら自分の家で暮らし続けることができたはずです。また、安心できる居住空間は子どもたちの健やかな育ちにとっても不可欠です。
 量産すること一辺倒だった住宅政策を改め、ゆとりある安心の暮らしをサポートする生活保障型の居住福祉を目指します。
[1]安心の暮らしを支える住居をつくる最低住居基準を整備
 人間らしく暮らしていけるためにふさわしい住居の最低限の基準を定めます。例えば、イギリスでは5平方メートル(三畳)未満の部屋での居住は禁止されています。日本の風土や生活習慣にあったナショナル・ミニマムを定めます。
[2]家賃の補助制度を拡充します
 収入に見合った費用負担で、安全で安心の住宅に住めるように、多様なニーズにあわせた家賃の補助制度を拡充します。子どもの人数に応じた家賃補助や学生向け、高齢者や単身赴任者を抱える家族、一人暮らしの高齢者、在日外国人留学生など、住宅弱者への家賃補助制度の創設・充実に努めます。
[3]バリアフリー住宅への増改築にかかわる税額控除の導入
 要介護者向けの住宅増改築費に係る税額控除(年35万円を6年間)などを創設するとともに、安価な家賃でバリアフリー型の高齢者向け住宅を大幅に増設します。
[4]多世代混住型グループホームの設置
 学生や働く若い世代、単身赴任者、高齢者や障害者など、異なるライフステージの人が世代を超えて共に暮らせるグループホームをつくります。
[5]優良な公共賃貸住宅の充実
 構造改革の名の下に、これまでの公的住宅制度が破壊されようとしていますが、高齢社会を迎えるにあたって、住生活の向上と居住保障という「居住の権利」の確立が重要な課題となっています。国の住宅政策として一定数の優良な公共賃貸住宅を確保するとともに、質的にも充実させます。また、団地居住者の高齢化が進めんでいますが、高齢者が安心して住み続けられる家賃への見直しと、若者も住める家賃政策への転換など、居住者の居住の安定、公的住宅政策の再確立の立場で新法人を監視していきます。公共住宅を団地居住者にとってのみならず、オープンスペースや緑地、子どもの遊び場、地域の防災拠点など地域社会の貴重な環境資源としても活用します。

《2》雇用労働

1.安心、安全の未来をつくる雇用創出を
 「時代の要請」に応えうる分野への適切な人材養成・配置を進めます。「生活者優先」の21世紀を展望する政策選択として、福祉、環境、教育、消防・災害対策の抜本強化と災害に強い都市づくり(消防職員など)、森林整備、消費者の権利擁護(能力開発・研修の抜本的強化を前提とした消費生活相談員の拡充)、文化・健康・スポーツ、環境産業分野(自然エネルギー、廃棄物・リサイクル業の育成等)――などを重視する雇用創出・安定に向け、政策と財政を総動員します。同時に、人間らしい働き方と家族的責任の両立確保、実り豊かな生活時間などが保障できる労働者本位のワークシェアリング推進や、フルタイム労働とパート労働の「双方向転換制度」の普及促進による雇用増も図ります。
 社民党は、人間らしい働き方を大原則に、安心、安全のための、そして地域に密着した200万人規模の雇用創出に取り組みます。

2.生活再建最優先の雇用・失業対策
 小泉政権の後追いの雇用政策によって生活基盤崩壊の危機に直面している人々に“実際に効く”対策に取り組みます。雇用保険特別会計の枠にとらわれない一般財源からの積極的な財政出動を行い、失敗しても再起できる「暮らしを元気にする」生活安定および再就職支援策を実現します。
 
《セーフティネット拡充》
 「失業なき労働移動」の幻想打破が必要です。「雇用のセーフティネット」による失業・離職労働者の生活の保障とあわせた再就職支援策の“決定版”づくりを進めます。労働者本位の能力開発プログラムとあわせて、「能力開発マイレージ制度」の普及など、企業の創意工夫を引き出す条件整備も行います。
 (1)実際の雇用に結びつく職業能力開発システムの再構築
ハローワークの機能を抜本的に強化し、再就職支援が必要な求職者ごとに処方箋を示し、きめ細かな職業相談・職業能力開発・職業紹介サービスを一体のものとして提供できるマンツーマン的な「個別就職支援システム」を整備し、実際の雇用に結びつく求職者重視の雇用対策を実現します。また、公共職業訓練校の訓練内容等の大幅拡充・改善を進め、再就職に向けステップアップできる技能取得の「再教育機関」としての機能を強化します。同時に、企業内の能力開発等に対する支援強化の一環として「能力開発マイレージ制度」等の普及、促進に取り組みます。
 (2)訓練延長給付の積極適用など
「労働者が自らの意思と選択で就業機会を確保していくために不可欠な」能力開発プログラム・体制等の拡充強化と結合した失業給付にかかわる最長2年の訓練延長給付の積極適用を進めます。また、当面の措置として、全国延長給付の機動的な適用を図ります(給付日数90日間)。
 (3)転職による賃金水準の低下防止プログラムの実施
 正規雇用への早期就業を図るため、危機的な雇用状況が改善されるまでの間、現行の再就職手当の拡大措置として、再就職から「6ヵ月間」の賃金補填措置を講じます(雇用保険の基本手当分の活用)。
 (4)「能力開発ローン制度」の創設
 国民が主体的に取り組む能力開発について十分な支援を行うため、無利子の「能力開発ローン制度」を創設します。
 (5)「倒産時の見舞金制度」の創設や日雇労働者の失業への適切な対応等
 [1]未払賃金立替払の支給額の引き上げ [2]内職・建築職人等の手間請け従事者に対する「倒産時の見舞金制度」の創設 [3]日雇労働者の失業手当などにかかわる受給要件の緩和――など、見過ごされがちな施策にも光をあてます。
 (6)雇用維持・創出に努力する企業等への支援策の強化など
 「積極的に雇用の維持・創出」を図る企業に対する支援策を強化します。
 具体的には、雇用不安の発生を予防し、また企業等が社会的責任を果たすこともできる雇用安定事業の拡充に取り組みます(雇用調整助成金制度や地域雇用開発助成金の適用拡大、中小企業基盤人材確保助成金の拡充など)。

 《目的明確な雇用対策》
 (1)意味あるワークシェアリングに対する公的支援
 サービス残業等の強要に象徴される不法行為根絶に向けた監督・検査体制の強化およびわが国特有の長時間の時間外労働や休日労働に対する実効ある法規制を進めます。
 この前提の下、均衡・均等待遇原則に基づくワークシェアリング(仕事の分かち合い)を根づかせるための公的支援策を整備します。雇用増に寄与する労働者本位のワークシェアリングに積極的に取り組む事業主には、法人税の政策減税や社会保険料(年金、健保)の軽減措置などを講じ、労働者と企業の“共存共栄”が図れる枠組みとします。「雇用創出型」の実現は横暴なリストラや過労死・過労自殺などの抑止にもつながります。
 (2)高止まり失業の若年・中高年労働者の就職支援
 社会に出る若者に「夢と希望」を持てる就職を支援し、中高年労働者の採用を促進するための積極的施策として、適職選択を支援する「有給のインターン雇用(体験入社)制度」の普及を図ります。
 (3)緊急地域雇用創出特別交付金事業の改善・拡充
 緊急地域雇用創出特別交付金については、森林整備等環境保全事業など中・長期の雇用確保につながる制度に改善を図るとともに、雇用創出効果のいっそうの発揮が望めるように拡充します。活動主体としてNPOやワーカーズ・コープ、労働組合の参加が促進される枠組みとします。
 (4)失業者の採用企業に対する支援税制の創設
雇用吸収力を本来的に有するのは収益企業です。この観点から、失業者を常用労働者として50%以上または25%以上かつ20人以上の水準で雇い入れた事業主に対して、法人税等の軽減措置等を講じます。

3.「雇用継続保障法制大綱」の具体化
――均等待遇原則をいかに実現するか――

 企業の「社会的責任の放棄」、安直なリストラ策の遂行という不正義を抑止し、労働者の生活と権利を守るために、「労働契約法」の制定を目指します。
 (1)労働者の就職活動における「情報開示」請求権の保障
 開示内容は、過去3年間の採用実績(男女別、年代別)、離職状況(男女別、年代別)――などとします。導入にあたっては、当初3年間は努力義務とし、4年目から開示義務を発効させます。
 (2)実効ある年齢差別の禁止
 リストラの標的にされている中高年労働者等の厳しい雇用状況に対処するため、[1]雇用対策法第7条を改正し、募集・採用における年齢差別の禁止(現行7条は努力義務を課すにとどまる) [2]定年制度や年金制度についての現状を踏まえ「70歳定年」制度の確立 [3]世界水準として機能しているILO雇用差別に関する111号条約の早急の批准――などに取り組みます。
 (3)解雇の制限ルールの確立
 ◇「整理解雇の制限5要件」の提起と確立
 判例法上の整理解雇に関する「4要件」([1]整理解雇の必要性、[2]整理解雇を回避するための努力、[3]整理解雇の対象労働者の選定基準の合理性、[4]対象労働者・労働組合への説明・協議)を拡充し、定着させます。
 具体的には、「[2]回避努力義務」の中身をより高めるため、[5]「雇用創出型ワークシェアリング」を要件として新たに加えます。時間外・休日労働を削減する手法だけでなく、さらに積極的に所定労働時間の削減方式によって、ワークシェアリングを実施し、雇用を確保することを使用者に義務づけます。
 ◇解雇理由の挙証責任は使用者に
 労働者が解雇の効力を法的に争う場合に困るのは、「解雇理由の合理性」に対する反証です。だから、解雇しようとする使用者は、「解雇理由を明らかにした書面」を交付しなければなりません(この点は、今回の労基法改正で、明示義務に含まれました)。労働者に、その内容に対する反論の機会を保障し(「弁明権」の保障)、もし、裁判になった場合には、解雇理由の挙証責任は使用者にあることを明確にします。
 ◇ILO雇用の終了に関する158号条約の早期批准の実現
 (4)解雇予告制度の拡充
 [1]予告期間は現行労基法第20条の「少なくとも30日前」としている原則の完全履行 [2]ドイツ民法第622条(解約告知期間について、例えば勤続10年で4ヵ月、勤続20年で7ヵ月など)に範を取った当該労働者の「勤続年数に比例した解雇予告期間」の保障――などに取り組みます。
 また、即時解雇の場合や、予告日数が不足している解雇の告知の場合には、この増加した日数に応じた「予告手当」を使用者に義務づけます。
 (5)再雇用についての配慮
 使用者が、法的に有効と認められる整理解雇を行った後に、新たな労働者の雇い入れを行う場合には、整理解雇によって退職した労働者の中で「退職時に再雇用を希望する旨」を申し出ていた労働者について、優先的に雇用する「特別の配慮」を使用者に義務づけます。
 (6)「フルタイム・パートタイム労働の双方向での転換制度」の活用
 「フルタイム労働とパートタイム労働の双方向での転換制度」の普及、活用を図り、育児や看護・介護における家族的責任の遂行、社会人大学への入学、地域でのボランティア活動――など、個人の多様な選択と雇用の継続が可能となる枠組み整備を推進します。その大前提は「同一価値労働・同一賃金」を含む均等待遇原則です。
 (7)労働者のキャリアアップを積極的に図るための研修・教育訓練に関する請求権の保障
 有給休暇でキャリアアップを積極的に図るため、「少なくとも1年につき5日」の研修・教育訓練に関する有給休暇の権利を保障する制度を確立します。また、ILOの有給教育休暇に関する第140号条約の早期批准を実現します。
 (8)雇用を継続するための「配置転換・出向」についてのルール化
 企業がリストラ策を実施する過程で、整理解雇を避けるための諸措置(整理解雇の回避努力義務の履行)を講ずる際に、人事配置の見直し、出向の活用等、労働者の職種・勤務場所等の変更を生じることがあります。これは、[適材適所」の人事配置を通じながら、当面人材を確保する施策ともいます。しかし、大企業では、自己のリストラ策を推進するために、下請け・関連企業の労働者を「玉突き」的に企業外に追いやる事例も散見できます。リストラ目的の人事異動において、雇用を失ったり、あるいは「意に反する配転」をもたらすことのないように、「配置転換・出向」制度におけるガイドラインの制定を図ります。
 (9)自主的苦情処理・調整制度の義務づけ
 労働者の権利義務関係に関する紛争防止・解決のため、使用者の意思表示に対する「弁明権」を保障し、労働者の「弁明」の機会を欠く使用者の意思表示は無効とします。

4.女性、若年労働者重視の政策・制度の体系的整備
――自己決定原則の確立と就業機会の保障――

 (1)育児・介護休業法の改正
 すべての労働者、とりわけ現実に重い家族的責任を担いつつ、仕事との両立に努力している女性労働者の権利保障をさらに手厚くするために、育児・介護休業法を改正し(休業期間の延長と有期雇用への適用拡大など)、「雇用の継続」の実効性を確保するための施策を充実させます。
 現行制度で認められている「深夜業の免除請求権」、「時間外労働の免除請求権」を担保するため、企業の遵守すべきガイドラインを策定します。
 要望の強い「家族の看護休暇」(とりわけ子ども)制度や「つわり休暇」制度の確立を目指します。また、男性労働者の家族的責任を保障するための体制整備(ポジティブ・アクション)も図ります。
 (2)パート労働法の改正等
 正規雇用労働者が過去5年間で170万人減少し、非正規雇用労働者が200万人増加している雇用構造の変化を踏まえつつ、「同一価値労働・同一賃金原則」を含む均等待遇原則を織り込んだ法改正を目指します。
 具体的には、パート・派遣労働者等非正規雇用労働者の権利保障を拡充するために、次の内容を盛り込んだパート労働法の改正を実現します。
 [1] 双方向の転換制度普及、促進
 「同一価値労働・同一賃金」を含む均等待遇原則を確立するために、ライフステージにおいて、あるいはライフスタイルに応じて、フルタイムとパートタイムの働き方を、自らの決定原則に基づいて選択できる「双方向の転換制度」を普及させます。 
 [2] パート労働者に対する賃金・福利厚生等にかかわる「比例原則」の適用
正規雇用労働者と非正規雇用労働者の均等待遇を実現するために、労働時間に比例した賃金を保障するとともに、教育訓練・福利厚生については平等を確保するなど「比例原則」〈注〉を適用します。
〈注〉 労働時間が短いことをもって不合理な差別は許さないという観点から、例えば、正規労働者が8時間働いて1万円だとすれば、4時間のパート労働者は半分の5000円とすることを、賃金にかかわる「比例原則」といいます。
[3] 自主的紛争解決促進のための方策
 労働者の権利義務関係に関する紛争防止・解決のため、自主的苦情処理・調整制度の活用を進め、使用者の意思表示に対する「弁明権」を保障し、労働者の「弁明」の機会を欠く使用者の意思表示は無効とします。
 (3)派遣労働者等の雇用保障
 派遣労働者やパート労働者等の「非正規雇用」労働者の「正社員化ポジティブ・アクション」を導入し、「多様な就業形態」の存在が、労働条件の切り下げや権利の劣悪化をもたらすことのないように「生きがい・安心労働」の実現を目指します。とりわけ、一定期間を経過した派遣労働者の正社員化に向けた実効ある義務化を進めます。
 さらに、「非正規雇用」労働者の「正社員化ポジティブ・アクション」を積極的に導入する企業に対しては、[1]優遇税制の適用や助成措置、[2]実績をあげた企業の取り組み内容・実績の紹介、表彰――などを進めます。
 (4)若年労働者の就業促進
 「フリーター」「パラサイト・シングル」など、最近の若年世代が、自分の意思による生き方と就業の内容が大きく変化している状況、企業の安直な「低賃金・人件費節約」の方策に用いられていることなどを踏まえて、将来を担う若年世代のキャリアアップを複線的に実現します。
[1] 正規雇用に就業する機会を計画的に増やすこと、そのための制度としての有給のインターンシップ制度、ジョブコーチ・トライアル雇用制度の実効性を高め、受入れ実施企業への助成措置を充実させます。
[2] フリーターとしての就業経験を、次のステップに活かせるようなキャリア評価システムを確立します。
  さらに、すべての労働者のキャリアを高めるための制度として、自己啓発した成果をポイントとして積み立てる「能力開発マイレージ制度」の普及を図ります。この制度は、同一企業における研修・教育訓練の成果である資格取得や提案制度による点数の基準を定めてポイントとして蓄積しておき、いつでも自分の希望で一定の金額に替えてさらにキャリアアップを実現する制度です。また、たとえ企業を移動しても「キャリア」として持って歩けるように企業共通の制度として設計します。

5.「自己実現の場」としてのコミュニティの再生を通じた雇用の創出など
ただ“食い扶持さえあればいい”といった政府・与党の手法の対極にあるものを目指します。このため、自立した地域づくり、地域に密着した仕事起こしを支援できる「協同労働」の理念に基づく仕組みづくりなどを積極的に進めます。また、労働者の利益および権利の確立へ新法の制定に取り組みます。
 (1)ワーカーズ・コープ法
 地域を再生し、住民が主体となる「創造的福祉社会」を実現します。このため、市民自身が担う福祉・雇用関係のない働き方としての協同労働・多様なネットワークによる地域経営を“3本柱”とする「ワーカーズ・コープ法」(協同労働の協同組合法)を制定します。雇用労働を対象とする従来の労働法原理を超え、生きがいのある労働の場を創り出すための新たな法制度は可能です。
 (2)ESOP制度
倒産に瀕する企業などの労働者所有をはじめとする労働者のイニシアティブ(主導性)発揮が可能となる新法の制定に取り組みます。このため、低利融資や債務保証など、EUで一般化しているESOP制度(Employee Share Ownership Program)を導入するなど、体制整備を進めます。

6.日本型長期雇用慣行の再構築など
 [1]長期安定雇用制度の維持、拡大に努める事業主などに対する特別助成制度の創設 [2]長期安定雇用制度の活性化とあわせ現在横行する“超青田買い”状況を解消するため、新しい「就職協定」制度の創設 [3]「生涯現役」を望む者の就労機会の確保へ、定年後の雇用継続給付制度の普及促進――などを図ります。

7.実効ある障害者の就業機会の増大など
 (1)ジョブコーチ制、保護雇用制度など雇用環境の整備
 障害をもちながら労働に従事する人を労働者の一人として位置づけるために、ジョブコーチ制や保護雇用制度など雇用環境の整備を図るとともに、最低賃金制度の適用除外を撤廃します。
 (2)障害者の就業機会の増大および就業率の向上を
就職の困難性が高い知的障害者や精神障害者に対する支援の一環として、就業および生活支援を一体的に行う障害者就業・生活支援センターの拡充強化を図るとともに、障害者の就業機会の増大および就業率の向上(定着化)のために、抜本的な助成措置などを講じます。
 障害者雇用促進法で法定雇用率が制度化されたにもかかわらず、民間企業の障害者雇用はいっこうに進めんでいません。この状況を改善するために未達成納付金を大幅に引き上げるなど、民間企業が積極的に障害者を雇用するような施策を講じます。

《3》活力ある中小企業の創造

1.人、地域から元気する経済活性計画
 日本の経済を活性化し、人と地域を元気にするためにも中小企業を中心とした経済活性計画が必要です。働くことを希望する人が、希望にあう条件で働けるという雇用の創出のためにも、中小企業の経済回復策に早急に取り組むことが重要です。不安や閉塞感に包まれている日本社会の生活再建のためにも、社民党は経済対策の最重点項目に「活力ある中小企業の創造」を位置づけて取り組みます。
 社民党では、「人」を大切にし、元気にすることが、経済の活性化の根本対策であると考えています。この数年間、政府・与党の経済対策といえば、金融・経済の制度についての議論に終始していますが、「人」が安心して暮らし、働ける社会の実現のために「社会の設計図」全体を書きかえるという発想の転換が必要です。
 現在の政府・与党の経済対策は、企業の経営責任は曖昧にしたまま、個人に対しては、必要以上の自己責任を押しつける構造を作り出しているといわざるをえません。リストラの結果、失業者を増やすような政策を実行し、企業の存在のみを救うことを国をあげて奨励しているかのように見えます。「人」に対しては付け足しのような失業政策をセーフティネットと称しているにすぎません。
 不良債権処理についても、大企業を救うことで個人も助けようとするやり方では、抜本的な解決方法には至りません。「企業は潰れても、人は潰れない」という社会のシステムをいかに構築していくかという方向に発想を転換した経済活性計画でなければ社会の持続可能な発展は望めません。
 社民党の経済活性計画のコンセプトは、[1]経済活動は目的ではなく、人を幸せにする手段であるという原則に立ちかえる、[2]個人の能力が引き出されることで、地域の経済活動を活性化し、社会の活力とする、[3]失敗しても、立ち直れる、やり直せる社会システムを構築する、[4]まちやむらづくりに地域の人々がかかわりやすい環境をつくる、[5]地域のニーズにあった地域再投資法などの経済対策を講じる等といったものです。地域再投資法を活用しながら、中小企業と地域の経済が活性化される取り組みを展開していきます。

2.中小企業と地域が元気になる自立型経済
 地域経済の再生なくして日本経済の再生はありません。社民党はそれぞれの地域の特色を活かした自立型経済を支援する政策に取り組みます。具体的には地域の社会資本の整備、産業の振興、中心市街地の活性化等に関する政策面での支援、また事業の再生など、地域経済全体の安定化に寄与する政策が地域の力となるように努めていきます。

[1]地域からの視点を活かす政策
 社民党は「地域再投資法」を創設し、ベンチャー企業の支援、地域雇用の創出、地場産業の育成に積極的に取り組みます。
 政府系金融機関が地域ニーズの分析から行っている政策提言等も参考にしながら「地域再投資法」を具体的に活用していくための働きかけを行います。地域投資の公平性、中立性、透明性を明確にしながら、「市場の失敗」を補完する役割を持つ政府系金融機関の融資面での有効な活用法も地域に広げていきます。

[2]地域産業の振興、まち・むらづくり
 地域で元気に楽しく生活するために、社民党は「職・食・住・遊・学」といった生活に不可欠な場所と、そこにかかわる人材の育成を充実させ、雇用につながっていくことに積極的に取り組みます。これには、地域のニーズにあった「地域再投資法」を利用しながら、地域社会が元気を取り戻す経済支援体制を作っていく必要があります。
 また、まち・むらづくりといった地域計画の意志決定に住民が直接に参加することにより、地域の住民は明確な将来のビジョンを持つことができます。
 自分たちのことは自分たちで決めていく、そのような自己決定権の意識改革も同時に行うことが地域産業を活性化する原点ともなります。

[3]貸し渋り、貸し剥がし対策
 金融機関の本来の役割を放棄したかのような貸し渋り、貸し剥がしに厳しく対処します。また金融機関の融資が、物的担保主義ではなく、人材や技術・ノウハウ、企業の可能性や将来性になどに着目して行われるような融資原則を確立し、融資活動に対する厳格な検査を行とともに地域経済に貢献する金融機関には正しい評価と支援が行われるよう、転換を図ります。
 社会資本の整備促進および地域の活性化に寄与する公共性の高いプロジェクトに対して無利子または低利で融資を行う政府系銀行の制度については、今後さらに活用されるように、地域への再投資という観点からも中小企業への融資が拡大されるよう働きかけを行います。 低所得者や中小ビジネス、ベンチャー企業、また特に女性の起業にも注目が集まっていることを受けて、積極的融資およびポジティブ・アクション(積極的改善措置)が拡大されるキャンペーンにも取り組みます。

[4]住民ニーズにあった「小さな公共事業」
 利権体質を生み、無駄が多い、大規模プロジェクト中心の「大きな公共事業」から、地域発信型の住民参加による「小さな公共事業」へ転換します。このことで、住民のニーズに合致した環境、福祉、生活重視の観点から、新しいまち・むらづくりに役立つとともに、地元に直接仕事が回る効果が期待されます。

[5]自然エネルギー促進法で地域を再生
 太陽光や風力、バイオマスなど再生可能エネルギーは、中央集権型ではない地方分権型のエネルギーであり、地域を元気する可能性を秘めたエコロジー産業です。地域再投資法を利用するうえでも、政府系金融機関は、電源地域振興のための融資制度には、利子補給制度と連携した低利融資を行っています。新エネルギーに関する研究、開発は今後も注目を集めていく産業です。地域の特性を活かしたエコロジー産業は、経済的にも地域還元度の高い産業です。

[6]地域でがんばる中小企業を応援
 商店街や町工場など地域でがんばる中小企業が利用しやすい支援体制を整備するとともに、自治体と住民が一体となった地場産業の確立とまち・むらづくりを進めます。企業誘致等による地域振興は限界が見えてきました。地域の資源、地域のニーズに基づいた地域産業振興策の必要性が高まっています。
 地域の企業間の連携はもちろん、地方公共団体、大学などの教育・研究機関といった「産・官・学」を含めた地域産業の集積を拡大し、充実させることにより、中小企業にとっても景気の流れを良くしていく方向を見つけていきます。

[7]失業者等への創業支援
 社民党は、社会・経済の急速な変化に的確に対応できる、きめ細かな創業者支援策に積極的に取り組みます。これまでのような画一的な支援策では、大きな効果は期待できません。失業者等の創業(起業)にあたっては、地域再投資法を活かして、金融面での支援策を講じます。とりわけ、「共同による自立」(再出発)を促進するために、税制、融資(資金)、事業計画、再訓練(トレーニング)などの総合的な支援策を講じます。

[8]失業者の採用企業に対する支援税制の創設
 社民党は、雇用創出を可能とするための税制等の具体化を進めます。具体的には、失業者を常用労働者として50%以上、または25%以上かつ20人以上の水準で雇い入れる事業主については、法人税等の軽減、免除措置を講じる施策に取り組みます。
 雇用創出の可能性が高い分野の中小企業やベンチャー企業等にとって利用しやすいような施策についても随時、現場の声を聞いて盛り込んでいきます。

〈信頼される政治の創造〉

 あっせん利得処罰法「改正」後も、大島農水大臣の前政務秘書官による口利き疑惑、清水達雄参議院議員の党費立て替え問題、田野瀬良太郎議員の秘書給与疑惑、久間章夫議員の秘書の関空疑惑、自民党長崎県連幹事長の逮捕、坂井隆憲議員のヤミ献金問題、松浪健四郎議員の暴力団との癒着疑惑など腐敗・疑惑は相次いでいます。立て続けに繰り返される事件や疑惑が、自民党はじめ与党の政官業癒着・金権腐敗体質そのものの問題であることは、もはや誰の目にも明らかです。しかし、小泉首相は、「自民党をぶっ壊す」どころか、政治改革、口利き・金権腐敗という自民党体質の改革には背を向け、数々の疑惑に対し、他人事のような姿勢に終始してきました。しかも与党は、現行法の法がまだましといってよい公開基準の引き下げを内容とする法案を提出し、厚顔無恥ここにきわまれりです。
 社民党は、秘書給与問題をめぐる厳しい意見・批判を真摯に受け止めながら、改めて自ら襟を正す決意で、清潔で信頼ある政治を目指します。

1.「政治の原点」として政治倫理の確立と政治腐敗の防止を進めます
[1]企業・団体献金の禁止
 政治献金の政治家個人への企業・団体献金が禁止されましたが、「政党支部経由政治家個人行」などの抜け道が多いことから、政治資金規正法附則第10条の趣旨にかんがみ、政党に対する企業・団体献金も早期に禁止すべきであると考えます。当面、献金できる政党支部数の規制、「税金の政治家への還流」にほかならない公共事業受注企業からの献金規制、「抜け道」に使われている側面がある政治団体の機関紙誌への広告料の規制等を内容とする野党4党の政治資金規正法改正案の早期成立に全力をあげます。
[2]改革に逆行する政治資金規正法与党案の成立阻止
 同一政党支部に対する寄付限度額150万円の創設と、企業・団体献金の公開基準の引き上げを柱とする与党三党の政治資金規正法改正案は、上限規制に実質的な意味はなく、また肝心の透明性が低下するという問題を有しており、政治とカネへの不信感を増幅させかねません。リクルート、佐川事件などの反省を背景にした、政治資金の透明度の向上や情報公開の流れに逆行し、政治改革の成果を無にする与党案の撤回・廃案を求めます。
[3]政治資金の公開の推進
 政治資金の透明度を高め有権者の判断に資するため、政治資金に関する情報公開を徹底します。政治資金収支報告書等の文書の保存期間の延長(3年を5年に)、政治資金収支報告書等の記載事項のインターネットを利用した閲覧の実施、政治資金収支報告書の中央・地方の一元的把握、政治家の資金管理団体、政治団体、後援会の連結決算を実現します。
[4]あっせん利得処罰法の強化改正
 野党の批判にもかかわらずあっせん利得処罰法について、対象に私設秘書を加えるだけでお茶を濁しただけで、本気で自民党が痛む改革は行われていません。自治体首長・議員の私設秘書の追加、構成要件の明確化、第三者供賄規定など、あっせん利得処罰法の強化改正に引き続き取り組みます。
[5]政治倫理法の改正
 政治倫理審査会を改組・拡充した政治倫理委員会の設置や国会議員の資産公開に対する実効性の確保などの面から政治倫理法を改正します。
[6]政党助成法の適切な見直し
 政党助成制度は、議会制民主主義を担う政党が利権を媒介にしたアンフェアな資金に依存することがないよう、活動資金の一部を民主政治のコストとして国民に負担をお願いするものであり、将来ともに育成していくことを基本としつつ、公平・公正ぼ観点から国民の信頼に応えられるよう適切な見直しを行っていきます。

2.民意を反映する公正な選挙制度を実現します
[1]比例代表中心の選挙制度へ
 民意の反映を弱め、得票率と議席率の乖離、死票の増加、一票の価値の格差の拡大などの問題を有する小選挙区中心の選挙制度を、死票をなくし民意を反映する公正な制度とするため、選挙制度を比例代表中心の制度へと改めます。
[2]非拘束名簿式の転換
 与党3党が強引に決定し、2001年の参議院選挙から導入された非拘束名簿式の制度は、「旧全国区」の復活ともいる状況を生み出しました。議院内閣制の弱点を補完して衆議院および内閣に対するチェックアンドバランスを発揮し、国民の多元的な意思をより良く国会に反映するという観点から、民主主義を強化する新しい二院制としての参議院の機能強化・活性化に取り組みつつ、参議院にふさわしい選挙制度への見直しを進めます。
[3]民主主義に反する議員定数削減に反対
 選挙制度や議員の定数を、経済行為や効率性と一緒に取り扱うべきではなく、「公務員の定数削減や民間における経営の合理化、組織全体の変革」を理由として与党が強行した定数削減は、民主主義の理念・方法とまったく相容れるものではないと考えます。特に、小選挙区部分の欠陥を拡大し、民意の反映を弱めることになる比例区の定数削減には反対します。

3.国民の政治参加を推進します
[1]18歳選挙権の実現
 青年の政治参加を進めるため、選挙権を行使できる年齢を18歳へ引き下げるとともに、被選挙権の20歳への引き下げを目指します。
[2]洋上投票の改善
 長期航海中の日本人船員のファックスによる洋上投票が実現しましたが、実施状況の検証を進め、対象選挙・対象船舶の拡大などの残された課題の解決に努力します。
[3]立候補権の保障
 誰もが立候補する権利を保障されるように、会社などを退職しなくても立候補できる制度として、「公職休暇復職制度」を導入するとともに、供託金の基準の引き下げを行います。また、世襲候補者による親と同じ選挙区からの立候補の制限を検討します。
[4]選挙運動の見直し
 選挙運動も、戸別訪問の解禁、立会演説会の開催、インターネットを利用した選挙広報活動の解禁など、政党や政治家の情報を入手する機会の拡大や有権者との対話を重視する観点から見直します。一方、制度上の不備が明らかになった連座制について、連座制による立候補制限の対象を、他の種類の選挙にも拡大します。
[5]障害者の選挙権行使の保障
 投票場案内はがきの点字化や点字名簿の設置、車椅子用記載台の設置や出入口のスロープ化等、投票方法や投票所の環境改善、郵便投票方式の活用、巡回投票制度の検討などを進め、障害者の方がより簡便に選挙に参加することができるよううにします。また、公正・平等な選挙運動を保障する観点から、選挙費用の上限の弾力化など障害者の立候補者の選挙運動に対する支援措置を検討します。

4.国民本位の開かれた民主的な行政に改革します
[1]集権・官治から分権・自治へ
 国民・住民の視点で、真にゆとりと豊かさを実感できるように、新時代にあう政治行政制度へのモデルチェンジを行うことが行政改革の目標です。真にゆとりと豊かさを実感できるように、新時代にあう政治行政制度へのモデルチェンジを行うには、分権・自治の推進によって地域の自己決定や透明な新しい社会ルールを確立し、明治以来の中央集権・官主導の行政を、主権在民にふさわしい市民主導の開かれた民主的な行政へと質的に改革します。そのため、地方分権をいっそうの推進し、税財源の自治体移譲を実現します。
[2]「知る権利」を保障する情報公開法へ
 官僚主導の行政を打破するには、主権者である国民に情報を取り戻すことが必要です。国民の「知る権利」を行使する観点から、情報公開法の施行4年後の見直しに向けて、非公開事由の限定・明確化、開示請求等に対する決定期限の特例の廃止など、国民的議論を踏まえ改正します。
[3]行政への参加の推進
 行政の決定に国民が参画できるようにするため、パブリックコメント制度を活用します。各種審議会の委員について、国民参加の視点から、審議の公開や委員の公正な選出、官僚OBの排除など運営の改革を進めます。
[4]ニーズに合致した事業に
 財政危機を口実とした、福祉の抑制・市民負担の増加、市町村合併の強制を許しません。住民のニーズに合致した事業・施策への重点化を図るように国民の視点から行政のあり方、事務・事業を評価・検証し、ムリ、ムダ、ムラをなくします。その際、業務の実績の評定にあたっては、財務面の評価のみならず、社会的評価の観点も加味して行うようにします。
[5]国会の機能の強化
 自自公政権によって、総理・閣僚の国会軽視答弁や強引な日程設定が相次ぐなど国会審議の形骸化が進めみましたが、国会がその権能を十分に発揮し、活発かつ実質的な議論を行い、国民の負託によりいっそうの応えることができるようにすることが大切です。議院内閣制を形骸化させ、行政優位の官僚政治や「リーダーシップ」に名を借りた危機管理対策をますます強めたり、国民に犠牲と負担を強いる「構造改革」の推進に利用されたりするおそれがある首相公選制ではなく、国権の最高機関である国会の行政府に対する監視・統制機能の強化、官僚優位の「官僚内閣制」から国民本位の「国会内閣制」への改革を進めます。そのため、国の唯一の立法機関である国会の政策立案機能が十分発揮できるよう、両院の常任委員会調査室、議院法制局、国会図書館の機能、各会派の政策スタッフなど立法府にふさわしい補佐機関の質量両面の充実・権限強化を図るとともに、質問主意書制度や一般質疑、フリートーキング方式、常時の公聴会の開催等の活用、議員発議に必要な賛成者の員数要件の緩和などの改革を進めます。また、国会は情報公開法の適用外ですが、国民の不断の監視と批判を進めるため、国会情報公開法を制定します。
[6]諮問的国民投票制度の導入
 国政を二分するような重要な問題は、主権者に直接判断を求め、その意思を尊重することが大切です。憲法との整合性を踏まえ、諮問的国民投票制度の導入を検討します。なお憲法改正のための国民投票については、憲法改正手続が必要であるという客観的情勢にはなく、手続法の制定が憲法改正を容易にするおそれがあることから反対です。

5.民主的で透明な公務員制度改革を実現します
[1]ILO勧告を踏まえた抜本改革の実現
 2001年12月に閣議決定された「公務員制度改革大綱」は、天下りや縦割り・画一行政などの弊害の是正という国民の期待や要求からかけ離れた、市民・国民不在、権力優先、キャリア優先、公務員労働者犠牲の「改革」案です。「大綱」を撤回させ、ILO勧告を踏まえた抜本改革実現への中期的道筋をつけるため、透明で民主的な公務員制度改革を目指し、あるべき改革像の骨太の方針とプロセスの具体的なプランを作成します。
[2]公務員の労働基本権の保障
 特権的で閉鎖的な公務員制度を国民のための中立・公正で透明な行政を目指す方向で、民主的な形で改革していくためには、公務においても労働基本権を確立し、民間に準じたパートナーシップに基づく対等平等な労使関係の下で団体交渉によって賃金・労働条件を決定する制度を確立するようにします。
[3]キャリア制度の廃止
 公務員の採用試験区分を見直し、閉鎖的で特権的なキャリア制度を廃止するとともに、原則試験制度に基づく昇格制度を採用し任用時における昇任差別をなくします。中央、地方機関の格差や男女の格差、常勤・非常勤・パートの格差を是正します。クォータ制の導入で女性の登用を進めます。
[4]公務員の天下り禁止
 早期勧奨退職制度を廃止し、在職期間の長期化を図るとともに、野党3党がすでに提出している「天下り禁止法案」の成立を図り、特殊法人、独立行政法人等も含め徹底した規制を行います。
[5]公務員の政治的中立性の保障
 政・官の癒着を排除し、公務員なかんずく高級公務員と政党の間の適切な関係を維持するため、公務員の採用、研修等を通じて、公務員の憲法に保障された市民的権利を保障しつつ公務労働における中立性を確保します。そのため、まず公務員の採用試験や研修そのものが政党内閣によって左右されない公務員制度および人事行政制度を確立します。

6.国家による監視社会に反対し、プライバシーを守ります
[1]住基ネットの凍結・廃止
 強権政治の与党体制の下において、国家的危機管理の面が強調されている、住民基本台帳ネットワークシステムが本格稼働しましたが、セキュリティ対策、費用対効果、付番の是非など大きな問題を抱えています。住基ネットシステムに不安を抱く多くの市民や自治体労働者と連携しながら、ネットワークシステムの凍結・廃止を念頭にシステムの監視と問題点の追及に取り組むとともに、実効性ある個人情報保護条例制定などの自治体の自治権発揮の取り組みを支援していきます。
[2]「個人情報を保護しない」個人情報保護関連法案の抜本改正
 自己情報コントロール権や、言論・メディアへの政府介入の排除、センシティブ情報の収集の原則禁止、目的外利用・外部提供の例外の限定、個人情報ファイルの事前通知、個人情報ファイル簿の作成・公表の例外の限定、データマッチング規制の導入、開示請求等に対する決定期限の特例の廃止を明記するとともに、行政から独立した「個人情報保護委員会」の設置等を含むよう個人情報保護法および関連法を改正します。
[3]プライバシー保護個別法の制定
 国勢調査等、統計調査においても個人情報とプライバシー保護を最重視するようにするとともに、医療情報、教育情報などのセンシティブ(取り扱いに注意すべき)情報について、個別の個人情報保護法を整備します。

〈平和の創造〉
《平和憲法の理念を世界に拡げ、軍事力によらない平和を実現します》

 第二次世界大戦の廃墟の中で平和の実現を最大の目的として創設された国際連合は、その憲章の第2条第4項で「武力による威嚇または武力の行使」を原則として禁じました。国連憲章の約1年半後にできた日本国憲法は、これをさらに一歩進めて、その第9条で戦力の不保持を決め、交戦権そのものを否認したのです。社民党は、日本社会党として結党された当初から、国連による集団安全保障制度を有効に機能させ、憲法第9条が目指した軍備なき世界の理想を実現することを目標に努力を重ねてきました。
 いま、半世紀にわたってこうした人類の理想を封印してきた東西冷戦が崩壊し、平和憲法の理想が現実的な可能性を持ちうる課題となりつつあります。しかし一方で、野蛮な武力を振り回し、安易に軍事的に依存する発想もはびこっています。社民党はあくまで非軍事にこだわりながら、国家間の力関係や軍事力の均衡によって実現される「戦争のない状態」にとどまるのではなく、差別や抑圧のない真に平和な世界を実現したいと考えています。
 21世紀の世界は、軍事ブロック間の対立と均衡のシステムから、多国間の信頼と協調に基づく新しい安全保障体制の構築に向かわなくてはなりません。私たちは安全保障に関する発想を転換し、経済開発、環境保全、人権など「人間の安全保障」の観点を中心に据え、政府間だけではなく民間や自治体間の交流、NGOの活動などを、21世紀の国際社会の主要な構成要素として位置づけていくことが求められます。ヒロシマ・ナガサキの悲惨な体験を持ち、世界に誇る平和憲法を持つ日本こそが、新しい平和な21世紀を築くためにリーダーシップを発揮するべきではないのでしょうか。

1.人間の安全保障の立場に立って安全保障環境の整備を進めます
[1]社民党は平和憲法の精神を世界に発信しながら、一切の暴力や差別、抑圧がない平和な世界をつくるために努力を続けます。
[2]憲法第9条の規定を国家の意思として世界に知らしめるために「非核不戦国家」を宣言する国会決議を行い、国連に「非核不戦国家の地位」の承認を求めます。
[3]公正な歴史認識を持ち、戦争被害への補償と清算のための取り組みを進めます。
[4]日朝の国交正常化にむけた協議の中で、拉致問題を早期に解決するよう努力します。
[5]政府開発援助(ODA)を社会開発、人権、女性支援、環境保全など「人間の安全保障」重視に転換します。ODAの基本原則を定めた「ODA基本法」を制定して、国会への報告を義務づけると同時に、計画実施前後のアセスメント、評価にNGO、相手国民などが参加できる援助システムを確立します。

2.日米安保への依存を弱め、多国間の安全保障システムを構築します
[1]将来的に日米安保条約の軍事同盟の側面を弱めながら、その役割を終わらせ、経済や文化面での協力を中心にした平和友好条約への転換を目指します。
[2]日米二国間の軍事同盟関係への過度の依存から脱却し、アジア・太平洋の多国間安全保障対話を推進させます。「ASEAN地域フォーラム」(21ヵ国・1機関)など地域的な安全保障対話の回路を拡充し、地域の信頼醸成、予防外交を促進します。
[3]朝鮮半島の核問題を解決し北東アジアの緊張緩和をはかるために、6ヵ国協議などの多国間の安全保障対話を進めます。
[4]ARF(ASEAN地域フォーラム)やOSCE(欧州安保協力機構)にならって、北東アジア地域に「北東アジア総合安全保障機構」の設立を目指します。
[5]最も過重な負担を押しつけられている沖縄を最優先に、全国の在日米軍基地の整理・縮小・撤去を進め、地域住民の負担を軽減します。
[6]在日米軍の使用施設・区域・裁判管轄権・経費の分担などを規定している日米地位協定を抜本的に改訂し、早期にドイツの「NATO軍地位協定」並みの国内法優位の原則を確立します。在日米軍の駐留経費の負担について定めた特別協定を廃止しし本来負担する必要がない「思いやり予算」を大胆に削減します。
[7]基地を縮小・閉鎖するために「基地基本法」を制定し、雇用対策や跡地利用、汚染対策などを計画的に行います。
[8]国民の基本的人権を侵害する有事体制の整備に反対し、日本の戦争国家化に反対します。地方自治体や民間、国民への戦争協力の強制に反対します。

3.自衛隊を縮小・改編し平和憲法の理念の実現を目指します
[1]憲法の下に「平和基本法」を制定し、肥大化した自衛隊の規模や装備を必要最小限の水準にまで縮小します。
[2]防衛関係費の最大限の縮減を目指します。防衛調達をめぐる不祥事の再発防止のためにも、自衛官の天下りなどの「軍産癒着」の構造を解体し、防衛予算の透明化を図ると同時に、防衛産業の民生転換を進めます。
[3]軍事組織の独走を許さないために、文民が自衛隊の統制権・指揮権を持つ「シビリアン・コントロール」の理念を実質化し、情報公開を進めます。非核3原則、武器輸出禁止3原則を厳格に守ります。
[4]専守防衛の理念を厳守し、攻撃的な装備の保有を控えます。イージス艦、空中給油機、空母などの保有には反対します。
[5]多数の自殺事件に表れている自衛隊内部での人権侵害を防ぐために、自衛官の基本的人権を保障する制度を創設します。

4.非軍事面で積極的な国際協力を進めます
[1]海外の大規模災害に国際緊急援助隊、発展途上国のために青年海外協力隊などを積極的に派遣し、平和協力を推進します。
[2]国連平和維持活動(PKO)への参加にあたっては、PKO5原則を遵守し人道的な国際救援活動などに徹します。派遣される隊員に対しては現地の文化・風習や言語等の研修を十分に行い、住民との摩擦等が起きないよう万全の配慮をします。
[3]軍事行動を目的とする多国籍軍等への自衛隊の参加は、憲法が禁じる武力行使そのものであり、強く反対します。
[4]イラクへの自衛隊派遣に反対し、自衛隊の海外派兵のための恒久法の制定に反対します。

5.北東アジアを非核化し、核も戦争もない21世紀を目指します
[1]すべての核兵器国による先制不使用宣言を呼びかけ、非核兵器国が結束して条約化を目指します。また核兵器の核を大幅に削減すると同時に、CTBTの発効やカットオフ条約の具体化を図り、核兵器禁止条約の実現を目指します。
[2]国是とされている従来の非核3原則の法制化(非核基本法)に加えて、秋葉忠利広島市長が提起している「新非核3原則」(作らせず、持たせず、使わせない)に基づいた取り組みを広げます。
[3]すでに地球の南半分を覆った非核地帯を、北東アジア地域にも広げます。日本、韓国、北朝鮮、モンゴルの非核保有国4ヵ国の合意と、核兵器国による承認による「北東アジア非核地帯」を創設します。
[4]安全保障理事会のあり方を見直すなど、国連の民主的改革を推進し、大国主義ではない民主的な国連を目指します。国連の紛争予防能力を高めるなど、世界平和への国連の役割を強化します。

☆8つの約束

1.〈環境〉

 社民党の環境政策は、美しい自然を取り戻したり、生活環境をきれいにするというだけにとどまらず、人間と自然の共生が図れる社会を創ることを目的としています。
人間には、過酷な労働からの解放、便利さや快適さの追及という果てしない欲望があります。この欲望によって人類の生活は限りなく進歩しましたが、反面、自然や生態系、生活環境は破壊され汚染されるという結果をもたらしました。社民党の目指す自然との共生社会とは、人間の属性とでもいうべきこの欲望を人々の合意と協力によってコントロールしていく社会のことです。
 共生とは、換言すれば、人間のあらゆる活動を、自然や他の生物の再生(再生産・循環)が可能な範囲にとどめるようにするということです。この観点から以下の政策を提起します。 

1.エネルギー政策を転換します
 (1)脱原発の推進
 国の方針として脱原発を推進していくことを明確にし、エネルギー基本計画を根本から改訂します。プルサーマルや再処理などプルトニウム利用計画は直ちに中止します。また原子力関係予算を削減して、再生可能な自然エネルギーの開発や利用技術向上のための予算に振り向けます。さらに固定価格による自然エネルギー買い取りを保証する「自然エネルギー発電促進法」を制定し自然エネルギーの利用普及を目指します。また9つの地域電力会社による電力の発電、送電、配電の独占経営を見直し、統合、分割を含む再編成に着手します。

 (2)地球温暖化対策の推進(脱化石燃料) 
   [1]産業界に削減義務づけ
 地球温暖化対策を進め、日本の公約であるマイナス6%削減を達成するために、まず事業者に対して、全体の削減目標や年次ごとの目標を定めさせるとともに、その計画と実施状況の公表、排出した温室効果ガスの排出量などを公表させるようにします。排出削減努力がたりない事業者に対する勧告制度も必要です。また国が作成する達成計画や地方公共団体の実行計画は、市民のチェックができるようにするとともに、達成計画・実行計画、具体的実施の策定、監視、評価等に対して国民の関与ができるようにします。

   [2]環境税(炭素税)の導入
  地球温暖化対策を実効あるものとするためには、排出量取引や森林の吸 収率算定などの柔軟措置(京都メカニズム)に依存するのではなく、工場の排出規制や自動車の排ガス規制など排出源対策の強化を図るべきです。そのためには環境税(炭素税)の導入が最も有効です。環境税とは、二酸化炭素を排出する行為に課税するものであり、それによって企業や消費者(マイカーの運転者等)に、二酸化炭素を排出する行為を回避させることを目的(経済的誘導効果)としています。社民党は現行石油税と同様、蔵出しの段階での課税を考えていますので、企業や消費者は購入時に環境税を負担することになります。
[3]交通体系の見直し
 自動車やトラックが主流となっている人や物品の輸送を鉄道や海運へ転換します。公共バスについては燃料電池化、ハイブリッド化を進める他、新しい路面電車LRT(軽快電車)に転換します。また都市部での交通量を抑制するため公共交通とマイカーの連携をスムーズにするパーク&ライドを普及します。さらに公共交通機関を充実し、人々がマイカーではなく公共交通を積極的に利用する施策(公共交通の方が経済的で利便性が高くなる施策)を進めます。
 ディーゼル車から排出されるNOxについては、尼崎、名古屋、東京の各公害訴訟判決を踏まえ、各自治体と連携を図りしながらディーゼル車の総量規制(走行量規制)を実施します。自動車NOx法の特定地域全体において、SPM(直径10マイクロメートルの微粒子・マイクロは100万分の1)の環境基準を達成しているのは、一般局(一般環境大気測定局)323局中109局(33.7%)、自排局(自動車排出ガス測定局)137局中17局(12.4%)、首都圏特定地域では自排局96局中3局(3.1%)。
[4]自動車関係諸税の見直し
自動車重量税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税などの自動車関係諸税の使途を見直し、環境対策、地方生活交通(バス・鉄道)の維持、低 公害車・低燃費車の開発・普及、森林整備等の財源に振り向けます。

2.有害化学物質、合成化学農薬を規制します
 予防原則を確立し、人の健康や生態系への影響を未然防止する観点から、化 物質についての管理、情報開示、規制等を徹底します。
 (1)予防原則の徹底=PRTR法の早期改正
 新規化学物質や既存化学物質による環境汚染を防止するために、安  全性の確認を行うことは当然ですが、その確認は簡単にできるものではなく長い時間を要します。ある化学物質が危険だと判明した時点で、製造や輸入を禁止したとしても、それでは手遅れです。国民の化学物質に対する不安もそこに起因しており、現時点で人の健康や生態系への影響が未解明でも、将来にわたって安心なのかという点にあります。何らかの異常が判明した時点で対処するやり方では被害の未然防止は図れません。残念ながら現行のPRTR法では、事業者の届出事項は「排出量と移動量」だけであり、対象物質も200から600と極めて限られています。したがって対象物質を拡大するとともに、事業者の届出事項に生産量、輸入量、使用量、受入量、引渡量、保有量を加え、予防原則を徹底することが必要です。また製品にどのような化学物質が使用されているのか消費者に理解できる表示を事業者に義務づけます。さらに非点源(家庭等からの廃棄物、排気ガス等)の排出量と移動量を推計し、化学物質の流れや状況がより正確に把握できるようにします。化学物質に関する知識を共有できるよう、企業・自治体・専門家・市民によるリスクコミュニケーションを確立します。

 (2)既存化学物質の安全性の確認
 現在約2万種ある既存化学物質のうち、安全性点検が行われたのは、分解性・蓄積性関係で1377種、人の健康への長期毒性関係では246種にすぎません。この既存化学物質の安全性点検を早急に行います。

 (3)生活環境における化学物質の規制
生活環境の中で使用されることによって起こる化学物質の被害を未然に防止するため、「生活環境で使用する殺虫剤等の規制に関する法律」を市民とともに制定します。その中では次のことを明確にします。[1]予防原則を導入し、人の健康や生態系に被害を及ぼすおそれのある殺虫剤等は、因果関係が科学的に立証されなくとも排除するようにします。[2]生活環境で使用する薬剤は国の許可制とします。[3]事前評価と事後評価を導入し、製造メーカーに、毒性試験や環境影響評価を実施した結果を公開してパブリックコメントを求めるようにするとともに、販売(使用)開始後の再評価制度を設けます。[4]情報公開を徹底し、メーカーにあらゆるデータを開示させるとともに、製品に含有される成分名、含有量の表示を義務づけます。[5]被害者救済のため国・自治体に相談窓口を設置し、健康被害者のための医療機関を設けるとともに医療保険が適用できるようにします。
 なお非農耕地農薬(除草剤、害虫防止剤)に、農薬取締法を適用することによって乱用と被害拡大を防ぎます。また住宅地における農薬の使用はガーデニングも含めて規制します。景観維持のために行われる街路樹学校・公園などの樹木、草花への農薬散布も規制します。

3.廃棄物・リサイクル対策を進めます
 リデュース(発生抑制)・リユース(再使用)・リサイクル(再利用)の優 先順位を明確にするとともに拡大生産者責任を導入し、排出者責任を徹底します。また廃棄物の定義を見直し、占有者の主観的意志や有価・無価にかかわりなく、客観的に廃棄物を規定し不法投棄・不適正処理を防止します。また事業系一般廃棄物は産業廃棄物とて扱います。
 処理場、処分場建設にあたっては、情報公開を徹底して施設の運営や管理を透明にします。施設から排出される有害物質のデータなどの住民への開示を徹底するとともにデータの改ざん等を防止するために、施設から独立した第三者(学者・専門家・住民)の関与を義務づけます。また計画の決定過程を情報開示の対象とするとともに、施設建設計画への住民参加を保障します。

4.戦略的環境アセスメントを導入します
 すべての公共事業を対象に、計画段階から環境影響評価を実施できる戦略型環境アセスメント法を制定し、ダム建設や森林・海浜・河川・湿地などの開発を規制し環境破壊を防止します。また公共事業の決定過程を透明にするため市民参加を保障し、行政・企業の情報開示を義務づけます。さらに事業が進められている過程においても、市民参加によって事業がチェックできるようにします。いったん着手された事業であっても、環境への負荷が大きいと認められる場合にも、計画の変更や中止ができるようにします。完成後の厳しい環境影響調査も義務づけます。

5.野生生物保護法を制定します
 野生生物を保護するとともに野生生物の生息可能な環境を維持・保全・回復していくため野生生物保護法を制定し、保護指定地域における開発(森林・海浜・河川・湿地等の開発)を規制します。また合成化学農薬等の使用を規制します。日本に生息する野生生物種約3万種のうち、絶滅危惧種は動植物をあわせて2662種ですが、指定は57種にすぎません。日本に生息する野生生物(哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚 類、昆虫、植物等)の生息実態と生息環境を調査・把握し、絶滅危惧種の指定を大幅に拡大します。また日本固有の生態系を破壊する移入種の規制を行います。

6.環境行政に対する市民参加を確立し情報公開を進めます
 環境行政を推進していくための基礎は、市民参加、行政・企業の情報開示です。公的部門、企業、市民運動、NPO、個人のすべてが環境保全のための企画の立案、実施、評価に参加できるシステムを確立します。また環境省の機能と権限を強化し国の産業・経済政策を環境の観点からチェックできるようにします。

7.水基本法を制定します
地球的規模での水環境保全の必要性と、水に関する法律との一本化を図るために水基本法を制定します。基本法では5省(環境、国交、厚労、農水、経産)に跨っている水行政を一元化するとともに、[1]水は国民の共有財産であること、[2]水にかかわる事業は行政・国民共有の財産であること、[3]水は共同域(河川流域)における管理が必要であること、[4]水事業および水管理にかかわる政策決定過程において住民参加を保障すること等を明確にします。

2.〈教育〉

 子どもに希望を!
《21世紀にすべての子どもたちによりよき人生への“あこがれ”を贈ろうではありませんか!》

1.21世紀、世界の子どもの憲法といわれる「子どもの権利条約」を中心に、日本国憲法・教育基本法を、あらゆる教育の場に根づかせ、具現化していきます。
 20世紀は〈戦争と平和〉に人類が苦悩した世紀でもありました。第1次世界大戦・第二次世界大戦の後、戦争と言う「最悪の被害」を子どもたちにもたらしたことを反省し、「児童の権利宣言」を発しました。
 1989年11月20日に国連で採択した「子どもの権利条約」を、日本政府は1994年にやっと批准し、今年は9年目を迎えました。しかし、子どもの権利に関する状況はいっこうによくならず、むしろ悪化の一途をたどっています。
 2000年9月11日の同時多発テロ以降、アメリカによるアフガニスタンへの報復戦争、イラク戦争など世界の多くの人々の「私たちの手で戦争を止めよう」の声を無視して開始され、泥沼化しています。わが国においても「有事法制関連3法」「イラク支援特別措置法」が成立する中、3月20日に教育基本法「改正」に向けての中教審答申が出され、次期通常国会に法案が出されそうな危機的状況にあります。2005年に向けて憲法「改正」も視野に入れた論議もされています。
 ユネスコ憲章の「戦争は人の心の中に生まれるものだから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」という理念、子どもの権利条約の第3条「子どもの最善の利益」、第12条「子どもの意見表明権」、第31条「休息、余暇、遊び、文化、芸術の権利」、教育基本法前文「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」、女性差別撤廃条約第10条「教育の男女平等」等を具体的に実践し、定着させる取り組みが急がれます。
 「一人ひとりは違い、かけがえのない存在として平等である」。これが憲法・教育基本法・子どもの権利条約等を貫く「子どもの最善の利益」です。憲法・教育基本法を現実に近づけるのではなく、現実を憲法・教育基本法の理念に近づける努力こそが求められています。
 社民党は、これらの理念実現に向けた取り組みをさらに強めます。

2.教育基本法の改悪を阻止し、教育基本法の掲げる理念を具体化する教育改革に取り組みます。
 教育改革で一番大切な課題は「子どもの最善の利益」のために国民あげての協働作業による知恵を集めることです。中教審は、教育基本法「改正」の方向を出すにあたり、この姿勢を決定的に欠いていました。
 教育基本法は、理念法として、まさに「教育の憲法」としての地位を確立してきました。それは、この法が教育の目標を一人ひとりの価値を大切にする「人格の完成」におき、そのための国家の責任を指し示しているからに他なりません。さらにこの法は、わずか11条の短い中に「平和」という言葉を3度も使い、平和国家の形成者としての日本の教育を謳っているのです。
憲法との力強いつながは明らかです。しかし、先に有事法制・イラク特措法を成立させた小泉政権は、有事法制の制定だけでは“仏作って魂入れず”になりかねないこと自体、現政権も先刻承知です。だからこそ「心の有事法制」として、国を愛する心を標榜した教育基本法の見直しを強行しようとするのです。
 「国を愛する心」などを教育基本法の条文に規定することは、個人の内面の自由に踏み込むことは避けられず、憲法19条「思想、良心の自由」に抵触します。
 14万人を超える不登校生やいじめ問題など教育の深刻な状況は、「社会階層学力」論にみられるように、一方で経済政策の失敗による貧困家庭の増大や地域教育力の衰退があり、他方では競争原理で子どもを追い込む文科省行政の責任こそ問われなければなりません。やるべきこともせず、原因を教育基本法に押しつける手法は、本末転倒もはなはだしいやり方といます。
 人間性・社会性を育む効果が明らかな30人以下学級の速やかな達成や(最終的には20人以下学級の実現)、行財政の地方自治を拡大することによる学校づくり、日本が批准している「子どもの最善の利益」を目指す子どもの権利条約の履行――などは、教育基本法が目指す理念そのものです。
 子どもたちが主人公となる「教育再生」へ、教育基本法の改悪阻止に全力をあげるとともに、教育基本法の具現化のために財政と政策を総動員します。

3.大切な地域の教育力を回復するために、地域独自の民主的教育改革を子どもと大人の共同作業で進めます
 「いじめ」「不登校」「12歳少年歳問題」などは、教育基本法を「改正」して解決するものではありません。子どもをめぐる問題の根底には、とめどない市場経済の流入で、家族と地域社会(共同体)が崩れつつあることが原因の一つになっていると指摘されています。人と人、人と自然、自然と自然の関係性(かかわり合い)の智恵を育む原点が「地域共同体」にあるにもかかわらずです。
 私たちは、この豊かな地域教育力の回復を教育改革の大切な柱と考え、地域の保護者・教育関係者・住民、そして子どもの声を取り入れた民主的な教育改革を進めます。教育改革派、誰がどのように行うのかという「プログラム改革」が重要なのです。

4.豊かな教育環境を保障するために、教育予算GDP(国内総生産)5%水準の達成に向け、「10ヵ年計画」をつくり、具体化します
 「お金をかけない教育改革」、これが政府のやり方です。日本の教育予算は対GDP比3%半ばの低水準まま推移してきました。一方で「心のノート」による道徳教育を強化し、一方で習熟度別学習を導入し、スーパーサイエンスハイスクールなどエリート教育にお金をかけ、30人以下学級を悪平等主義と誹謗し、子どもたちを競争に駆り立てています。
 私たちは、一人ひとりの顔が見える教育環境をつくるための条件整備には、思い切った教育のための財政出動が必要であると考えます。教育予算を「世界標準」といるGDP5%水準とするため、「10ヵ年計画」をつくり、着実な実行を図ります。

 (1)完全学校五日制を学校ルネッサンスとして取り組みます。
学校は競争するためにあるのではありません。学校は友達をつくり、学ぶ楽しさを知るところです。そのことによって真の創造力(学力)は身につくのです。
 「仲間のいる楽しい学校」と「ゆとりと真の学力」の2点で学校ルネッサンスを図ります。
[1] 学校を「競争の場」から「友達づくりの場」へ、「友達=ライバル」から「ピアサポート=友達づくり」への改革
[2] 子どもたちによる自治活動の取り組みの強化
[3] 学習指導要領のいっそうの大綱化(基本的に教えなければならない最低限の内容にする)と地域カリキュラムセンターの設置
[4] 評価手法の改善
[5] 内申書の本人・保護者に対する公開制度の創設
[6] 民主的で活力ある職員室へ
 (2)共に学び、共に生きる学校をつくります。
 「一人ひとりは違い、かけがえのない存在として平等」が実現できる教育を進めます。このため人権、平和教育を推進します。学校のバリアフリー化を図り、障害を持つ子と持たない子との「共生教育」に積極的に取り組みます。また、社会的、文化的につくられた性別役割分業意識にとらわれないジェンダーフリーの学校をつくります。 
 (3)地域社会の「きずな」としての学校にします。
 学校は、地域社会の情報と文化のセンターです。このためにも「社会の最善の物」が完備された施設水準の達成に取り組みます。教育の地方分権と情報公開を進め、「学校協議会」を創設するなど、地域の人々と子どもが一緒になって、未来を切り拓く学校づくりを進めます。また、24時間子どもサポートシステムを確立します。
 教育委員会の民主化(公選制)を進め、地域のすぐれた人材の教育への参加を求めます。
 (4)地域合同総合制高校を中心に高校教育の準義務化を進めます。
 「15の春」の選抜的確者主義が子どもたちの心に大きな影を落としています。高校間格差を見直すために地域合同総合制高校〈注〉校をつくることを進めます。
また、定時制高校、通信高校、夜間中学校の役割を重視し、そのために必要な財政支出を積極的に行います。
〈注〉 地元の普通高校と職業高校を統合した学校であり、受験技術の優劣よりも、教育基本法が教育の目的とする「人格の完成」を重視。地域性・男女共学・総合制という三つの戦後高校教育の原則を現代に再生することを目指しています。また、生徒自らが、学習スケジュールを組み、職業教育(一定期間の職場体験も可)も学び、適性・進路などがじっくり考えられるようにします。
 (5)生涯輝くための豊かな生涯学習体系を重視します。
 市場万能経済の下で階層格差が拡大しており、教育機会の不平等は広がっています。すべての学ぶ者に豊かな生涯学習を保障するために、「生涯学習5ヵ年計画」を進めます。
(6)「子どもルネッサンス10ヵ年計画」を策定します。
 21世紀の希望であり、民主社会の主権者である子どものために、「教育と平和は最大の安全保障である」という考えによる「子どもルネッサンス10ヵ年計画」を策定します。
[1] 防衛予算を削減し、子どものための教育予算に振り向けます。
[2] 学校の生徒定員を800人以下(中規模校)に押さえ、学級生徒数は20人以下とします。(当面、30人以下学級を目指す)
[3] 海外からも含めた教職員を1.5倍に増やします(30万人の増員)。事務・栄養職員(栄養教諭制度の創設を含む)の国庫負担を堅持します。また、教職員の権利保障に努めます。
[4] 校舎・教室・保健室(子どもの心身の健康を守る養護教諭の増員および複数配置の推進を含む)・給食室・トイレ等の教育環境の改善・整備を進めます。
[5] すべての市町村に「エコスクール」(自然と環境について親も子も学ぶことのできる体験学校)を設置します。
[6] IT格差をなくし、メディア(媒体)・リテラシー(メディアが提供する情報等を批判的に読み解き、活用する能力)を育てます。
 (7)教員・住民参加の教科書採択制度を確立します。
教科書は、子どもたちの正確な情報認識と判断力を養うための重要な糧です。子どもたちに適した教科書を選ぶことができるのは、日々子どもたちと深くかかわっている教員です。教科書採択にあたっては、教員の意向が反映されるための条件整備を図り、保護者・住民参加の制度的保障なども積極的に進めます。
この前提の下に、教科書検定制度の廃止に取り組みます。
 (8)高等教育の質の充実のためにGDP1%投資を目指します。
 アメリカの高等教育への財政支出は、GDP0.9%(2000年度)であるのに対して、日本は0.5%(同)です。高等教育の基礎研究の立ち遅れを改善するために、1%水準達成を目指します。
 (9)多様な価値(観)を育むためにいっそうの私学助成を進めます。
 公教育を担う車の両輪が、公立学校と私立学校です。 
 しかし、そこでの教育条件には、容認しがたい格差が存在します。公私間格差の是正を積極的に進めるため
[1] 授業料減免制度の抜本拡充 
[2] 私学における30人以下学級実現のための補助 
[3] バリアフリー化のための特別助成 
[4] 私大等の教育・研究の充実へ経常経費に対する2分の1助成の実現
 (10)機会均等を保障できる奨学金・育英制度を充実させます。
 奨学金制度の抜本的な充実は、教育の機会均等を保障するための不可欠の前提です。国公私関係なく奨学金・育英制度を充実させます。無利子奨学金の拡充を図るとともに、選考基準については経済的条件のみとする改善も行います。同時に、給費奨学金制度創設に向けた検討も進めます。また、アジアを中心に留学生30万人の奨学制度を設立します。
 (11)子育て支援と子育ち支援の統合、保育の一元化を推進します。
子どもたちが地域でゆっくり育つ時間・場所を保障するための保育一元化(幼稚園と保育園の機能の一元化)を進めます。
(12)「学社融合」による豊かな校外生活の充実を図ります。
 学校教育と社会教育と社会教育を融合した教育プログラムを充実させるために、図書館・博物館の学芸員、スポーツ指導者、市民ボランティアなど、人的、物的条件を整備します。
(13)教育の地方分権を推進します。
 教育の地方分権をいっそうの推進します。そのために地方教育委員会に予算権を付与し、地域の実態を反映した教育計画の推進を可能とさせます。


3.〈農林水産〉

[改正食糧法の問題点]
 先の通常国会で改正食糧法が成立しました。政府はこの改正で、[1]農業者・農業団体が主役となった需給システムの確立、[2]担い手・集落の選別(農業の大規模化)、[3]流通制度の市場化などの方向を明確にしました。すなわち国による生産調整はやめ、流通や米の価格形成は市場に委ね、家族農業や小規模集落営農は切り捨てるというものです。政府は、効率的で安定的な経営体が、消費者や市場を重視して米をつくるのが本来のあるべき姿だとしているのですが、BSE発生以来政府の最大の使命であった安全な食糧を安定的に供給すること、自給率を向上させること、有機農業を振興することなどの視点はまったく欠落しています。これが第一の問題点です。
 第二の問題点は生産調整を生産者や農協の責任とすることで、生産調整参加者がいっそうの減少し、生産調整という目的は達成できないだろうということです。生産調整ができなければ米価はさらに下落します。これ以上米価が下落することになれば、生産者にとって生き残る道はありません。第三は、担い手を大規模農家に集中させるという政府の方針の最終目的が、「農地は農地を耕す農民が所有する」と規定している農地法の改正にあり、大規模スーパーなど株式会社の全面参入にあるということです。(問題点は4項参照)
第四は改正食糧法の最大の問題点ですが、ここ数年来繰り返されてきた米の構造問題、すなわち米過剰−米価下落の悪循環に、政府がどのように対応するのか、どのような米づくりの構造を展望していくのか、最も肝心な点が明確にされていないということです。政府は自らの責任を放棄しているといわざるをえません。社民党は「食の安全」と「自給率の向上」を農業の根本に置く以下のような農業再生の道を提起します。

1.直接所得補償制度を創設します
 すべての生産者が農業を持続的に維持していけるよう、水田や畑作のもつ食糧安定機能および多面的機能の対価として「直接所得補償制度」を創設します。品目別の複雑な補助金制度はすべて廃止します。この直接所得補償制度は他の第一次産業(林業・漁業)にも適用します。
 
2.政府備蓄は300万トンとし棚上げ方式を採用します
 政府備蓄については、危機管理機能と需要調整機能を付与し、モミ米として保管ます。放出時には主食用とはせず、加工用、援助用、バイオマス資源等に活用します。このため現行の回転備蓄方式ではなく棚上げ備蓄方式に転換します。

3.食の安全を基本とする農業施策を確立します
 効率化・市場化・大規模化の方向ではなく、食の安全・自給率向上・環境保全型農業拡大、有機農業振興を基本とする農業政策を推進します。
(1)有機農業の推進を国の基本として確立するとともに、有機・減農薬生産を振興す るための奨励金や助成制度を確立します。また有機・減農薬生産によって生じる所 得の減少分を補填する制度を確立します。
(2)環境型保全型農業を拡大していくために、とりわけ中山間地を対象とした直接支 払制度を拡充します。これまでの支払制度は、平地と中山間地の生産力格差を是 正するためのものでしたが、それだけでは中山間地の水田は維持できません。中 山間地の農業は環境保全に果たす役割が大きいことから、制度を「環境支払い」と し水田農業が維持できるようにします。
(3)現在の食料自給率は40%ですが、当面の食料自給率達成目標を50%とし、こ の目標を達成するため、400万?の優良田畑を確保します。特に豊潤な水田と豊かな食文化を次世代に残すため、田畑輪換が可能な農地、棚田の保全などによって水田機能を維持します。
(4)米を中心とした日本型食生活の普及に力を入れ、米消費の拡大に積極的に取り 組みます。同時に地産地消、スローフード運動に取り組みます。

4.株式会社の農業参入は認めません
株式会社の目的は生産ではなく採算です。採算が合わなければ生産は放棄され、農地も農業以外の目的で使用されることになります。生産に不可欠な農地が消失すれば自給率の向上も不可能になります。株式会社は農業生産にとって決して安定した経営体とはいません。しかも株式会社による生産の効率化や市場化、大規模化の追及は、結局合成化学農薬の使用拡大や遺伝子組み換え作物の生産に道を開くだけです。さらに大きな問題は株式会社による農家の再編が進めめば地域が分断され、日本農業が営々と培ってきた伝統的集落営農機能が破壊されるということです。社民党は家族農業を基盤とした集落営農機能を活性化していくことこそ日本農業を再生していく道だと考えています。

5.水田の多面的利用を進めます
 社民党は政府の米抑制政策に対して、生産抑制ではなく、水田の多面的利用を図る中で、わが国食糧の構造改革を図っていくべきだと主張してきました。多面的利用の具体的な提案が、飼料稲(ホールクロップサイレージ)や飼料米(グレーンサイレージ)の栽培です。これは米が豊作で過剰となるような時には、米や稲を飼料として活用し、逆に凶作時や輸入が困難な時には、飼料に回していた米を主食に振り替えるというものです。飼料作物の自給率向上や食糧安全保障の確立にもつながるものです。同時に大豆や小麦など主要農産物の生産拡大を図り、米と同様の所得補償を行います。

6.多様な農業の担い手を確保します
 専業、兼業、後継者、新規就農者、U・Iターン就農者、定年退職就農者を問わず、地域の実情にあった家族農業、集落営農、農業生産法人など、多様な地域農業の担い手を支援します。また多様な担い手を確保するために、就農に必要な経営・技術研修を行うとともに、農地の取得、生活のための就農資金の助成、無利子資金の融資を行い、一定期間就農した場合は償還を免除します。何よりも大切なことは農業で生活ができる、農業に夢と希望が持てる政策を進めることであり、社民党は直接所得補償の創設などそのための施策を実現します。

7.WTO農業交渉−国内第一産業の活性化につながるルールを確立します
現行WTO農業協定は食料輸出国に有利で、輸入国には不利という不平等な協定です。アメリカやオーストラリアなどの輸出国は、自国に有利なルール(輸出補助金・信用、国家貿易、輸出義務等輸出規律)はなんら是正しようとせず、輸入国に対してのみ、より不利な条件を押しつけようとしています。それが[1]関税の上限設定(関税率の大幅引き下げ)であり、[2]最低義務輸入数量の大幅拡大、[3]特別セーフガードの廃止、[4]国内支持政策の大幅縮小等です。食料輸出国のこのような理不尽極まりない要求がまかり通るなら、日本をはじめとする食料輸入国は農業経営を放棄する以外にありません。
 今回のカンクン会議では、途上国と先進国の対立の溝が埋まらず、結局閣僚宣言を採択することはできませんでした。これはある意味で当然のことです。農業協定の合意を図るためには、何よりも[1]輸出補助金・信用の完全撤廃、[2]輸出国家貿易に関する情報開示(貿易を歪曲する輸出促進支援が含まれている時は即時撤廃)、[3]輸出国が不作になった場合でも従前の輸出量の7割を輸出する義務を負う等、輸出国にだけ有利なルールを根本的に是正することが先決です。そのうえで「食料の安全保障」「農業の持つ多面的機能」を世界の共通認識としつつ、「各国の第一次産業が活性化するルール」を確立すべきです。輸出国の要求である関税上限枠の設定や関税割当拡大は絶対に認められません。ミニマムアクセス米は廃止か削減を実現すべきあり、食料輸入国の唯一の対抗手段である特別セーフガードも維持・拡大すべきす。

8.合成化学農薬、食品添加物、遺伝子組み換え作物の使用を低減します
 国民に安全な食物を供給するため、国の基本方針として合成化学農薬、食品添加物、遺伝子組み換え作物の使用を低減していくことを明確にします。農薬、化学物質、遺伝子組み換えの安全性に係る情報(農薬の場合には登録や登録の失効にあたっての理由やデータ)はすべて開示を義務づけます。また有機農業や地産池消に取り組む生産者・消費者の不安を解消するため農薬取締法の定義を改正します。特に新設された「特定農薬」という規定は、日常の食べ物を「農薬」と位置づけるものであり、有機農業つぶしだという批 判も高まっていますので早急な改正が必要です。
 現在遺遺伝子組み換え食品の表示は、遺伝子組み換えの含有率が5%以下であれば「遺伝子組み換え」と表示をしなくてもいいことになっています。これをEUの基準と同様、含有率が0.9%以上であれば「遺伝子組み換え」と表示しなければならないよう義務づけます。また遺伝子組み換えの研究・実験についての詳細な情報開示を義務づけるとともに、遺伝子組み換え作物は安全性が確認されるまで国内での生産を禁止します。
有機食品、無農薬、減農薬農産物については、国際基準よりも厳しい基準を設定、国・公的機関による認証・表示制度を確立します。

9.森林整備の拡充、木材の積極利用で地球温暖化対策を進めます
わが国は、1990年比6%削減という地球温暖化対策の目標を達成するにあたって、森林による二酸化炭素吸収量を3.9%とする目標に掲げています。「京都議定書」の達成年が2008年から2012年の間ですから、この目標を達成するためには、早急に森林の育成・整備を推進しなければなりません。しかし森林整備の事業量が現状規模で推移するなら達成は困難だということを政府も認めており、目標達成には森林の育成・整備の事業量を現行の1.3倍以上、10万人規模以上の労働力を投入することが必要です(※1)。そのためには労働条件の大幅改善はもちろん山村の整備を進めるなど、積極的な財政措置が必要です。
社民党は、この目標を達成するために環境税(炭素税、森林環境税等を検討)を導入するとともに公共事業の見直しや自動車関係諸税の転用を図り、その財源を森林の育成・整備に投入するなど、毎年度の予算を確実に確保します。
 森林の持続的維持や林業の活性化のためには、地域材・国産材の積極的利 用が不可欠です。学校をはじめ公共施設への国産材使用を義務づけるとともに、国産材住宅を建設する場合の助成の拡充や、国産材を使用する伝統工芸への助成、バイオマスの本格利用に向けた公共施設の発電・熱利用の設備補助対策(※2)など、国産材利用を促進する対策を進めます。
 わが国の国土の7割が森林であるにもかかわらず、木材自給率は20%にすぎません。熱帯雨林やタイガの違法伐採や乱伐に対して国際的批判が強まっていますが、このような中で日本の現状がいつまでも世界から容認されるとは考えられません。違法な外国産材の流入を厳しく規制し、取り締まりを強化することは当然ですが、何より重要なことは外国産依存の構造から国内産利用への構造へと転換を図ることです。この転換を可能とするために林業に携わる人々に直接所得補償制度を創設するなど、林業が持続的で安定した経営が可能となる施策を進めます。
※1 年間経費410億円(1流域65人・2億6千万円×158流域)×10年間
  2004年度から実施、一般財源から支出
 ※2 年間経費800億円(1箇所16億円×50箇所のモデル事業)×10年間

10.水産資源を回復し、水産業の振興を図ります
 日本の漁業者は総じて、水産資源状態の悪化や水産物価格の低迷・暴落の下で苦しい生活を強いられており、水産資源の回復と漁業で生活ができる魚価を切望しています。とりわけ零細な漁船漁業においては、漁船購入や維持に掛かる費用が多額であり、漁業者は漁船購入資金の償還に追われています。生活を維持するためには、漁獲量をさらに増やさなければならず、それが資源の枯渇に拍車をかけ、結果として漁業者はいっそうの生活苦に陥るという悪循環が繰り返されています。この悪循環を断ち切るには、徹底した資源保護政策と野放しの輸入を規制する以外にありません。わが国の周囲は豊富な海洋資源に恵まれているにもかかわらず、魚介類の国内自給率は53%であり、日本人の食べる魚の半分は外国産という実態です。
 乱獲を戒め資源の状況に適合した漁獲を調整・維持するためには、漁業者への国による補償が不可欠です。さらに資源の減少と魚価の低迷は、漁船員にいっそうの労働強化、労働環境悪化、労働条件悪化となって跳ね返っており、これが若い就労(後継)者を確保できないまま高齢化を招く原因となっています。日本の漁業を存続するためには、これらを改善することが求められています。
 社民党は沿岸漁業を守るために浅海の生態系を守り資源の再生に努めるとともに沿岸漁業が維持存続できる直接所得補償制度を導入します。漁獲制限や輸入制限を行う場合には補償措置を講じます。また密漁や違反船を取り締り、資源の枯渇防止に取り組みます。
 漁船漁業を守るために漁船員の福利厚生、特に社会保障制度の充実を図ります。また漁獲量が減少している魚種や魚体選別機が使用されている漁種については、資源状態をより正確に把握できる調査研究体制を整備するとともに、資源保護策が的確に運用できるように取り組みます。国際的資源乱獲に歯止めをかける新たなルールづくりに努力するとともに、国際的な資源保護措置を損なうすべての違法・無法漁船の廃絶とその漁獲物の日本市場への輸入を禁止します。


4.〈税財政・金融〉

1.納得・安心の税財政構造の構築
 暮らしと経済再生のためにいま求められる政策は、家計を温めることを通じ、総需要を喚起することです。 社民党は将来不安を解消し、生活の質的向上に直結する歳出の重点化・効率化を進めます。
日々の営みを大切し、また、人から元気できる 「ミクロの生活権(安心できる生活)保障」の積み上げこそがマクロの景気回復を果たすための“牽引車”たりうるとの立場から、雇用創出・安定(雇用機会)と民需を同時に追求できる「ミクロ政策」の推進に全力で取り組みます。とりわけ、職業能力開発や雇用安定策、福祉・環境分野など21世紀を展望する「社会的セーフティネット」の構築、「最善の教育」実現へ、税財政構造の抜本改革を断行します。

 (1)国民生活優先の内需主導型経済、総需要喚起でデフレからの早期脱却
 国民生活に負担と痛みを強いるだけの小泉流の構造改革は「経済の総収縮」をもたらすだけに終わっています。小泉内閣の経済政策が破たんした何よりの証左が現在のデフレ不況です。デフレ不況を深化させている最大の原因は「個人消費の伸び悩み」であり、供給サイドの改革だけでは経済は再生しません。
 福祉・環境・教育などまだまだ需要の掘り起こしは不十分です。日本経済の再生には、総需要喚起、国民生活優先の内需型主導経済の確立こそが最善の処方箋です。
 (2)実際の暮らしが豊かになる歳出改革
 [1] 数字あわせの財政均衡でなく、「構造」自体の改革を
帳尻あわせに終始し、負担増と公共サービスの低下という、痛みを一方的に強いる手法・選択は容認できません。「改革」の美名の下に国民経済を疲弊させ、経済総収縮による財政危機を生み出した「構造」そのものを徹底的かつ集中的に見直します。
[2] 人間と環境優先の「未来への歳出」へ
「しがらみと惰性の歳出」を、「未来への歳出」(投資)へと大胆に切り替えます。とりわけ、雇用安定や子育て・介護などの社会サービス、
“宝の山”となるべき教育・科学研究や環境保全などに、財政ベクトルを集中します。
[3] 国民本位の改革の実現で「創造的福祉社会」を
国民の負担を、一人ひとりの「安心とゆとり、豊かさ」に活かすことができる、21世紀を展望した「創造的福祉社会」を実現します。
[4] 地方への財源移譲と「現物給付」の拡充
補助金を地方税・交付税へ組み替えるなど自治体への財源移譲を行い、「歳入の自治」を確立します。
現在の連立与党に顕著な現金バラマキ手法の対極にあるものを目指します。介護や育児支援などの福祉、「社会の最善のもの」が整備された教育・学校施設、交通(生活バス路線等の維持・拡充)――等々、生活密着型サービスについては、自治体の創意工夫が問え、またサービス水準・内容などの向上のために受益者の「意思反映の回路」が確保できる「現物給付」を重視します。
 (3)時代遅れの公債政策からの転換で、「意味ある」公債政策の実行
 2003年度末に見込まれる国債残高は450兆円といわれています。先進国中最大・最悪といわれるような財政赤字の最大の原因は、建設は「善玉」、赤字は「悪玉」という時代遅れの公債政策にあります。公共事業のすべてが不用とはいわないまでも、土木・ハコ物建設などへの際限のない投資が今日の財政赤字を招いたことは確実です。
 「建設国債」と「特例国債」(赤字国債)の垣根を取り払い国民生活優先・家計重視の政策転換を図り、政策運営の透明性を高めます。同時に、市場流動性の維持等を重視して、財政・金融情勢の変化に柔軟に対応する「意味ある」公債政策に取り組みます。
 また、日本経済の“身の丈にあった”国債政策を確立するため、「単年度あたの公債発行額をGDPの一定割合」とするなど、国債発行のルールを定めます。
 (4)生活再建を重視する財政再建プログラムの推進
財政破たんが迫っているという「脅しの論理」に屈する必要はありません。
国民(の生活)あっての国です。いたわりが確保された財政再建は可能です。
国民全体で経済成長の恩恵を共有できる「生活再建重視型」の財政健全化プログラムが、何より求められるゆえんです。
財政健全化の速度は、生活や経済への影響に配慮しながら、惰性にも陥らないという要請に応えるために、最低2年間にわたり名目経済成長率2%以上を達成後、10年間程度を目安とする財政再建を実現します。
 “助走期間”としては、公共事業の効率化や防衛費の削減、不要不急経費の徹底的な見直し(国民生活の向上に直結する分野への確固たる財政シフト)などを推進し、当面3年間、国債発行額を対前年度比5%〜10%の幅で削減します。
この達成ベースのうえに、国民生活の現状や経済動向も勘案しつつ、残りの期間で、利払いなどの国債費を除く歳出と歳入(税収)が見合う、いわゆるプライマリー・バランスを確保します。
 (5)応能負担原則の再構築による税の再分配機能の確立
 公正、公平な所得(冨)の再分配機能を追求するためには、税制度における累進性確保は最重要の位置を占めます。しかし、減税の美名の下で、無定見に累進構造(税率)を緩和する歴代自民党政権の税制「改正」の結果、所得再分配機能は著しく低下し、わが国は、先進国の中でも最低グループに属しています。
 税金は、社会を維持するために欠かせないインフラです。税の不公平を解消し、「払い甲斐、受取甲斐」のある税制制度を確立するためには、累進課税(=応能負担原則)再構築に、真正面から取り組む必要があります。
この目的意識を鮮明に持ちつつ、以下の改革を進めます。
 [1]総合課税化の推進を導入するための公平番号制度の早期導入 [2]金持ち優遇の結果に終わってきた細分化された各種所得控除の統合化および歳出措置(直接給付制度)への転換 [3]「社会的引き継ぎ」が可能な資産課税の適正化 [4]必要とされる人に最大限の逆進性緩和効果を発揮できる「飲食料品にかかる消費税額戻し金制度」の適宜適切な導入 [5]“名も実も確保できる”自主申告制度の採用(年末調整は被雇用者本人が行うなど)と、納税者の権利を守る納税者権利憲章の制定 [6]国民の生活再建を前提に、累進構造再構築とリンクした課税最低限の引き下げ――など。

2.貸し渋り・貸し剥がしをなくし、国民本位の金融改革
――暮らしの向上、善良な中小企業などに実際に役立つ「融資回路」の構築

 民間企業の99%を占める中小企業の復活なくして日本経済の再生は望めません。しかし、現実をみると、「貸し渋り」や「貸し剥がし」に象徴されるように、中小企業に対する円滑な資金供給は滞っています。中小企業に対する貸出(融資)は5年前と比べると40兆円以上も減少しています。また、「融資の見返りに預金を迫られる」「理由の説明もなく融資を拒否される」など、貸し手(銀行)と借り手(中小企業)の力関係を悪用した不公正な取引慣行によって地域金融の円滑化は妨げられたままです。
 あるべき地域金融とは、地域社会において要請される望ましい分野、地域経済を支える中小企業者の事業活動に円滑に資金が供給されることです。そのためには、[1]物的担保主義から脱却し、人材や技術・ノウハウなど「新しいモノサシ」に基づく融資原則の確立 [2]融資活動に対する厳格な検査の徹底 [3]地域経済に貢献している金融機関に対する正しい評価と支援の確立――など、善良な中小企業や起業意欲の開拓等に、実際に役立つ「融資回路」の構築に取り組みます。

 (1)地域再投資法で地域金融の円滑化と地域経済の活性化を実現
 米国では民間ベースでのコミュニティ・ファイナンスを支えるため、民間金融機関がコミュニティ・ビジネスに対する融資や投資をどの程度積極的に行っているかを評価する地域再投資法(CRA)が制定され、地域経済の活性化に大きく貢献しています。しかも注目すべきは、米国の金融機関が、CRAの下で地域コミュニティと共生するビジネスモデルを確立し、一定の収益を上げていることです。
 お金が、それを必要とする地域のあらゆる人や事業活動等に対し、まんべんなく行き渡ることで、自立を目指す地域の「元気」「やる気」が生まれます。中低所得者、女性・中小事業者・ベンチャービジネスなどに対する一定割合の融資を義務づけ、「地域全体の需要」に応えていくことを目的とする「日本版地域再投資法」を制定します。同時に、地域経済の活性化に貢献する金融機関の育成に向け政策誘導を進めます。
 (2)金融行政の「基本法」としての金融サービス法の制定
 ネット証券の普及などに象徴される金融商品の多様化が進めむ一方で、現行の「金融商品販売法」は、金融消費者を保護する法律としては十分な機能を備えていません。金融は“経済の血液”であり、健全な金融サービスの発展と投資家(消費者)保護のためにも、包括的・横断的な金融消費者保護法制や消費者の補償制度の整備は時代の要請となっています。
 縦割り行政を超えて、消費者保護を第一義とする金融行政の基本法(金融憲法)として「金融サービス法」の制定に取り組みます。
 (3)消費者金融の最高金利引き下げ
 与野党合意で成立したヤミ金融規制法で「年109.5%を超える利息契約は無効」になりました。不法原因給付(元本返済不要)は盛り込めませんでしたが、契約自体を無効としているので不法原因給付には道を開いたといます。しかし109.5%というのは、金銭の貸付けを行う者の金利であって、貸金業者の上限金利は29.2%です。したがって、この契約無効金利を当面29.2%まで引下げます。また貸金業者の上限金利29.2%も利息制限法の金利(10万未満20%、10万〜100万未満18%、100万以上15%)まで引下げます。契約無効金利もこれに連動させます。さらに引き下げまでの間グレーゾーン(利息制限法から出資法の利息の範囲)での貸付け禁止するとともに、日賦貸金業者や質屋、電話担保金融に対する特例措置を廃止します。
 (4)社会貢献のファンド開発で市民と市場を結ぶ
 オンライントレード(通信手段を通じた取引)の普及により、個人の財産運営の手段として、インターネットによる投資への関心が広がっています。また、「民間による公益活動」に対する社会的な期待が高まる中で、企業のNPOへの支援や協働、自主的・積極的な社会貢献活動が「企業市民のあり方」として注目を集めています。
 社会的責任投資(SRI)は、企業の社会性向上努力を引き出すとともに、市民が金融市場を通じて社会参加や意思表明を行う効果的なツール(道具だて)にもなります。
 女性の権利向上に取り組む企業を対象とした「女性ファンド」や障害者雇用を推進する「雇用ファンド」、「人権ファンド」「環境ファンド」なども同様に重要な意義(価値)をもちます。市民が「公益性」の高い企業に投資することは企業の社会性向上にも有意義です。「社会的な責任」を明確にした企業への投資が促進されるような環境整備に取り組みます。
 (5)証券取引等監視委員会の抜本的強化
 証券取引(市場)のいっそうの透明化などが図られない限り、活性化の“鍵を握る”ビギナー投資家が増えるはずもありません。市場で提供される商品(証券)の違法行為を取り締まるための、公正なルールを徹底する監視・執行体制(アンパイア)の抜本的な強化を図ります。
 証券取引等監視委員会が「金融警察」あるいは「金融Gメン」としての機能を十分に果たしていくための体制整備、権限強化などに取り組みます。

5.<分権・自治>
住民の参加と決定で地域から新しい民主主義を

 わが党の村山内閣によって制定された「地方分権推進法」による地方分権推進委員会の4次にわたる勧告を経て、2000年4月から、中央集権体制の象徴であった機関委任事務制度を廃止する「地方分権一括法」が施行されました。これによって我が国地方自治は明治以来の中央集権体制から大きく脱却し、分権・自治の新しい段階に入りました。しかし歴史的に画期的ともいるこの分権改革も改革内容をさらに検討すればいまだ「未完のもの」にすぎません。これを完成させていく鍵は、ひとえに市民は傍観者であり続けるのか、それとも創造の担い手となるのかにかかっています。
 一方、分権・自治の基盤であり、福祉の基盤である地方財政は、ますます深刻な危機に直面しています。これを打開していくためには、抜本的な地方税財政の改革や条例制定権の拡大、自治体議会の権限強化などによって、地域から実りある新しい民主主義の充実・強化が不可欠です。
 特に税源移譲、国庫補助金、地方交付税の「三位一体改革」は、地方分権のための改革であり、これまで実現しえなかった本格的な税源移譲を含む税財源の分権化はもう放置できない改革課題となっています。その具体化は、年末の予算編成に委ねられていますが、これを事業官庁や族議員の力関係に任せるのではなく、自治体の意見の反映と監視強化によって推進し実現しなければなりません。
 ところが小泉政権は、「平成の大合併」と称される大規模広域市町村合併を集権的に推進することを通じて、国の財政責任のツケを回すべく自治体の効率的な再編を図ろうとしています。これは単に自治体の数が減るだけにとどまらず、有事体制づくりを効率的に自治体の場から補完する性格を持っていることについても深く認識しなければなりません。「平成の大合併」によって、平和憲法が平和憲法であるゆえんの一つである憲法第8章の地方自治の原則も空洞化されつつあるのです。そのうえ有事法制や「国民保護法制」によって、自治体の施設はもちろん住民の財産、権利を戦争時に自衛隊に好き勝手に使用させたり制限したりすることができるようにしようとしています。
 社民党は、このような「自治なき平和」あるいは「平和なき自治」への道を断固拒否、地方分権のいっそうの推進によって憲法の「地方自治の本旨」の発展に努めます。

1.「未完の改革」である税財源の地方分権を進めます
[1]税源移譲の実現
 税財政を通じた中央政府のコントロールが温存される限り、分権は成り立ちません。「未完の改革」の中心課題は税財源の移譲につきるものであり、「三位一体改革」も、地方自治の強化・地方分権の推進に即した地方税制を確立するため、地方における歳出規模と地方税収入との乖離を縮小する観点に立ち、国税から地方税への税源移譲を行うことが必須の課題です。現行の中央6、自治体4という歳入割合に対し、実際の歳出割合が中央4、自治体6という現状を改め、当面これが1:1となるよう、所得税の自治体移譲を行います(地方所得税)。
[2]課税自主権の拡大
 地方税を真に自主財源化するため、標準税率を超える税率設定を自治体に任せるなど自治体の課税自主権に対する制約を縮小・廃止します。地域の実情に応じた課税ベースの拡大を図るため、全国的に均一性に乏しい税目については、すべて法定外普通税として自治体の課税自主権に委ねるようにします。その際、安易な財源探しではなく、住民の理解と納得をえながら、政策目的の妥当性、税としての公平性等の基準で真剣な論議を進めることは当然です。また、非課税等特別措置の縮小・廃止を進めるとともに、租税特別措置法等による各種の経過措置が地方税に直接的に波及するのを遮断するようにします。
[3]道路目的財源の見直し
 自治体においても地域の特性を反映した自主的・効果的な環境政策への取り組みが課題となっています。道路目的財源について、自治体への移譲を進めるとともに、環境税的色彩への変更や、地域の生活交通維持財源への使途拡大を検討します。
[4]国庫補助負担金の見直し
 国庫補助負担金について、国と地方の役割分担を踏まえ、国が直接的な財政責任を負う部門を除き、縮減・廃止することとし、特に奨励補助金については全面的に自治体に移譲するようにします。なお国庫補助負担金の縮小・廃止、一般財源化にあたっては、国の財政負担の地方への転嫁となることのないよう、行政水準を維持するうえで必要な地方税財源の充実策とセットで行います。また、国の直轄事業に対する自治体の負担金を廃止します。
[5]地方債の見直し
 地方債発行については、2006年4月より許可制から事前協議制に移行しますが、中小自治体の共同発行を進めるため、現行の公営企業金融公庫を改組し自治体が共同出資する「自治体銀行」(仮称)の創設を目指します。地元住民が直接起債を引き受ける「福祉地方債」を発行します。
[6]地方交付税の財源保障・財政調整機能の維持
 自治体に対する中央政府の義務的支出をそのままにして一方的に財源保障機能を縮小するということになれば、住民に密着した身近な生活サービスの切り捨てや、地域間格差の拡大につながり、財政基盤の弱い自治体に大きな打撃を与えかねないことから、交付税の一方的な機能縮小や総額抑制には問題があります。税源移譲を進め交付税に依存しなくてよい自治体を増やしていくことで、交付税も中小自治体に重点的に配分されることになりますが、税源移譲が行われても、財源にかたよりがあること、社会保障や生活のナショナルミニマムを保障しなければならないことから、財政調整制度自体は必要です。交付税の財源保障と財政調整の二つの役割を踏まえつつ、算定基準・算定方法・配分のあり方を見直し、基準財政需要額の算定を、自治体の財政需要額の実態を考慮しつつ、できるだけ簡素な方式に改めるとともに、これまでのような国の政策遂行の手段として交付税を使うことについて抜本的に改めます。段階補正の制度の趣旨を十分に尊重し、小規模町村の財政運営に不利益が生じるような制度改正は行わないようにします。毎年度の財源不足に対応するための交付税の総額確保にあたっては、交付税法第6条3第2項にしたがって制度改正を行うことを基本とします。
[7]地方財政委員会の設置
 現在国に設置されている地方財政審議会を改組し、総務省・自治体代表・学識経験者で構成する「地方財政委員会」(仮称)を創設し、自治体の財政自主権の確立の視点に立って、地方財政計画の策定、地方交付税の交付基準の策定、国庫補助負担金の削減、地方債の配分等、地方財政全般にわたる国と自治体間の事項の調整および自治体間の事項の調整を行うようにします。

2.「自治体改革」を進めます
[1]地方自治基本法の制定
 法定受託事務については、できる限り新たに設けないこととするとともに、適宜適切な見直しを行うことにより、自治事務を拡大するようにします。国の直轄事業については、第2次地方分権推進計画で示された「全国的な見地から必要とされる基礎的または広域的事業」に国の役割を限定し、それ以外は原則として、自治体が実施または管理するものとするよう求めます。国の関与に対する是正改善義務などの国の権限が強化された側面の制度改革に取り組むとともに、「地方自治基本法」の制定に取り組みます。また、市民自らが考え行動することが自治の原点であり、自治体における計画・実施・評価のあらゆる段階に参加することなくして住民の自己決定権の保障はありえません。そのため、市民の参加権をはじめとする市民の権利と責任、街づくりの基本原則、自治体の責務等を規定した自治基本条例を「住民憲法」として制定します。
[2]多様な住民参加システムの創設
 住民の自己決定権を保障するには、住民自らが自治体における計画・実施・評価のあらゆる段階における自治体運営に参加することが必要です。コミュニティの自治を豊富化するためにも、多様な住民自治制度の創設として、例えば小学校区を基礎単位とし、自治体の地域政策の検討、対案提示権の保障および一定額の予算措置を持った住区協議会を条例によって創設します。
[3]大事な問題は住民が決める〜住民投票の制度化
 自治体の重要事項について直接住民の意思を確認するための住民投票を制度化します。その際、有権者の3分の2以上の署名の署名で直接請求がなされた場合、議会の反対にかかわらず投票を行うものとし、過半数以上の署名で直接請求がなされた場合、予備的投票を行うものとします。その他、直接請求制度の改善(人口段階別に要件を定めて実施しやすいようにする)、審議会・委員会等の人事への市民参加を進めます
[4]自治体施策の市民評価
 自治体の施策・事業の社会的有効性を判定し今後にフィードバックするため、議会の監視・評価機能を向上させるとともに、政策行政事業評価条例を制定し、住民代表、サービスの受給者、職員、有識者を加えた政策評価システムや、主要な行政別のオンブズパーソン制度の導入に取り組みます。
[5]地方公務員制度の見直し 
 短時間公務員制度の導入、身分が不安定な臨時公務員・期間公務員の処遇改善など、地方公務員制度のあり方を検討します。地方公務員倫理条例の制定を進めます。医療・年金制度の抜本改正とあわせ、社会保険行政の事務区分を地域住民に身近な法定受託事務とし、職員の身分を地方公務員に移管するよう求めます。また、職業安定行政についても同様の見直しを行うよう粘り強く働きかけます。
[6]NPO、ボランティアとの協働
 自治体を「市民の政府」として、市民の自発性に依拠し、NPOやボランティアをはじめとする市民との連帯と協働を推進するコーディネート機関に転換します。NPOをはじめとする市民の自主的・自発的な活動と、公共サービスの担い手である「公」との連帯と協働を進めます。
[7]自治体議会改革
 国長と議会の対等性を保障し自治体議会が行政をきちんとチェックするとともに、地域住民の意思を反映し市民立法機能や行政に対する監視・評価機能を発揮できるようにします。そのため、専門の政策調査スタッフを設置することとし、町村においても近隣の自治体が共同で事務局を設けることを検討します。議会招集権の議会への保障、予算審議の常任委員会設置の保障、予算修正権限の強化、副知事(助役)・出納長(収入役)に対する選任権の保障等の改革を図ります。
[8]すべての住民が議員となりうるように
 地域社会の社会的構成と自治体議会との乖離を解消し、多様な階層を反映する議会となるよう、市民の立候補しやすい制度に改めます。そのため、[1]議員定数を条例で決定する、[2]一定の経過期間(12年間以上)を経て、議員報酬制を実費弁償制に転換する、[3]企業の就業規則や法律による規制を廃止することによって、立候補権および当選後の企業等の在籍権の保障を図ります。
[9]情報は住民のもの〜あらゆる情報の公開
 住民参加の大前提として、徹底した情報公開を進めることが必要であり、自治体にかかわる情報(議会・警察・外郭団体も対象に拡大、広報だけではなく政策情報も)の全面公開に努力します。予算書・決算書を住民に判りやすくするとともに、自治体の条例・規則集(要綱・内規も含む)を使いやすくします。行政過程を市民にオープンにするため、会議公開条例を制定します。住民に「開かれた自治体議会」とするため、委員会の公開、議会情報公開条例の制定、「出前議会」の実施、会議録の作成・公開、ケーブルテレビの活用などを進めます。
[10]地域に暮らす外国籍市民の参加
 豊かな自治を築くには、これまでのように国籍のあるものだけに政治参加を限定する閉鎖的政治から、多様な住民による共生と連帯の開かれた政治に変えていかなければなりません。定住外国人の住民(外国籍市民)としての権利を保障するとともに、自治体行政への意見反映の充実、職員採用における国籍条項の撤廃を進めます。住民票における外国人配偶者差別をなくします。また、最高裁判所の判断も踏まえ、在日団体などの意見を承りつつ、外国籍市民に地方選挙権を付与するための法改正に努力します。
[11]都道府県と市町村の関係の改革
 都道府県・市町村の現行の二層制の地方制度を堅持します。都道府県と市町村の関係を真に対等・協力のものとし、都道府県と市区町村の争いにかかわる自治紛争処理委員については、独立した第三者機関としての機能を十分に持たせるようにします。
[12]「平成の大合併」に問題あり
 「地方分権の担い手・受け皿づくり」を標榜しながらアメとムチで推進されている「平成の大合併」は、財政難の中での国の財政負担の自治体・住民への転嫁、国にとってより安上がりで効率的な地方行政・国内体制づくり、企業へ奉仕する自治体づくりを進める一方、住民自治の空洞化と民主主義の後退をもたらすものとなっています。市町村の合併については、国と地方の対等関係と自治体の自己決定権を重視し、市町村合併を唯一の選択肢として強要・強制しないようにするとともに、自治体、住民の自主的・主体的な決定を尊重して対応することを基本とします。
[13]まちづくりのビジョンと公共性の創造を
 カネと期限の見切り発車は最悪であり、合併するにせよ、しないにせよ大事なのは、まちづくりのビジョンであり、公共性概念の創造です。将来を見据えた幅広い住民議論、正確な情報と事実認識、財政シミュレーションを実施するとともに、合併協議への住民参加の追求を行い、住民投票での決定を目指します。合併協議の最も重要なテーマである「新しいまちづくり」のためのプランとしての市町村建設計画について、建設優先からの脱却したソフト施策を重視したものとし、住民参加の仕組み作りを盛り込んだ計画とします。
[14]合併特例法のさらなる改悪に反対
 現行合併特例法の期限後も自主的な合併をさらに強力に促進させるためとして、基礎的自治体の人口要件の明示、事務配分特例制度、都道府県による合併構想の策定、段階補正のさらなる見直しの示唆などの合併推進方策を盛り込む新法が検討されています。人口等による一定規模未満の市町村に対して、その編入合併や事務権限・組織の縮小を強制または強要するような、団体自治・住民自治を著しく制限しようとするやり方は、到底容認できるものではなく、数値目標の設定や事務特例制度の創設のような法制度の改悪は行わせないようにします。
[15]「地域通貨」に注目
 市民の自発的・主体的参加による活動をサポートする具体的な道具・仕組みの一つとして、自律的で協同的な社会に至る「新しい共同性」の創造の試みである「地域通貨」の取り組みを支援するとともに、コミュニティビジネスを支援します。
[16]暮らしのライフラインとしての郵便局の維持・活用
 郵政三事業が民営化されれば、市場原理の当然の流れとして、過疎地など不採算地域からの撤退を余儀なくされます。郵政公社が効率・収益、経営最優先に流されることなく、国営公社の事業として郵政三事業を一体で運営するという公的な性格・公共性がしっかり発揮されなければなりません。徹底した透明化と情報開示、特定郵便局長制度の見直し、郵政ファミリーの改革を進めつつ、全国2万4000箇所の郵便局とそのネットワークを国民生活共有の社会的インフラ、暮らしに身近な公共サービスの拠点として、積極的に活用していきます。とりわけ、離島や過疎地における郵便物の引き受け・配達が切り捨てられることのないよう、郵便局数の現行水準を全国あまねく維持するとともに、福祉施策としての第三種・四種郵便の堅持、必要な財政支援の実施などを図ります。

3.暮らしの安全を守ります
[1]警察活動の信頼回復
 「安全な国」神話が崩れ、市民の間に不安が広がっており、犯罪を減らし安心できる社会を取り戻すことが求められています。「犯罪は社会の鏡」といわれるように、その背景には景気の低迷や政治不信、過度の競争原理主義が社会の混乱、犯罪を招く点があることにも留意すべきであると考えます。また、適正な監視システムの確立ないままの警察力の強化は、市民活動の阻害につながる両刃の剣となる危険性もあります。検挙率の向上にしても、まず警察不祥事の根絶と信頼回復、捜査能力の向上が必要です。警察が真に市民生活の安全の守り手として、国民からの信頼を回復するためにも、住民代表や有識者など外部の第三者による監視機構を設置します。また、公安委員会が本来の趣旨に立ちかえり、市民の代表として警察をきちんと管理するようにその機能の強化に努めるとともに、公安委員会がより市民の理解をえるため、その活動内容を明らかにする「白書」の発行などを行うようにします。
[2]「空き交番」の解消
 「空き交番」が増えていますが、警備公安警察のあり方や機動隊の大胆な見直しを行い、防犯や交通安全など市民生活に密着した刑事部門、生活部門、交通部門の現場を重視するなどの強化することによって適正な配置に努めます。
[3]消防力の強化
 消防は、国民の生命、身体および財産を火災から保護するとともに、水火災または地震等の災害を防除し、これらの災害による被害を軽減するなど、市民生活を守るうえで大事な役割を担っており、消防力の抜本的強化と災害に強い都市づくりを責任をもって進めます。「消防力の基準」に照らした各自治体における消防職員の充足率(全国ベースで76.5%)を向上させるとともに、小規模雑居ビルの安全性の確保に向けて立入検査や周期的な事後点検、改善指導を含む違反是正措置を強化するため、緊急対応として新たに「消防防災支援要員」を確保します。消防団員の待遇改善を図るなど、消防団の活性化に努力します。消防用ヘリコプターの配置の増強や緊急消防援助隊の装備資機材の充実を進めます。


6.〈交通〉
人・まち・環境にやさしい交通の実現

 あらゆる人の交通権の保障、すべての人が利用しやすい交通バリアフリーの実現、環境にやさしい交通、安全で快適な交通、地域生活交通の確保が社民党の交通政策の基本です。
 20世紀の行き過ぎた「クルマ社会」は、激増する交通事故、慢性化する交通渋滞、大気汚染・騒音等の交通公害といった社会的外部負経済をもたらすとともに、交通弱者の移動の権利を奪ってしまいました。ここに交通分野の規制緩和が追い打ちをかけ、憲法に保障された幸福追求権、居住・移転の自由、生存権に立脚する「移動の権利」が画餅と化しています。21世紀を人間優先の社会とするため、社民党は、誰もが、いつでも、どこからでも、どこへでも、安全、安心、平等、快適に移動できる権利としての、新しい人権「交通権」を保障することを交通政策の基本とし、そのためにも公共交通の充実が必要であると考えます。特に弱い立場にある人たち、高齢者・障害者・子どもの移動の自由を保障することが必要です。
 高齢社会に対応する交通システム、限られた資源、地球環境を守る交通が求められており、「クルマ社会」の行き過ぎを転換し、公共交通を基盤に置いた人と地球にやさしい総合交通体系の確立を目指します。

1.「誰もが、いつでも、どこからでも、どこへでも」で交通権を保障します
[1]「交通基本法」の制定 
 フランスの「国内交通基本法」にならい、「交通権憲章」運動を進め、憲法の幸福追求権、居住・移転の自由、生存権に立脚する「移動の権利」としての交通権の保障、交通社会資本の基準、生活交通機関の位置づけ、生活交通に対する補助、総合交通会計制度、交通運輸労働者の労働環境の保護、安全輸送の確保などを盛り込んだ「交通基本法」を制定します。
[2]「総合交通会計制度」の創設
 縦割りを排し、横断的・体系的な総合的交通政策を推進するため、道路特定財源をはじめとする交通整備財源を一本化した「総合交通会計」制度を創設します。総合交通政策の観点から交通整備財源を活用するとともに、自動車の社会的費用の適切な負担の観点から、「クルマ社会」の負の側面を軽減する政策に充当することとし、生活交通の維持や環境対策を進めます。特にドイツではガソリン税にあたる鉱油税を公共交通のための財源として活用しており、通勤、通学、通院、買い物の「足」を確保するため、マイカーによるモータリゼーションのしわよせを受けている生活バス路線や地方鉄道、LRTなどに対する財政措置の強化に充当するようにします。
[3]自治体の交通政策の確立
 各自治体における自主的・主体的な交通政策の企画立案機能を高めるようにします。特に生活交通の維持は立派な福祉サービスであり、まちづくりに不可欠な施策としてきちんと位置づけ、地域の社会的共通資本として生活交通を捉え、公共交通を街づくりの中心と位置づけた政策への転換を目指します。

2.安全で快適な交通を創ります
[1]安心して乗れる公共交通に
 新幹線トンネル事故、京福電鉄正面衝突事故などの鉄道事故や、ホームからの乗客の転落事故が続発しています。また、バスにおいても飲酒運転や無免許運転も発覚しました。公共交通機関にとって乗客の安全は最優先の課題です。安心して公共交通を利用できるよう、飲酒運転、過労運転防止対策の強化、自動車運転者の労働時間に関する改善基準や運輸規則などの法令遵守、交通労働者の健康を守る取り組み、防犯・保安対策の強化を推進するとともに、「運輸安全基本法」の制定を検討します。
[2]国家運輸安全委員会の創設
 鉄道・航空事故調査委員会が独立した調査活動ができるようにするとともに、将来的にはアメリカのNTSB(国家運輸安全委員会)にならい、あらゆる交通モードを対象とする「国家運輸安全委員会」の創設を目指します。
[3]地下鉄火災対策
 地下駅における利用者の安全を確保するため、避難通路、排煙設備などについて火災対策基準を満たすよう、国の支援を強化した緊急対策を行います。
[4]地方鉄道の安全対策
 国も経済効率のみで鉄道を位置づける発想をやめ、環境・地域への鉄道の貢献を重視し、鉄道の安全対策への国の支援を強化します。
[5]交通に関する社会的規制の強化
 需給調整規制の廃止に伴う労働条件・雇用への影響を防止するため、産業別最低賃金制などの最低労働基準を確立します。同時に、責任の所在の明確化、事業者の資質の向上、不適格事業者の排除、違反者への罰則強化等の社会的規制を強化します。重大事故の原因となっている過積載・過労運転について交通安全の観点から実質的な使用者責任を追及します。
[6]公共交通としてのタクシーの支援
 規制緩和政策によって需給アンバランスと、渋滞、運賃破壊、労働強化が進めんでおり、需給の適切なコントロールや働きやすい環境作りを求めます。タクシーの運転者資格制度の創設やタクシー適正化事業実施のための機関の設置を検討します。駅前タクシー乗り場やタクシーベイの整備を進めます。なお、高齢者・障害者等に対する福祉輸送の需要が増加していますが、道路運送法の例外適用が拡大し、安全輸送を担保する2種免許の取得さえいらないかのような状況が作られつつあります。NPOやボランティア等の福祉移送であっても、安全輸送のための法的基準や一定の規制は必要です。道路運送法上の事業許可、乗務員の第2種免許取得義務づけ、介護保険とのかかわについて安全面の確保を重視しつつ改善を求めることとし、福祉タクシー事業の推進とあわせて対応します。
[7]交通安全対策の推進
 歩車道の完全分離を推進するとともに通行区分の明確化を徹底し、スクールゾーンの増設やコミュニティ道路の充実を図っていきます。交差点における歩行者優先の原則を徹底するとともに、信号機の高度化を進めるなど「人にやさしい」視点で歩行者安全策を追求します。踏切の歩道設置や、踏切への点字ブロック設置を進めるなど、人にやさしい踏切にします。自転車事故や歩行者への傷害事故を防止するため、違法駐車の禁止の徹底、自転車道の整備、自転車通行帯の充実を推進していくとともに、交通安全教育のいっそうの充実や自動車教習の強化などの運転者対策を進めます。交通事故被害者のケアを充実するとともに、事故調書の早期開示を検討します。
[8]船員の安全確保
 船舶輸送に従事する船員の命を守るため、海水脱塩式造水装置の普及を進めます。
[9]空の安全確保
 最近、航空機の整備不良事故やニアミス事故が多発しています。整備の委託や新会社の参入によって、安全に対する信頼が揺らいでいます。事故が起きれば経済的損失をもたらすから事故は起きないようにするはずだという「規制緩和=安全論」に与することはできません。航空持ち株会社に対する適切な規制を講じるとともに、空の安全確保に万全策を求めます。

3.すべての人が利用しやすい交通を創ります
[1]車両のユニバーサルデザイン化
 車椅子スペース付き鉄道車両の整備やホームとの段差の解消、車高が低く車内の段差がない、誰もが乗り降りしやすい超低床車(ノンステップバス)の導入を進めます(購入補助の充実、標準仕様の策定)。またリフト付きタクシーなど車椅子対応ユニバーサルタクシーや介護タクシーの普及を推進し、移動制約者に個人的な輸送を提供する交通サービス(STS)を進めます。
[2]駅のユニバーサルデザイン化
 開放式エレベーターや車椅子対応型エスカレーター、スロープの設置、段差の解消、誘導・警告ブロック、音声や接触・発光ダイオード方式による情報提供装置や見やすくわかりやすい案内表示の整備、ホームでの転落防止のためのホームドアや転落検知マットの導入、改札口の拡幅、バリアフリー型トイレの整備等を進め、鉄道駅を誰もが安心して利用しやすくします。相当数以上の乗客が見込まれる駅に加え、高齢者、身体障害者等の利用が多いと見込まれる駅等についても、改良工事の推進や人的サポートを含め必要な措置を講ずるようにします。また、鉄道駅以外のバス、旅客船、空港のターミナルもすべての人に使いやすくします。
[3]乗換えをもっと楽に
 鉄道とバス、鉄道相互、バス相互間の乗換えを円滑にするとともに、駅前広場や周辺道路、駅ビル等を含め関係方面と連携して交通ターミナル施設の改良を進めます。公共性の高いコミュニティ空間である駅に人の集う場所をつくります。
[4]大事なのは当事者の声
 交通バリアフリー法は、その対象が高齢者・身体障害者=車椅子利用者にかたよっている、移動の自由や交通権を直接保障したものとはなっていない、既存駅・施設は努力目標にとどまっている、肝心の当事者である高齢者・障害者の参画が盛り込まれていない、ハードに限定されており運賃や人的サポートなどソフト面の施策がない、など不十分な点が多く残されています。一番状況がわかっている当事者の意見を計画や事業に生かしていくべきであり、市町村の基本構想策定の段階において、当事者の声を反映させる仕組みを設けるようにします。
[5]バリアフリー投資の推進
 バリアフリー化は、ローカル線活性化対策、観光活性化についても意義があり、バリアフリー投資へのインセンティブを充実するようにします。
[6]ソフト面の施策の充実
 シルバーパスを充実させるとともに、障害者割引に対する公費負担制度を創設し、生活交通を誰もが利用しやすくします。また、公共交通機関への介助犬の同伴を広げます。
[7]「ショップ・モビリティ」の推進
高齢者や障害者も気軽に買い物を楽しみ、社会参加が行えることを目指し、地域福祉拠点施設としての「ショップ・モビリティ」(街の中心部に事務所を設け、電動スクーターや車椅子などを無料で貸し出し、必要に応じてボランティア等の付添いも行うことによって、移動が困難な人が自由に商店街の中をみて回ったり買い物をしたりできるサービス)を設立します。
[8]楽しく歩ける歩道に
 クルマ社会の進展は、急激な交通事故の増加を招き、死傷者の激増をもたらしました。まず歩行者と車が同じ道を通行することが事故の大きな要因の一つですから、歩車道の完全分離を推進するとともに通行区分の明確化を徹底し、またスクールゾーンの増設やコミュニティ道路の充実を図っていきます。交差点における歩行者優先の原則を徹底するとともに、「人にやさしい」視点で歩行者安全策を追求します。あわせ踏切の歩道設置や、踏切への点字ブロック設置を進めるなど、人にやさしい踏切にします。次に自転車事故や歩行者への傷害事故を防止するため、非常に遅れている自転車道の整備や自転車通行帯の充実を推進していきます。車対車の事故防止のためには、道路標識や信号機の改善を図るとともに、自動車構造のいっそうの向上を進めるため構造基準の強化を図ります。また、交通安全教育のいっそうの推進や、自動車教習の強化など運転者対策も充実させます。各省庁の連携を強化するとともに、自治体が独自に交通実態にあった交通安全行政を行るようになることを追求します。歩道の段差の解消、電柱の地中化、歩道橋や地下道への小型エレベーターの設置を推進します。

4.環境にやさしい交通を創ります
[1]脱「クルマ社会」を展望
 交通需要マネジメントを推進し、自動車の都心部乗り入れ規制や台数割当制度、ロードプライシングを導入するなど、中心市街地の自動車の総量規制に踏み出すとともに、パーク・アンド・ライドなど自動車・自転車と生活交通の連携を進めます。不要なマイカーの利用を抑制するため、公共交通を利用しやすくするようにするとともに、カーシェアリングを検討します。違反駐車防止条例の制定を推進します。
[2]クリーンな自転車の推進
 クリーンな乗り物である自転車の活用を進めていくため、非常に遅れている自転車道や自転車通行帯、自転車駐輪場の整備を推進するとともに、サイクル・アンド・バスライドや生活に密着した循環型自転車活用制度(レンタサイクル)を広げます。
[3]モーダルシフトの推進
 物流の効率化、環境対策を推進するため、幹線物流における貨物鉄道輸送や内航船舶輸送の強化、各交通機関相互のアクセス向上、共同配送拠点の整備を進め、自動車輸送からの移転(モーダルシフト)を促進します。なお高速道路の無料化は、受益者負担のあり方からみて不公正であるだけでなく、温暖化対策や騒音・大気汚染対策、公共交通の利用促進といった交通政策に逆行するなどの問題があります。コンテナ貨物輸送力の増強など貨物鉄道に対する支援措置を強化します。
[4]低公害バスの推進
 ハイブリッドバスや電気自動車、CNG車等低公害バスの導入を推進します。また、条件に応じてバスのトロリー化を検討します。
[5]地球温暖化対策の推進
 地球温暖化、オゾン層の破壊等地球的規模の環境問題等に対応するため、観測・監視・予報体制の充実・強化を図ります。また、交通公害の防止を推進するとともに、海洋汚染防止対策、船のNOx・PM対策を充実します。

5.地域の電車・バスを大切にします
[1]生活バス・サービスの維持
 モータリゼーションの進展で危機に瀕しているバス事業に、無謀な規制緩和が追い討ちをかけ、特に過疎地では路線の廃止や休止が相次いでおり、地方部では、住民の便利な「足」がなくなってしまうのではないかという深刻な問題がすでに出てきています。しかし、環境問題、高齢化問題、地域活性化、地域コミュニティの復興といった21世紀の豊かな社会づくりに必要な課題の解決には、自治体ぐるみの生活交通の再生がなくてはならないと考えます。生活交通は、人の自由な移動を通じて、文化を伝え、コミュニケーションを保障し、地域社会の活性化を生み出す重要な役割を果たしており、単に交通の問題ではなく、広く社会的な視点からの新しい発想と手法で考え、地域活性化・過疎対策の基本に、生活交通の維持が位置づけられるべきです。「公共交通は赤字でも福祉など他の分野で便益を生む」というクロスセクターベネフィットの考え方で、地方の生活バス路線やコミュニティバス、福祉バスへの財政措置を強化するとともに、自治体、住民、バス会社の三位一体の連携プレーで生活交通の維持を図ります。将来的には、道路目的財源の総合交通財源化を行い、バスの維持・復権のための財源を国・自治体の責任できちんと手当てすることを目指します。
[2]「オムニバスタウン構想」の推進
 バスの利便性向上、活性化を図るその利用を促進するため、魅力ある車両の導入や、バス停の高度化、バス専用レーンの拡充、情報案内システムや運行管理システムの整備を行いつつ、各省庁が連携してバスの多様な意義を十分に活かした街づくり(「オムニバスタウン構想」)を進めます。
[3]社会資本としての地方鉄道の維持
 規制緩和による地方鉄道の廃線計画が各地で浮上し、生活に密着した鉄道路線の維持が大きな問題となっています。地方鉄道を維持するため、「公共近距離輸送は生存配慮にかかわるので維持しなさい」というドイツの「地域における公共近距離旅客輸送に関する法律」にならい、「公共交通の根幹をなす鉄道を守る」立場に国・自治体の交通政策を転換させ、地域住民の生活路線であり、鉄道ネットワークをなす地方鉄道に対する補助制度を抜本的に見直すとともに、基盤保有と運行を分離する「上下分離」方式の活用を検討します。地域における公共交通の整備は、地域振興や雇用、市街地活性に効果があり、鉄道を地域住民の共同の社会資本と位置づけ、駅を拠点とした街づくり、アクセスや利便性の向上、駅周辺整備の推進や「ルーラルレイルウェイツーリズム」など、鉄道を核とした地域振興を進めます。
[4]路面電車の復権・再生
 人と環境にやさしい生活交通体系として、超低床車両を使用した新しい路面電車であるLRT(軽快電車)を強力に支援します。そのため、軌道・車両に対する税財政上の支援を拡充するとともに、軌道の専用化を進めます。また、歩行者専用のショッピングモールに公共交通を運行させた商業空間(トランジットモール)を広げ、街ににぎわいと魅力を取り戻し、「トランジットモデル都市」を目指します。
[5]地域交通委員会の設置・地域交通計画の策定
 バス、地方鉄道、路面電車等の地域の公共交通を守るため、「公共交通の確保および経営調整に関する特別措置法」(仮称)を制定するとともに、住民の移動の権利、自治体の交通政策に関する責務等を規定する「地域公共交通基本条例」(仮称)を制定します。また、国の持っている交通行政の権限を自治体に移譲し、地域交通に対する自治体の決定権を拡充することで、住民・利用者の声を交通政策に反映されるようになります。交通問題に関する自治体間の協力や広域連合制度の活用を進めます。生活交通維持のための「地域協議会」を地域の関係者が一体となって交通問題を考える場とするため、利用者、住民、交通労働者も参加するように働きかけます。地域のあるべき交通の姿を地域交通計画として策定します。将来的には「地域交通委員会」への発展を目指します。
[6]離島の足の確保
 離島航路の運航確保、離島の航空輸送の確保に必要な施策を充実します。
[7]高速交通体系の整備と並行在来線の維持
 整備新幹線に対する厳しい意見も真摯に受け止め、貨物鉄道のあり方や地域の重要な足である並行在来線の維持・確保に努力するとともに、財源の重点的・効率的使用や総合交通体系確立の観点からの公共投資の内容全体の見直しを行うなどの残された課題の解決を図ります。
[8]「通勤地獄」の解決
 通勤ラッシュを緩和するため、新線建設、車両増備、ホーム延長、信号の高度化、時差通勤、職住近接を進めるとともに、都市鉄道・地下鉄整備等への公的助成の拡充を引き続き求めていきます。また、「開かずの踏切」を解消していくため、高架化・地下化を推進します。
[9]JRの公共性の確保
 国鉄から公共交通としての鉄道を引き継いだJRが「社会的責任」を果たすよう、安全性やローカル線対策をはじめとする公共の福祉の増進の観点からチェックします。

7.〈公共事業〉
公共事業の中身とやり方を変えよう

 従来、公共事業は景気対策としても有効だとされてきましたし、橋や道路を造ることが経済の活性化につながるという効果を持ちえた時代もありました。しかしバブル崩壊以降の状況をみても明らかなように、政府がいくら公共投資を行っても景気は思うように回復しません。カンフル剤のように一時的な効果はあるのですが長続きしません。大量の不良債権を抱えた一部ゼネコンは借入金返済に追われ、地元中小企業に対して、仕事を切ったり、単価切り下げや支払い延滞を行っていたりしているため、地域経済への波及効果も著しく低下しています。さらに大規模公共事業は巨額の負債と維持費負担を残して地方財政を圧迫しています。しかも、地域環境を破壊するだけで住民の本当の生活ニーズを反映しておらず、相次ぐ住民投票にみられるように、地域住民自身からも批判が強まっています。明らかに、従来の公共優先事業政策は行き詰まっており、根本的な発想の転換が必要です。社民党は、環境保全や住民参加、歳出の削減、費用対効果の視点から公共事業の見直しを進めます。

[1]公共事業の中身を変える
 公共事業の各種長期計画を見直し、国会での審議を強化して不要不急な事業を計画から排除します。硬直した公共事業の配分を改めるため、縦割りの特別会計・特定財源制度を抜本的に見直すとともに、同種・同一目的の事業については、統合、一本化を大胆に進めます。環境アセスメントの強化により、現在のニーズに適合しない大規模プロジェクトの見直しを積極的に行い、地域発信・環境重視の生活優先型公共事業へ転換し、地域経済の自立的基盤の確保に役立つとともに、地元の中小業者に直接仕事が回るようにします。
[2]公共事業のやり方を変える〜住民参加の公共事業へ
 公共事業が、どのような審査や論議の経過を経て決定されるのか、これまではあまりに不透明な部分が多すぎました。事業が実施される地域の住民が理解し納得するためには、参加と情報の公開は不可欠です。公共事業に関する権限・財源の自治体への分権を進めるとともに、政策形成の段階から住民の意見を吸い上げるための意思表明の場を提供するパブリック・インボルブメント(PI:Public Involvement、計画策定段階からの市民参画)等の手法も活用します。
公共事業の決定過程の透明性を確保するとともに、事業の中止、変更を可能とする「手続」を確立するため、「公共事業基本法」を制定します。
[3]公共事業見直しのルールづくり
 一度着手された事業であっても、中止や計画の変更ができるようにするため、住民参加の公共事業チェック機構の創設、見直しのルール化に取り組みます。
[4]公契約法・公契約条例で政策入札へ
 国・自治体からの業務の民間への委託が進めんでいますが、現在の入札制度は価格が安ければよいという価格重視の入札制度となっているため、いわゆる「不当廉売」を許容することになり、地域公共サービスの質の確保や公正労働基準・労働者保護が保障されないと思われる金額で落札されるケースが増加しています。また、談合事件や不正入札事件も後を絶ちません。国や自治体といった公の機関が民間会社に公共サ−ビスを委託したり、公共事業を請け負わせたりするにあたって、その地域の平均的な労働条件を切り下げるような契約をしてはならないと定めている、ILO94号条約(日本政府は未批准)の趣旨を踏まえ、公正労働基準や生活賃金の保障に基づく委託予算への改善を図るため、公契約法・公契約条例を制定します。また、国・自治体は、政策を通じて公正労働、福祉、環境、人権、男女平等参画などの社会的価値を実現する役割と責任を担っており、これらの社会的価値を落札基準に加える「政策入札」への転換を図ります。
[5]野放図な開発ではなく住民本位のまちづくりを
 小泉「都市再生」は、80年代に大都市住民が地上げに翻弄された中曽根民活の再来につながりかねないものです。規制・誘導・計画によって望ましい人間的な都市を形成することこそが求められる「都市再生」のあり方です。景気対策のために、民間資本主導の開発の自由、建築の自由を放任することは、「敗北の都市計画」であり、地方分権・住民主導、環境配慮といった世界の「都市再生」の流れに逆行する、時代遅れの産物といわざるをえません。地域の合意を重要視して街づくりを進めようとする自治体や市民の努力を大切にします。低水準の都市公園の整備を促進するため、虫喰い状態の土地を積極的に買い上げ、都市公園緑地として活用します。電線の地中化、共同溝を整備し、緑の都市づくりを加速します。中心市街地の再開発、住宅密集地の再開発でも都市公園整備、緑の空間の確保を優先課題として取り組みます。
[6]災害に強い国土を
 自然の豊さに着目し、最先端の科学的知見を活かした自然災害に強い国土利用を促進し、日本の自然の豊さを国民全体が共有して生きる日本を築きます。災害列島日本から防災先進国日本へ、災害救助法はじめ防災、救援、復旧・復興関係法令の抜本的再編成を促進します。
 そのため、自治体へ大幅に権限を移譲し、救貧行政思想から脱却し、被災自治体、関係住民の使い勝手のよい防災・復興行政へ転換します。危険地域の住宅地(急傾斜地、水害常襲地など)を買い上げて公園化します。河川災害多発地域の農地買上げと公園緑地へ転換します。また、災害関係予算(救援、復旧、復興、防災)の透明化、簡素化、自治体などへの権限移譲と防災マップの普及と住民参加の防災・救援計画の策定を促進します。
 公共施設の耐震性の向上、電気・電話等の系統の多重化、避難場所や消防水利の整備、緑の保全と活用等による災害に強い街づくりを計画的に推進、災害時の情報システムの整備、食料・医薬品の備蓄、地震観測・研究の強化、自衛隊の災害派遣の訓練の充実等を進めます。


8.〈人権〉
《すべての人々が、わけへだてなく生きてゆける平等社会を実現します》

1.人権政策を推進するために行政機構、法制度改革・整備を進めます

(1)「人権教育・啓発推進法」を見直します
 人権教育・啓発を推進するため、2000年に制定された多くの問題点を抱える「人権教育・啓発推進法」を見直します。
 民間団体やNPO・NGOなどと十分な連携をとり、基本計画の策定をはじめ、あらゆる場で当事者や住民の参加を保障し、国・自治体が行う教育・啓発の充実を目指します。
 人権教育・啓発は、政府全体で取り組むべき課題ですので、法律の所管を法務・文部科学省共管から内閣府に移管します。内閣府に、「人権教育・啓発推進会議」(仮称)と「人権局」(同)を設置し、人権政策を専任で対応する大臣を配置します。
 将来的には、人権擁護に関する施策および調整全般を所管する「人権省」(仮称)の設置を目指します。さらに国会の常任委員会として、新たに「人権委員会」(同)の設置も目指します。

(2)実効性のある人権救済機関を創設します
「人権救済法」を制定し、政府から独立した実効性ある救済機関を構築します。人権侵害を受けた場合の新たな救済機関として「人権委員会」(仮称)を創設します。
 委員会には、人権問題に取り組むNGO、NPOなど民間団体、市民団体、労働組合、マスコミ、法曹関係者など、また実際に人権侵害や差別を受けてきた当事者がその運営に参加できるものとします。

(3)公安調査庁を廃止します
 これまでの法務行政を徹底的に見直し、その存在が時代にそぐわなくなっている公安調査庁を廃止します。

(4)盗聴法を廃止させます
 通信の秘密という重大な人権を侵害し、警察によって恣意的に運用される可能性が高い通信傍受法(盗聴法)を廃止します。

2.人権と差別にかかわるあらゆる問題を解決するための政策を推進します

(1)被差別部落
 部落差別意識の解消に向けた同和教育を引き続き推進します。インターネット上などでの悪質な差別事象の頻発を踏まえ、新たな状況に対応した教育・啓発を進めます。
 また、部落問題の解決に大きな役割を果たしてきた隣保館を地域社会における人権センターとして位置づけ、あらゆる人権と差別にかかわる問題に対応できるよう、その機能を充実します。

(2)アイヌ民族(先住民族の権利)
 アイヌ民族の先住民族としての権利を保障するため、「アイヌ文化振興法」を北海道外で生活するアイヌ民族にまで拡大するよう改正します。 先住民族問題についての理解と関心を喚起しながら、先住民族の権利について定めたILO169条約の視点を国内法にも反映させるよう取り組みます。

(3)日本に在住する外国人
 在日外国人に対する差別を解消するため、外国人学校卒業生に国立大学の受験資格を付与できるよう外国人学校を日本の学校と同等に扱い、また、管理職への登用を含む公務員への採用を進めるとともに、人種・民族差別禁止の立法化や、定住外国人の地方選挙権の実現などに取り組みます。

(4)外国人労働者
 外国人労働者の人権を確立するとともに、労働条件、就業環境、居住環境の改善に取り組みます。またトラフィッキング(人身売買)目的で入国させられる人々が増えていますが、日本国内でそのようなことが起きないよう万全の対策を講じます。

(5)入管・難民認定法
 難民および難民申請者の増加と出身国の多様化が進め中で、人道的観点から、入国管理法と難民認定法を改正し、医療、公的扶助、在留資格の付与、就労許可等の支援措置を講じます。また、申請、認定、自立というプロセスが円滑に進めむようにします。難民条約が遵守されるよう政府を監視します。

(6)高齢者
 尊厳ある老後と安心できる生活、活力ある高齢化を実現し、高齢者の生活・人権保障を確立します。

(7)子どもの権利
 子どもの人権を確立するために、子どもの権利条約にもとづく成長および福祉のための理念が具体化する施策を推進します。子どもの権利条約が遵守されるよう政府を監視します。

(8)女性の権利
 男女平等社会を実現するために、法、制度、慣行を点検し、改善します。また、日本社会における社会的マイノリティ集団の女性の主張にも配慮し、政策にマイノリティ女性の視点を活かします。女性差別撤廃条約が遵守されるよう政府を監視します。

(9)性的指向
ゲイ・レズビアンなど性的指向への偏見にもとづく差別の撤廃に取り組みます。

(10)性同一性障害
性同一性障害者の人権が守られるよう、特例法の改正に取り組みます。

(11)障害者
 ノーマライゼーション(共生)の理念や「完全参加と平等」を達成し、障害者の政治的・経済的・社会的・文化的権利を確立します。「障害者差別禁止法」を制定します。

(12)患者・感染者など
患者・感染者などのプライバシー保護をはじめとする人権保障を確立します。

(13)犯罪被害者
 犯罪被害者の救済制度を充実させます。また修復的司法の要素を取り入れた、新しい司法制度のあり方を追求します。

(14)被疑者・受刑者
 いわゆる代用監獄制度を廃止するなど、被疑者・受刑者の人権確立に取り組みます。さらに国際潮流を踏まえ、死刑の廃止を含めた刑罰制度の見直しを行います。拷問禁止条約が遵守されるよう政府を監視します。

3.国際潮流を踏まえ「人権先進国」を目指します
(1)国際人権関連条約を批准し、国内法を整備します
 生命の尊重、身体の自由、思想・良心・表現の自由、居住・移転・出国の自由、少数民族の権利などを定めた国際人権規約B規約の選択議定書、死刑廃止条約など、いまだに日本が批准していない国際人権関連条約の批准を急ぐとともに、条約の理念を踏まえた国内法整備を進めます。
(2)「人権教育のための国連10年」を推進します
 「人権教育のための国連10年」をこれまでの同和教育の実績、世界的に展開されている多文化教育などを踏まえ推進します。また「人権教育国際会議」を日本で開催します。
(3)戦後補償法を制定し、侵略の過去を清算します
 過去に日本が行った植民地支配と侵略戦争を真摯に反省し、戦後補償問題の解決に向けて、「戦争被害者の保障等に関する法律案」をはじめとした新たな立法を目指します。また、その前提となる歴史事実の真相調査を進めるために、「戦争被害調査会法」の成立を目指します。

4.男女平等

いきいき女性
《一人ひとりがいきいきと輝く男女平等の社会へ》
 21世紀を迎えて、日本の女性政策は大きく動いています。1999年には「男女共同参画社会基本法」が施行され、各自治体においても男女平等参画条例(名称は自治体によって異なる)が次々に成立しています。今後は、女性差別撤廃条約と同基本法をテコとして、現行法や社会保障制度等を点検、改正していくことが課題となります。
 特に、雇用の分野における男女平等の実現は重要な課題です。1997年に改正された「男女雇用機会均等法」は、雇用におけるすべての男女差別を禁止しました。しかし、男女の賃金格差が示すように、その実効性はまだ不十分です。さらに雇用形態が多様化し、女性は非正規雇用に追いやられています。「同一労働同一賃金」の原則の実現、雇用形態による差別禁止の法制化は急務です。
 政府は、「仕事と家庭の両立支援策」として「育児・介護休業法」に関する改正案を準備していましたが、社民党は政府案よりも内容を充実し、パート・派遣なども対象労働者とするよう求めました。
 2001年4月には、超党派の女性議員の尽力で「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律」(DV防止法)が成立しました。今後も、社民党は、夫やパートナーからの暴力(ドメスティック・バイオレンス=DV防止法)防止など、女性への暴力の根絶に向けて取り組みます。
 ライフスタイルが多様化する中で、固定的な性別役割分業を前提に、企業社会で働く男性をモデルとした諸制度は行き詰まっています。この不安感、閉塞感を打開するには、男女平等に推進こそがかぎとなります。
 社民党は日本で初めて男女同数の国会議員を実現した政党です。社民党は、「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」「子ども売春・子どもポルノ禁止法」「男女共同参画社会基本法」などの成立・改正に中心的な役割を果たしてきました。また、いち早く女性の政党リーダーを選出し、女性候補者の擁立・支援を積極的に行い、女性の声を政治に反映させるよう努めています。
 私たちは、政治、経済、社会、あらゆる場面に女性が参画することで、一人ひとりが尊重され、女性も男性もいきいきと暮らせる社会づくりを目指しています。

(1)女性議員を増やします
[1]女性議員ゼロ議会をなくし、男女の議員比率を定めた割り当て制(クォータ制)の導入を検討します。
[2]小選挙区制、非拘束名簿式比例代表制等を見直し、女性が出やすい選挙区制度の実現に努力します。
[3]政治論理の確立を徹底し、供託金の引き下げなど、お金のかからない選挙制度を検討します。

(2)女性の参画を応援します
[1]国にや地方の委員会・審議会の構成メンバーをチェックし、女性委員ゼロの状態をなくします。女性の比率は40%以上(国の目標は30%)を目指します。
[2]公務員への女性の採用を増やし、管理職への登用を促進します。
[3]企業に、女性の採用・昇進・昇格・昇級などについて、積極的な取り組みをするよう働きかけます。
[4]女性の起業家を支援する基金制度をつくります。
[5]農産漁村、自営で働く女性たちの労働を正当に評価し、経済的な保障、年金件の確立など、地位向上に努めます。

(3)女性差別撤廃条約の実現に努力します
[1]世界の女性たちが積み上げてきた女性差別撤廃条約、1995年北京女性会議行動綱領、国連女性2000年会議成果文書などを国内の法制度に積極的に活かし、実効性のあるものにします。
[2]ILO156号条約(家族的責任をもつ男女労働者の権利保障)の定着と、ILO175号条約(パートタイム労働者の均等待遇保障)の早期批准を目指します。
[3]女性差別撤廃条約選択議定書(個人への人権侵害を国際機関によって救済するための個人通報制度などを含む)早期批准を目指します。

(4)男女共同参画社会基本法の実効性を求めます
[1]女性差別撤廃条約の理念に則り、男女共同参画社会基本法の具体化を促進します。
[2]同基本法に基づいて、固定的性別役割分業を前提とした各法律や雇用・社会保障制度などの見直しに着手します。
[3]各自治体において、地域実態を反映させた男女平等参画条例(仮称)と基本計画の制定を促進します。

(5)女性が個人として尊重される法律・制度をつくります
[1]選択的夫婦別姓の導入、婚外子への相続差別是正、婚姻年齢の男女同一化、女性のみの待婚(再婚禁止)期間の見直しなど、民法改正を早期に実現します。
[2]世帯単位の賃金、年金、保険、税制度を個人単位へ見直し、女性が自立して生活できる公平な制度に変えます。
[3]女性に多くの負担がかかっているアンペイド・ワークを社会的・経済的に評価し、年金などに反映させる仕組みを検討します。

(6)女性に対するあらゆる暴力をなくします
[1]社民党は関係者の意見を聞きながら、どの政党よりも早く、夫やパートナーからの暴力(ドメスティック・バイオレンス)防止に関する立法化に取り組んできました。その努力が土台となって、第151国会において、「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律」(DV防止法)が超党派で成立しました。今後も、同法の運用状況を踏まえながら、DVをなくしていくための施策を強化します。
[2]米軍基地周辺で多発する女性に対する暴力の根絶にむけ、基地の整理・縮小・撤去に取り組みます。

(7)雇用差別をなくします
[1]賃金差別、間接差別、セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)など、雇用における差別を解消し、男女同一価値労働・同一賃金原則を実現します。
[2]パート・派遣労働者と正社員との均等待遇原則を立法化し働く権利を保障します。
[3]新卒女性について就職支援を行うとともに、雇用の門戸を広げるよう企業に働きかけます。
[4]中高年の再就職を支援し、雇用における年齢差別をなくします。

(8)家庭を仕事の両立を応援します
[1]育児・介護休業法を発展させ、看護休暇制度などを加えた「家族的責任を有する男女労働者の仕事と家族的責任の両立を保障する法律」をつくります。
[2]育児・介護休暇中の所得保障(2000年は25%、2001年から40%)をさらに引き上げ、男女ともに育児・介護休業を取りやすくします。
[3]男女共通の労働時間の短縮、時間外・休日労働、深夜業の規制に取り組みます。

(9)子育て支援を実現します
[1]子どもへの暴力・虐待をなくし健やかな成長を保障する環境整備に取り組みます。
[2]育児の不安に答える相談所を地域につくり、親・保護者と保健婦・医師・カウンセラーが連携を取れるよう支援体制を整えます。
[3]保育園、学童保育所の待機児をなくし、地域の保育ニーズにあわせた子育て支援施策を拡充します。
[4]ひとり親家庭への支援を充実します。
[5]地域の子育て経験者を活用し、子育てを支え合う殉難な制度を検討します。

(10)女性の健康支援に取り組みます
[1]生涯を通じた女性の健康と自己決定件(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)を保障する新しい法律をつくります。
[2]刑法の堕胎罪を撤廃し、母体保護法を見直します。
[3]若い世代をはじめ誰もが利用しやすい、性やからだに関する相談所を各自治体につくり、幅広い情報の提供とカウンセリングを行います。
[4]健康保険からの出産育児一時金に加え、国の一般財源からも出産手当を支出して出産費への補助を倍増させます。
[5]乳幼児医療に対する国庫負担を増額します。

(11)男女平等教育をあらゆる機会を通じて実現します
[1]ジェンダー・フリーの学校づくりを進めます。男女混合名簿を定着させ、平等実現に向けた教育実践を支援します。
[2]公務員・企業の研修等に男女平等の視点を徹底させます。
[3]マスメディアによって、女性差別や偏見、女性への暴力が助長されないよう、マスメディアの啓発を行います。

(12)女性の視点から平和をつくります
[1]憲法を生活に活かすとともに、第9条を世界に発信し、武力に頼らない平和貢献を追求します。
[2] アジア太平洋地域の女性たちとの交流を通じて平和外交を進めます。
[3]アジア太平洋戦争時、日本軍による性奴隷制の被害者となった元従軍「慰安婦」に対して謝罪と保障の法律をつくります。


参考

小泉構造改革が国民生活にもたらしたもの

  ・失業率4.8%→5.4% = 就業者は200万人以上減少
  ・家計収入の悪化(勤労者世帯の実収入は27万円減少)、消費支出の低迷
  ・生活苦を理由とした自殺者の増加(3万人超の自殺者のうち8千人)
  ・サラリーマンの医療費窓口3割負担      (本年4月〜)
                           4000億円の負担増
  ・サラリーマン保険料率引上げ      (本年4月〜)
  ・老人医療窓口負担増          (昨年10月〜)
                           1400億円の負担増
  ・雇用保険料の引き上げ         (昨年10月〜)
                           2900億円の負担増
  ・失業給付額の削減           (本年5月〜)
                           5700億円の負担増
  ・発泡酒・ワインの増税         (本年5月〜)
                            770億円の負担増
  ・たばこ税の増税            (本年7月〜)
                           1100億円の負担増
  ・配偶者特別控除の廃止         (来年1月〜)
                           4800億円の負担増
  ・消費税の特例縮小           (来年4月〜)
                          5000億円強の負担増
   事業者免税点制度の適用上限の引下げ (3千万円→1千万円)
   簡易課税制度の適用上限の引き下げ  (4億円→2億円)

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